香港映画レビュー「バーニング・ダウン 爆発都市 拆彈專家2」

バーニング・ダウン 爆発都市 拆彈專家2

 

 

拆彈專家2バーニング・ダウン 爆発都市


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【スタッフ & キャスト】

2020年 香港・中国
監督:邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
出演:劉德華(アンディ・ラウ)劉青雲(ラウ・チンワン)倪妮(ニーニー)謝君豪(ツェー・クワンホウ)姜皓文(フィリップ・キョン)吳卓羲(ロン・ン)

 

【ストーリー】

爆弾処理班に所属するフォンは、数々の事件を解決してきたエースだったが、爆発に巻き込まれ左足を失ってしまう。恋人や同僚の助けもあり、義足とは思えないほど身体機能が回復するが、上層部はフォンの現場復帰を認めなかった。仕事一筋で生きて来たフォンは自暴自棄になり、警察を辞めて姿をくらませる。そのフォンが、テロ組織「復生会」によるホテル爆破事件の現場で、重体の状態で発見される。容疑者として病院に収容されたフォンは尋問を受けるが、爆発の影響で過去の記憶を失っていた。そこに、フォンを救い出すべく復生会が乗り込んでくる。「なぜテロ組織が俺を助けるのか―?」フォンは病院から抜け出しひとりで逃亡するが―。

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【感想】

前作にも増してスケールの大きなアクション、さらに深みを増したドラマで前作以上に楽しめた。
2017年の前作「ショックウェイブ 爆弾処理班」とは設定もリセットされており、前作を見ておく必要はない。前作のエンディングを考えれば、それは当然でもあるが。
一方でキャストはそれほど変わっておらず、ヒロインが前回の宋佳(ソン・ジア)から同じく中国の倪妮(ニーニー)にスイッチし、小学校教師という外側の立場から香港警察の反恐特勤隊隊長へとよりフォンに近い立ち位置に変化。そこへ相棒として新たに劉青雲(ラウ・チンワン)が追加され、前回のアンディ・ラウ一人のヒーローの物語から互いに思いやる3人の物語へと変貌した。それを活かすためかストーリーがよりお互いに協力しあい関わり合う形になっていて、より重層的な深みのある物語になっている。
前回のプン・センフォンことアンディ・ラウは、己の仕事を追求する理想的な人格として描かれていたが、今回はむしろ逆になっており、傷つき、怒り、そして闇落ちしていく。まるで「レイジング・ファイア(2021)」での謝霆鋒(ニコラス・ツェー)を思い出す。いつも穏やかな笑顔をたたえているイメージとまるで違う、どうしようもない不条理に激昂するアンディ・ラウが描かれ、それが却って新鮮でもあった。さらに本作はそこから記憶喪失という要素を追加することで、昨年の彼の出演作「人潮汹涌(2021)」の魅力まで盛り込んだてんこ盛り状態となるのだ。ここまで盛り込まれてしまうと、正直に言って見ていてちょっとややこしい。時制も行き来しながら描かれるため混乱する人も出てきそうだ。
個人的には倪妮(ニーニー)ことポン・レンの描かれ方が心に残った。フォンへの深い思いから、自ら行動し続ける強い意志と決断力を持った人物に描かれていて、それでこそフォンの相手にふさわしいと思わせる人格者として描かれている。

アクションは今回も見どころ満載で魅せてくれる。義足という設定でより緊張感が増す仕掛けの逃走シーン、なぜか仕掛けがすべてが時限爆弾という、まさに爆弾処理班のためのストーリーなど、ツッコミ待ちかと思わせつつも怒涛のスピード展開ですべて置いてきぼりにしていくので、余計なことを考えずに楽しんだ方が勝ちだ。前回はクロスハーバー・トンネルが舞台だったが、今回は花園街や青馬大橋など、香港島~空港までの広大なエリアが舞台となっているので、地理を想像しながら見るとより緊張感を高めることができる。

 

 

【トピック】

○ そもそもは2020年夏の公開を予定していたが新型コロナの影響を受けて延期され、中国本土と台湾では2020年12月24日に公開。だが香港では更に2021年2月18日まで公開がずれ込んだ。

○ 監督の邱禮濤(ハーマン・ヤウ)は「イップ・マン」シリーズの監督として日本版プロフィールに記載があるが、これはあのドニー・イェン主演でよく知られている名作シリーズ「イップ・マン」とは別もの(デニス・トーアンソニー・ウォンが主演している版)なので注意が必要だ。邱禮濤(ハーマン・ヤウ)はそれ以外に「洩密者們(2018)」や、アンディ・ラウ&ルイス・クー主演の「ホワイト・ストーム(2019)」などの監督で知られ、他にもアクション以外のジャンルでも監督しており「77回、彼氏をゆるす(2017)」や、チャン・シンチーとの共同監督となった中国映画「新喜劇王(2019)」などの意外な作品を手掛けている。

○ 言わずとしれたスター、アンディ・ラウ。筆者が見た彼の最近の出演作は「人潮汹涌(2021)」「唐人街探偵 東京MISSION(2021)」「追龍(2017)」「誘拐操作(2015)」などである。

○ 元相棒で一緒に怪我をした董卓文役の劉青雲(ラウ・チンワン)は、今回でアンディ・ラウと3度目の共演となる。個人的には「忘れえぬ想い(2003)」での哀愁ある演技を真っ先に思い出す俳優だ。

○ 元恋人役の倪妮(ニーニー)は中国の俳優。「28歳未成年(2016)」での二役を演じ分ける高い演技力が印象的だった。中国建国100周年映画の一つで大物俳優が大量出演する映画「1921(2021)」でも主演している。

○ 前作では相棒役であり、今作では課長となっている李耀昇役は姜皓文(フィリップ・キョン)。「共謀家族(2019)」「大楽師(2017)」にも出演していた。

○ 若手爆発物処理班隊員の役を演じた吳卓羲(ロン・ン)は、ドラマ「恋するパイロット(2003)」で人気を得た。「ハード・ナイト(2019)」やリッチー・レン、サイモン・ヤム主演の「邊緣行者(2022)」にも出演している。

○ ロケ撮影は中環や旺角、尖沙咀エリア、空港、MTR駅のほか、佐敦付近のテンプル ストリート等で行われた。

 

 

前作のレビュー

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