【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】
満江紅(マンジャンホン)より先に撮っていた张艺谋(チャン・イーモウ)監督の現代劇映画。実話のエグイ事件がベースの泥臭いサスペンス、でも雷佳音&周冬雨のロマンスでアク抜きしてさっぱりとした仕上がり。
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【スタッフ & キャスト】
2023年 中国 127分
監督: 张艺谋(チャン・イーモウ)
出演: 雷佳音(レイ・ジャーイン)、张国立(チャン・グオリー)、于和伟(ユー・ハーウェイ)、周冬雨(チョウ・ドンユィ)、孙艺洲(スン・イージョウ)、李乃文(リー・ナイウェン)
【あらすじ】
副市長の郑刚【张国立(チャン・グオリー)】を父に持つ警察官、苏见明【雷佳音(レイ・ジャーイン)】は、父とは裏腹に地道だが正義感を持ってネット捜査やプロファイリングの部署で勤務していた。
ある日、バスに立てこもる爆弾事件が発生する。犯人は父である副市長を狙ったが、どうやら背後に組織の存在が伺える。しかも、あろうことか父の友人で大富豪である黎志田【于和伟(ユー・ハーウェイ)】が真相を知っている模様。苏见明も警察官として捜査に参加するのだが、事態は思わぬ方向へと進んでいく。
【感想】
人間の業を見せつける泥臭いサスペンスだが、雷佳音(レイ・ジャーイン)と周冬雨(チョウ・ドンユィ)の爽やかなロマンスがアクセントになっていて、見終わっても軽めの後味になっている、割合に気楽に見ることができる映画であった。
筆者に限らず、映画を見るまではどうしてもポスタービジュアルの印象が先行してしまう事が多いだろうが、本作のポスターは映画の内容とはほぼ無関係と言っていい。特に、真正面にドンと立ち、自信ありげにこちらを見る雷佳音(レイ・ジャーイン)は、実際の本作でのコンプレックスを抱えた弱気なキャラとは真反対というレベルだ。
そういう訳で雷佳音(レイ・ジャーイン)が主役なのかなと思いながら見ていくと、次第に本当の主役は父親世代の2人だとわかってくる。義父である郑刚【张国立(チャン・グオリー)】とその友人で大企業の社長、黎志田【于和伟(ユー・ハーウェイ)】の確執が始まるのだ。彼ら2人のストーリーはいくつかの実際の事件をベースにされていて、これらを知っている方がより理解がしやすいだろう。
この映画のキモはストーリーよりも映像ではないかと思わせるほど、全編に渡って強烈な光と影が画面を支配する。たとえば川を見渡す夜景に映る、光り輝く色とりどりのまばゆい灯り。室内であっても俳優たちの顔にライトはあたらず、影が差してはっきりとした表情を見せない。本作で監督は、多くの俳優にノーメイクで出演するように要求したそうだが、こういったライティングなのでまったく違和感は無い。
劇中の大部分は夜のシーンになっていて、看板や信号、水銀灯などの青や赤、黄色のライトの強いコントラストが画面を覆う。そうしてこのサスペンスの手掛かりを、画面から少しでも拾おうとする観客を眩惑する。まばゆい光が真相を覆い隠しているようでもあり、現実世界から離れた別世界の物語のようでもある。
しかし、ストーリーは極めて泥臭く、人間臭い物語だ。監督の前作「満江紅(マンジャンホン、2023)」などと同じ、謀略の物語でもある。製作順では本作が先だが、監督のフィルモグラフィー的には同じ系統の作品だ。また本作がヒットしたのは、(中国の)このご時世にありながら、官僚が悪役として描かれる点にもあったかと思われる。
ややグロテスクでショッキングなシーンも幾つかあるので、注意が必要だ。
ただし、すべてが判明すると納得はできるが、語り口は少々わかりにくいかもしれない。特に雷佳音(レイ・ジャーイン)と周冬雨(チョウ・ドンユィ)のストーリー、被害者のバックグラウンドなんかの描かれ方は少々急なので注意して見ておかないと置いていかれそうになる。なんならそれによって首謀者への印象も変わってしまいかねない大事なポイントだ。
もうひとつ個人的に気になったのは、于和伟(ユー・ハーウェイ)のセリフがアフレコみたいに後から録音したかのような音声になっていた箇所があった点だ。
このように本作は、3年前の予告編の公開から延期された後も更に修正が入り、色々と設定上の齟齬がある部分があるようで、ちょっとノイズを感じる部分がある作品ではあった。とはいえ、いかにも中国のダークサイドを描いた、スリリングなエンタメ作品で、2時間きっちり楽しめる作品だ。「鵞鳥湖の夜(2019)」や「シャドウプレイ(2019)」などが好きな人にはかなり楽しめるだろう。
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【トピック】
◯ 本作は2019年5月~9月に重慶で撮影され、当初は「黑洞」というタイトルで2020年夏または国慶節に公開予定であったが、コロナ禍に入り公開を延期。3年後の2023年9月28日の国慶節休暇に合わせて公開された。
公開初週から4週連続で興収ランキング1位をキープ。興行収入は13.4億元(270億円)を記録し、2023年の年間興収ランキングで9位の作品となった。
张艺谋(チャン・イーモウ)監督は春節に公開された「満江紅(マンジャンホン、2023)」の45.4億元(890億円)と合わせて、年間に2作もトップテン入り作品を世に出した、この年中国映画界で最も売れた映画監督となった。
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张艺谋(チャン・イーモウ)
◯ いわゆる中国の第5世代の代名詞といえるほどの映画監督。民衆の視点を描いたリアリズムや色彩表現で高く評価されていて、代表作は
初監督作「紅いコーリャン(1987)」、リアリズムの「秋菊の物語(1992)」、章子怡(チャン・ツィイー)デビュー作「初恋のきた道(1999)」、ワイヤーアクションの豪華武侠映画「HERO(2002)」、ハリウッド制作のマット・デイモン主演「グレートウォール(2016)」などがある。
2008年と2022年の2つの北京オリンピックの両方で開会式/閉会式の総監督を務め、なおかつ「SHADOW/影武者(2018)」、「愛しの故郷(2020)」、「ワン・セカンド(2020)」、「崖上のスパイ(2021)」、「狙击手(狙撃手、2022)」、「満江紅(マンジャンホン、2023)」、そして本作と、今もなお毎年のように監督/総監督作品を制作するというバイタリティある監督である。
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◯ 脚本の陈宇(チェン・ユー)は、本作で初めて张艺谋(チャン・イーモウ)監督作品に携わり、それ以来「狙击手(狙撃手、2022)」、「満江紅(マンジャンホン、2023)」と監督作品の脚本を担当し続けている。
監督作以外には黄渤(ホアン・ボー)主演の「蛋炒饭(2011)」など。
雷佳音(レイ・ジャーイン)
◯ 苏见明は郑刚の子だが養子であり、父との素養の違いをコンプレックスに持っている。二級警司(日本でいう巡査長=ほぼヒラの警官)として金江市公安局の刑事技術科に所属。
◯ 色んな作品にひっぱりだこの売れっ子の雷佳音(レイ・ジャーイン)。映画では個人的にも大好きな苏伦(スウ・ルン)監督の「ルームシェア(2018)」と「交换人生(2023)」や「ゴッドスレイヤー 神殺しの剣(2021)」で主演、ドラマでは「長安二十四時(2019)」や「和平饭店(2018)」、「我的前半生(2017)」などが知られているが、チョイ役なども含めると膨大な作品数に出演している。
张艺谋(チャン・イーモウ)監督の前作「満江紅(マンジャンホン、2023)」にも出演し、今回は遂に主役を演じることとなった。
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张国立(チャン・グオリー)
◯ 苏见明の父、郑刚。金江市の副市長にまで上り詰めたエリート。
◯ 15歳頃から貴州省の鉄道部で工員として勤め始めたが、偶然にも普通語が話せたため鉄路文工団という中国鉄道部所属の演劇や雑技団、舞踊団もある芸術団体で、アナウンサーとしてキャリアを開始した。その後1970年代に俳優へと転身し、数多くのドラマや映画に出演している。
主な主演した作品は、全6部の大長編ドラマ「康熙微服私访记(1997)」や歴史ドラマ「铁齿铜牙纪晓岚(2001)」、「忠诚 (2001) 」、「金婚 (2007) 」、「中国1945之重庆风云(2011)」、馮小剛(フオン・シャオガン)監督の映画「一九四二(2011)」、「手机(2003)」、「芳華-Youth-(2017)」など。
映画監督としてもドラマ「五月槐花香(2004)」などを手掛けている。
最近の主な出演作はジャッキー・チェンの「カンフー・ヨガ(2017)」、「老师·好(2019)」、「クラウディ・マウンテン(2021)」など。
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陈冲(ジョアン・チェン)
◯ 母である何秀丽。大きな政治力を持っていた何家の娘であり、郑刚の成功に大きな力となった。
◯ 上海生まれの陈冲(ジョアン・チェン)は14歳の時に俳優デビュー。19歳の時に映画「小花(1979)」で百花奨最優秀主演女優賞を受賞。
その後渡米して映画製作を学び、名作「ラストエンペラー(1987)」で高評価を得てアジア系俳優初のアカデミー賞プレゼンターを務める。アメリカ市民権を保有。
スタンリー・クワン監督「赤い薔薇 白い薔薇(1994)」とオーストラリア映画「ホームソングストーリーズ(2007)」で台湾金馬奨主演女優賞を2度受賞。その他、シルベスター・スタローン「ジャッジ・ドレッド(1995)」、梁朝偉(トニー・レオン)主演「ラスト、コーション(2007)」出演なども知られている。また映画監督でもあり、「シュウシュウの季節(1998)」では台湾金馬奨史上初の11部門ノミネート、7部門受賞の快挙を達成した。
最近では映画「共謀家族(2019)」や范冰冰(ファン・ビンビン)主演ドラマ「楊貴妃(2015)」などに出演している。
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于和伟(ユー・ハーウェイ)
◯ 金五集团の会長である黎志田。郑刚とも長年の交友がある。
◯ 古装劇「三国(2010)」で知られ、映画では冯小刚(フォン・シャオガン)監督作「わたしは潘金蓮じゃない(2016)」、「ゴッドスレイヤー 神殺しの剣(2021)」など、ドラマでは「三体(2023、Netflix版ではなく中国版)」にも出演している。今作の翌月には郭麒麟(グオ・チーリン)と共演した「二手杰作(2023)」も公開された。
2021年には张艺谋(チャン・イーモウ)監督作「崖上のスパイ(2021)」で、张译(チャン・イー)と同時に中国金鶏奨主演男優賞にノミネートされた。
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周冬雨(チョウ・ドンユィ)
◯ 苏见明の同僚である李慧琳。
◯ 1982年生まれだがもはや大御所と言ってもいい。自身の会社から出資するなど女優以外でも映画界で幅広い活躍を続けている。「サンザシの樹の下で(2010)」でデビューし、「ソウルメイト/七月と安生(2016)」、「少年の君(2019)」という曾国祥(デレク・ツァン)監督の秀作2作、「僕らの先にある道(2018)」などなど、本当に数多くの映画に出演している。
2023年は「ボーン・トゥ・フライ」、「中国青年:我和我的青春」、刘昊然(リウ・ハオラン)との「燃冬」、「鹦鹉杀」、本作の後には「热搜」と大量の出演作が公開された。
张艺谋(チャン・イーモウ)監督作品には、デビュー作「サンザシの樹の下で(2010)」以来の出演となる。
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孙艺洲(スン・イージョウ)
◯ 黎志田の娘、黎莎と婚約した事で若くして金五集团の次期社長に内定する事となったDavid。
◯ 1983年生まれ。2009年のドラマ「爱情公寓」シリーズで芸能界入り。主な出演作はドラマ「爱情是从告白开始的(2012)」、「僕たちのプリンセス(2013)」、呉奇隆(ニッキー・ウー)&刘诗诗(リウ・シーシー)の「続・宮廷女官 若曦(2013)」、(鍾漢良)ウォレス・チョン&アンジェラベイビーの古装劇「孤高の花(2016)」、映画では金城武&周冬雨(チョウ・ドンユィ)の「恋するシェフの最強レシピ(2017)」などがある。
李乃文(リー・ナイウェン)
◯ 下のビジュアルでは中央右、金五集团の幹部である刘锋。
◯ ドラマ「爱在苍茫大地(2010)」や「爷们儿(2014)」などで知られる。映画では名作「薬の神じゃない!(2018)」やコロナ禍を描いた「你是我的春天(2022)」など。ドラマ「平凡之路(2023)」にも出演。「崖上のスパイ(2021)」にも出演しており、続投組のひとり。
田雨(ティアン・ユー)
◯ 下のビジュアルでは左、金五集团の幹部である唐大年。
◯ 田雨(ティアン・ユー)は色んな作品によく出ている、中国映画の名バイプレイヤーのひとり。映画では「1921(2021)」や「素晴らしき眺め(2022)」、「夏洛特烦恼(2015)」に始まる「恥知らずの鉄拳 (2017)」、「完璧な他人 (2018)」、「ペガサス(2019)」などの開心麻花関連人脈の作品、ドラマでは「慶余年(2019)」をはじめ、「身份的证明(2009)」や「大丈夫(2014)」、「恋愛先生 MR・RIGHT(2018)」などなど、本当に数多くの作品に出演している。
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林博洋(リン・ボーヤン)
◯ 郑刚の愛人であった朱丽の義理の娘、杨晓薇。
◯ 林博洋(リン・ボーヤン)は、そもそも2019年の本作の撮影が映画デビューであり、コロナ禍が無ければ本作公開とともに俳優デビューとなる筈であった。だが公開延期となったため、その後に撮影された監督作品「狙击手(狙撃手、2022)」で先にデビュー。「満江紅(マンジャンホン、2023)」にも出演している。
2022年には李宏毅(リー・ホンイー)主演の古装劇「少年歌行」に出演。
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陈童
◯ 黎志田の娘、黎莎。Davidと婚約し妊娠している。
◯ 陈童は本作が演技デビュー作となる。2000年生まれ、現在中国伝媒大学に在学中。
陈道明(チェン・ダオミン)
◯ 捜査本部・組織犯罪対策部の部長・陈伟民。
◯ 陈道明(チェン・ダオミン)は、まずドラマ「末代皇帝(1988)」で知られるようになる。主なドラマは「围城(1990)」や「康熙王朝(2001)」、「传承者(2015)」などに出演。映画では金鶏奨主演男優賞を受賞した「我的1919(1999)」、馮小剛(フオン・シャオガン)監督の「唐山大地震(2010)」、今作张艺谋(チャン・イーモウ)監督の「妻への家路(2014)」など。
最近では大ヒットドラマ「慶余年(2019)」や「人世间(2022)」などに出演している。
ポー(テレタビーズ)
◯ 日本人にも懐かしいイギリスの幼児向け番組のキャラ、テレタビーズ(天線寶寶)のポー(小波)のぬいぐるみが物語のキーとなる。
ベースとなった実話の事件
◯ 本作のストーリーは幾つかの実際の事件をベースに作られている。
1. 2012年に発生した、重慶市北碚区の共産党書記だった雷政富の事件。18歳の愛人との動画が流出し、それを仕掛けた不動産業者へ便宜を図っていた事で懲役13年の刑を受けた。
「共産党幹部は愛人が47人いる」スクープを連発する中国版文春砲の正体 官僚の不正を暴く「ネットメディア」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
2. 2007年に発生した、山東省済南市の全人代常務委員会主任・段义和が、13年の不倫関係にあった愛人に多数の便宜を図っていたが、次第に要求がエスカレートした事から乗っていた自動車ごと愛人を爆殺した事件。
3. 2009年に四川省広漢市の街中で発生した銃撃事件は、実は黒幕が大企業・汉龙集团の創始者・汉龙であった事が判明。彼は富豪であり四川大地震でも5000万元(10.4億円)を寄付し、オリンピックの聖火ランナーにも選ばれた名士であった一方で、2つの暴力団を組織し、殺人をはじめ数多くの犯罪を行っていた事が判明した。彼をモデルにした人物は、2023年のヒットドラマ「狂飙」に张颂文(チャン・ソンウェン)が演じる高启强という役名で登場する。
4. かつて乳酸菌飲料で国内シェア70%を誇った太子奶という乳業メーカーは、湖南省株洲市の区の副区長や党委員会副書記など、多くの政府関係者に食い物にされた。彼らの画策で強制的に資産を移動させられ、投機資金に利用された。創業者達は冤罪逮捕されるなどで、会社から追放された挙げ句に資産を使い果たされ、会社は2010年に破産した。