香港映画レビュー「ホワイト・ストーム 世界の涯て 掃毒3: 人在天涯 The White Storm 3 - Heaven or Hell」

掃毒3: 人在天涯 The White Storm 3 - Heaven or Hell

 

【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】

 

 

掃毒3: 人在天涯


www.youtube.com 《掃毒3人在天涯 The White Storm 3 Heaven Or Hell》- 正式預告 Regular Trailer

 

 

 

【スタッフ & キャスト】

2023年 香港 125分
監督:邱禮潯(ハーマン・ヤウ)
出演:劉青雲(ラウ・チンワン)郭富城(アーロン・クォック)古天樂(ルイス・クー)杨采钰(ヤン・ツァイユー)羅嘉良(ロー・ガーリョン)謝君豪(ツェー・クワンホウ)

 

 

 

【ストーリー】

アウ【古天樂(ルイス・クー)】は潜入捜査官チョン【郭富城(アーロン・クォック)】とともに麻薬王カン【劉青雲(ラウ・チンワン)】の組織で働いており、3人は兄弟の絆で結ばれている。香港警察に追われたカンはタイに逃亡するが……。

香港映画祭2023より

 

 

 

【感想】

香港アクションというジャンル映画で、いっちょドカンと威勢のいいのを作ったれ!というお祭りみたいな映画だった。豪華俳優共演!犯罪組織!爆発!のお約束にタイのゴールデントライアングルというボーナスステージで眼福に浸れば正解だ。

公開前の話題はもう、あの3人の夢の共演という所に尽きる。彼らがどれだけ同じ画面に出てくるのか興味津々だったが、3人ではしゃいでいるシーンもあり、超多忙な筈なのに観客のニーズにきっちり応えてくれている。

 

掃毒3: 人在天涯

 

冒頭の港での銃撃戦からいかにも邱禮潯(ハーマン・ヤウ)監督らしい、ド派手なカーアクションも入るが、舞台は早々に海外へ。着いたところはとても香港で撮影したとは思えない、タイ北部のゴールデントライアングル(麻薬の黄金地帯)内の村へ。
監督の前作「93國際列車大劫案:莫斯科行動(2023)」の時もそうだったが、さり気ない現地ならではの風景がしっかり入り、果ては谷いっぱいに広がるケシ畑だ。ニーズを踏まえたお約束を外さないのが嬉しい。

印象的なのはタイの軍閥で大部隊を率いる羅嘉良(ロー・ガーリョン)だ。それまでは現地勢力も中華系が多くてローカル映画感が強かったが、タイ人にも見える圧倒的な存在感で軍服もハマっていて最高であった。
それになんといっても劉青雲(ラウ・チンワン)だ。ポスター通りキャラを作り込んでいて、風格もたっぷりでニヤニヤできる。
どんどん舞台が移動していき、見せ場も多いので退屈せず見られる。「93國際列車大劫案:莫斯科行動(2023)」より更に見せ方が上手くて楽しい。

 

掃毒3: 人在天涯

 

ストーリーはまあ想像通りなので、プログラムピクチャーとして乗っかって見るのが正解だし、最後の銃撃戦ではまさかの⁉︎また⁉︎のあの大物も飛び出てくるので、監督のファンなら大満足だろう。
郭富城(アーロン・クォック)はやはりロマンスが似合うし、彼の泣く姿は誰よりもハマっていて、まさに適役であった。

スッキリと見終われる、もはや伝統芸のような娯楽活劇であった。もはや邱禮潯(ハーマン・ヤウ)監督は香港アクションの第一人者と言える存在になったかもしれない。

 

中国映画レビュー「93國際列車大劫案:莫斯科行動 Moscow Mission」 - daily diary

 

 

 

【トピック】

◯ 2023年7月6日に中国本土で先行公開、香港では7月27日に公開。
香港では「オッペンハイマー(2023)」「バービー(2023)」、中国では「妻消えて(2023)」「ネバーギブアップ八角籠中(2023)」などに次いで、ともに公開初週は興収ランキング4位。
興行収入は香港で1398万香港ドル(27.1億円)、中国本土では2.85億元(59.8億円)

中国映画レビュー「妻消えて ロスト・イン・ザ・スターズ 消失的她 Lost In The Stars」 - daily diary

中国映画レビュー「ネバーギブアップ 八角笼中 八角籠中 Never Say Never / Octagonal」 - daily diary

 

 

◯ 日本では2023年11月2日からの香港映画祭2023で上映された。

makingwaves.oaff.jp

 

◯ 撮影は当初2021年3月からタイで撮影される予定であったが、新型コロナの状況から中国・雲南省シーサンパンナ・タイ族自治州汕尾市、中国でのコロナ禍の状況が悪化した後は、香港北部の元朗に麻薬工場のセットを建設して撮影した。

 

 

◯ 監督の邱禮潯(ハーマン・ヤウ)はドニー・イェン主演ではない方の、デニス・トーアンソニー・ウォンが主演している「イップ・マン」シリーズの監督として知られている。
今作のシリーズ前作となる劉德華(アンディ・ラウ)&古天樂(ルイス・クー)主演の「ホワイト・ストーム(掃毒2、2019)」も監督。
最近では、劉德華(アンディ・ラウ)主演の爆弾処理班を描いた香港映画「ショックウェイブ(2017)」&「バーニング・ダウン 爆発都市(2020)」を監督しており、それ以外に「洩密者們(2018)」や、アクション以外のジャンルでは「77回、彼氏をゆるす(2017)」や、周星馳(チャン・シンチー)との共同監督となった中国映画「新喜劇王(2019)」などの意外な作品も手掛けている。
2023年は本作以外にも、张涵予(チャン・ハンユー)&劉徳華(アンディ・ラウ)共演の「93國際列車大劫案:莫斯科行動(2023)」、同じく古天樂(ルイス・クー)主演の「暗殺風暴」、中国映画の「绝地追击」と、驚異の4本もの監督作が公開という、尋常ではない年となっている。

ホワイト・ストーム 世界の涯て 掃毒3: 人在天涯

中国映画レビュー「93國際列車大劫案:莫斯科行動 Moscow Mission」 - daily diary

香港映画レビュー「ショック ウェイブ 爆弾処理班 拆弹专家 (拆彈專家) Shock Wave」 - daily diary

香港映画レビュー「バーニング・ダウン 爆発都市 拆彈專家2 Shock Wave 2」 - daily diary

香港映画レビュー「洩密者們 The Leakers」 - daily diary

香港映画レビュー「77回、彼氏をゆるす 原諒他77次 77 Heartbreaks」 - daily diary

中国映画レビュー「新喜劇王 新喜剧之王 The New King of Comedy」 - daily diary

 

 

 

劉青雲(ラウ・チンワン)

◯ 麻薬王・康素差(カン)。
◯ 今や言わずとしれた香港映画のトップスターを張る大御所。「我要成名(2006)」「インターセプション 盗聴戦(2014)」で香港金像獎主演男優賞をすでに2度受賞、「奪命金(2011)」で台湾金馬奨受賞。そして「神探大戦 (2022)」で3度めの香港金像獎主演男優賞受賞となった。
最近も「インテグリティ/煙幕(2019)」「バーニング・ダウン 爆発都市(2020)」、そして2022年は「神探大戦 (2022)」と年間香港興収1位獲得の「未来戦記(2022)」と、主演作が続々ヒットした。
掃毒3: 人在天涯

香港映画レビュー「バーニング・ダウン 爆発都市 拆彈專家2 Shock Wave 2」 - daily diary

香港映画レビュー「神探大戦 神探大戰 Detective vs Sleuths」 - daily diary

 

 

 

郭富城(アーロン・クォック)

◯ 捜査で康素差(カン)組織に潜入していた刑事、張建行/Billy(チョン)。

◯ 1990年代から今もなお大人気で毎年数多くの出演作がある、現在の香港を代表する俳優であり、大人気歌手。膨大な出演作があるが、主なものは
杜琪峯(ジョニー・トー)監督「裸足のクンフー・ファイター(1993)」「柔道龍虎房(2004)」「リー・ロック伝/大いなる野望 PART II(1991)」「父子(2006)」「浮城(2012)」「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義(2012)」と続編「コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義(2016)」、周潤發(チョウ・ユンファ)との「プロジェクト・グーテンベルク(2018)」、中国映画「ピースブレーカー(2017)」、翁子光(フィリップ・ユン)監督の「九龍猟奇殺人事件(2015)」と梁朝偉(トニー・レオン)と共演した「風再起時(2022)」の2作など。

掃毒3: 人在天涯

香港映画レビュー「プロジェクト・グーテンベルク 無雙 Project Gutenberg」 - daily diary

中国映画レビュー「ピースブレーカー 破・局 Peace Breaker」 - daily diary

香港映画レビュー「風再起時 Where the Wind Blows」 - daily diary

 

 

 

古天樂(ルイス・クー)

◯ 同じく潜入捜査をしていた歐志遠(アウ)、麥振榮。

◯ 1990年代から数多くのドラマ・アクション映画などで活躍してきた香港を代表する俳優・歌手。1990年代後半からドラマ「神鵰俠侶 (1995)」「刑事偵緝檔案IV(1999)」「創世紀(1999)」「尋秦記 タイム・コップB.C250(2001)」などで人気となる。
映画は更に無数の作品に出演しているが、杜琪峯(ジョニー・トー)監督「エレクション 死の報復(2006)」「ドラッグ・ウォー 毒戦(2012)」「Zの嵐(2014)」からの風暴シリーズ、「ドラゴン×マッハ!(2015)」「SPL 狼たちの処刑台(2017)」の殺破狼シリーズ、「未来戦記(2022)」などのアクション映画で知られる。アニタ・ムイの伝記映画「アニタ 梅艷芳(2021)」にも出演。

2013年には「天下一電影」という制作会社を設立。映画「6人の食卓(2022)」「逆流大叔(2018)」「四十四にして死屍死す(2023)」などの数多くの映画に出資している。

香港映画レビュー「SPL 狼たちの処刑台 殺破狼:貪狼 Paradox」 - daily diary

香港映画レビュー「アニタ 梅艷芳 Anita」 - daily diary

香港映画レビュー「6人の食卓 飯戲攻心 Table For Six」 - daily diary

香港映画レビュー「四十四にして死屍死す 死屍死時四十四 Over My Dead Body」 - daily diary

掃毒3: 人在天涯

 

 

 

杨采钰(ヤン・ツァイユー)

◯ 畑でケシ栽培をしていた村人の娘、Noon。

◯ 杨采钰(ヤン・ツァイユー)は中国の俳優。父親がタイ人なのでタイの市民権も持っているようだ。武漢生まれ深圳育ちだが高校からアメリカに留学。帰国し北京電影学院を卒業した年に映画「1980年代的爱情 (2015) 」に主演した。冯小刚(フォン・シャオガン) 監督「芳華-Youth-(2017)」で知られるようになり、監督の次作「只有芸知道 (2019) 」でも主演した。
ドラマではヒットした「欢乐颂」シリーズのシーズン3から主演、王凯(ワン・カイ)主演の「大江大河2 (2020) 」などに出演している。

芳華-Youth-レビュー(最近の中国/台湾映画5本レビュー) - daily diary

掃毒3: 人在天涯

 

 

 

謝君豪(ツェー・クワンホウ)

◯ タイで麻薬取引をしていた米諾。

◯ 数多くのドラマ、映画に出演している。「南海十三郎(1997)」で金馬奨主演男優賞受賞。映画では「天作之盒(2004)」「バーニング・ダウン 爆発都市(2020)」での犯人役や、大ヒット作「未来戦記(2022)」「風再起時(2022)」「毒舌弁護人(2023)」など昨今更に大作出演が増加中の一方で、「飯戲攻心2(2024)」などのコメディ、「香港の流れ者たち(2021)」「香港ファミリー(2022)」などの深いテーマの作品にも出演している。
ドラマでは古装劇「月に咲く花の如く(2017)」「三国志 Secret of Three Kingdoms(2018)」など。

掃毒3: 人在天涯

香港映画レビュー「バーニング・ダウン 爆発都市 拆彈專家2」 - daily diary

香港映画レビュー「毒舌弁護人~正義への戦い~ 毒舌大狀 A Guilty Conscience」 - daily diary

香港映画レビュー「風再起時 Where the Wind Blows」 - daily diary

香港映画レビュー「飯戲攻心2 Table For Six 2」 - daily diary

 

 

 

羅嘉良(ロー・ガーリョン)

◯ 大量の武器とともに数千人の傭兵を抱え、麻薬取引を牛耳ってきた軍閥、戴金榮。

◯ 歌手としてもよく知られる俳優。「情濃大地(1995)」「天地男兒(1996)」、呉鎮宇(フランシス・ン)と共演した「難兄難弟(1997)」、黄日華(フェリックス・ウォン)との「天地豪情(1998)」、温兆倫(デリック・ワン)・林峯(レイモンド・ラム)らとの「流金歲月(2001)」、古天樂(ルイス・クー)や恵英紅(カラ・ワイ)も出演の大ヒットドラマ「創世紀(1999)」の主演など、1990年代に数多くのドラマに出演、主題歌も歌って「視帝」と呼ばれるほどの大人気となった。
2000年代以降は「岳飛伝-THE LAST HERO-(2012)」「東宮(2019)」「盛唐百物語(2022)」、そして「玉骨遥(2023)」など、主に中国本土の歴史劇を中心に出演。
最近の映画では、中国映画「フラッシュオーバー 炎の消防隊(2023)」に出演している。

掃毒3: 人在天涯

 

 

 

その他の俳優

◯ 肥雄:林雪(ラム・シュー)

◯ 80年代より映画界で活動。杜琪峯(ジョニー・トー)監督に気に入られ「ロンゲストナイト(1997)」「ザ・ミッション 非情の掟(1999)」などに出演。監督の「PTU(2003)」で映画賞を受賞する。その他「ミッドナイト・アフター(2014)」「クレイジー・ナイン(2015)」「大樹は風を招く(2016)」などで知られている。
最近では「七人樂隊(2021)」「潛行(2023)」などに出演している。

掃毒3: 人在天涯

 

 

◯ 阿細:劉浩龍(ウィルフレッド・ラウ)

◯ 歌手として非常によく知られているが、映画・ドラマにもよく出演している。
今作の邱禮潯(ハーマン・ヤウ)監督作「洩密者們(2018)」「バーニング・ダウン 爆発都市(2020)」に出演している他、「追龍(2017)」「卧底巨星(2018)」などに出ている。

掃毒3: 人在天涯

香港映画レビュー「洩密者們 The Leakers」 - daily diary

香港映画レビュー「バーニング・ダウン 爆発都市 拆彈專家2 Shock Wave 2」 - daily diary

香港映画レビュー「追龍 Chasing the Dragon」 - daily diary

中国映画レビュー「卧底巨星 Keep Calm and Be a Superstar」 - daily diary

 

 

 

◯ 咖哩:丘占輝
◯ 今作が映画デビュー作。今年公開予定の、今作の邱禮潯(ハーマン・ヤウ)監督作で張學友(ジャッキー・チュン)&謝霆鋒(ニコラス・ツェー)主演の「海關戰線(2024)」にも出演している。

掃毒3: 人在天涯

 

 

 

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com