香港映画レビュー「四十四にして死屍死す 死屍死時四十四 Over My Dead Body」

四十四にして死屍死す 死屍死時四十四 Over my dead body 

 

 

 

死屍死時四十四


www.youtube.com 《死屍死時四十四》終極預告 4月4日 笑出希望 Over My Dead Body Official Trailer



 

【スタッフ & キャスト】

2023年 香港 119分
監督: 何爵天(ホー・チェクティン)
出演: 毛舜筠(テレサ・モウ)鄭中基(ロナルド・チェン)黃又南(ウォン・ヤウナム)余香凝(ジェニファー・ユー)呂爵安(イーダン・ルイ)楊偉倫(ヨン・ワイルン)

 

 

 

 

【ストーリー】

娘ひとりに妻と義母、義弟の5人で義母のマンションに住んでいたミン(杜志銘)【鄭中基(ロナルド・チェン)】は、ある夜玄関の前になんと死体が置いてあるのを発見する。
もし我が家の玄関前で死体が発見され捜査や新聞報道が出たら、この部屋の資産価値は一気に下がるだろう。ちょうどもっと広いマンションに買い替えを考えていたミン一家は、義母(蘇文鳳)【毛舜筠(テレサ・モウ)】の指示で密かに死体を隣の玄関へと移動させる。だがしっかりとバレてしまい、同じ階の住人同士で死体の押し付けあいの大騒動へと発展していくのだった。

 

 

 

【感想】

スカッと笑えて気持ちよく見終われる楽しい映画だった。テンポ良いセリフのやり取りやファンタジックな演出もあって、誰でも楽しめるコメディになっている。

まずは子育て中の夫婦ではあるある話な”狭い家から引っ越ししたい”話から始まり、マンション一室に夫婦と子供、義母、義兄の5人が一緒に住んでいることがわかる。これは確かに息が詰まるなあと思っていると、もう早速あの「死体」が登場してくるというテンポの良さだ。

そこから先も次から次に住人が登場し、どんどん「死体」が動かされていき、話がどんどん進んでいく。最初は静かに知られないようそーっと「死体」を隣へ移すだけだったのが、次第に大きな声になっていき広東語での言い合いや罵倒の嵐と進展、さらにフロア住人一丸となってなんとかしようとドタバタの大騒動へと発展していく。

住宅事情の話だったり、狭いフロアでストーリーが展開していく感じが香港ぽいとも言えるが、やっぱり会話の応酬の面白さやドタバタな笑いが香港映画っぽくて楽しい。

ストーリーは住宅の中だけで進むのだが、その割には13人と多くの登場人物がどんどん登場するので情報は盛りだくさんだ。それぞれのバックストーリーも興味深いのだが結構はしょって進んでいく感じで、もうちょっと一人ひとりを深掘りしても面白かったかもしれない。

 

死屍死時四十四

 

個人的には義母役の毛舜筠(テレサ・モウ)とタクシー運転手役の鄭中基(ロナルド・チェン)という、二人の芸達者にやっぱり惹きつけられた。毛舜筠(テレサ・モウ)のチャキチャキな雰囲気ながら上品さのある元気さが見ていて楽しいし、鄭中基(ロナルド・チェン)は前に見た映画「大樂師 為愛配樂(2017)」よりかなり大柄になっていたが(笑)、画面に出てくるだけで存在感が圧倒的だ。

寓話的でほんわかしたエンディングなのに、最後に鬱憤晴らしもあって観ている観客としても最高であった。

 

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【トピック】

◯ "四十四"にかけた2023年4月4日に公開。公開2ヶ月で2300万香港ドル(4.1億円)の興収となった。

 

◯ 2023年3月10日からの大阪アジアン映画祭にてワールド・プレミア(世界初上映)され、何爵天(ホー・チェクティン)監督と主演の鄭中基(ロナルド・チェン)も来場した。

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◯ 何爵天(ホー・チェクティン)監督は、初監督作品となる前作「正義迴廊(2022)」が4000万香港ドル(7.1億円)を超え、2022年度香港興収ランキング第4位となる大ヒット作となり、香港金像奨でも作品賞、監督賞、男女主演賞などを含む14部門ノミネートとなった。今作が2作めの監督作品となる。
郭富城(アーロン・クォック)主演「九龍猟奇殺人事件(2015)」などで知られる翁子光(フィリップ・ユン)監督のもとで助監督などをしていた。今作も翁子光(フィリップ・ユン)による制作費の寄付と監修を受けている。

 

 

 

 

黃又南(ウォン・ヤウナム)と余香凝(ジェニファー・ユー)

 

◯ 夫、ミン(杜志銘)役の黃又南(ウォン・ヤウナム)は、フルーツ・チャン監督の金馬奨受賞作「ハリウッド★ホンコン(2001)」で自身も新人賞にノミネート。同時に二人組の音楽グループ"SHINE"としても活動していた。「イップ・マン 序章(2008)」「ミッドナイト・アフター(2014)」「王家欣 ウォン・カーヤン(2015)」などに出演している。

 

◯ 妻、鍾小瀅役の余香凝(ジェニファー・ユー)は、廖子妤(フィッシュ・リュウ)と共演した「姉妹関係(2016)」で香港金像獎新人賞ノミネート。「縁路はるばる(2021)」でも台湾金馬奨や香港金像獎で助演女優賞にノミネートされた。

死屍死時四十四

 

 

 

 

毛舜筠(テレサ・モウ)と楊偉倫(ヨン・ワイルン)

 

◯ 妻、鍾小瀅の母親役の毛舜筠(テレサ・モウ)(左から二人目)は、1970年代後半の10代の頃から映画やバラエティで活躍。「早熟 〜青い蕾(つぼみ)〜(2005)」で金像獎助演女優賞、「黃金花(2018)」で金像獎主演女優賞を受賞。
昨年も主演作「ママの出来事(2022)」が公開、「香港ファミリー(2022)」では今作同様に呂爵安(イーダン・ルイ)と共演している。他にも「夜の珍客(2015)」「燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020)」などにも出演している。

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◯ 妻、鍾小瀅の兄を演じた楊偉倫(ヨン・ワイルン)(右端)は、何爵天(ホー・チェクティン)監督の前作「正義迴廊(2022)」で主演の殺人犯を演じ、金像獎主演男優賞にノミネートされた。
香港版おっさんずラブ「大叔的愛(2021)」にも出演している。

死屍死時四十四

 

 

 

 

劉江(ラウ・コン)と黃文慧(ボニー・ウォン)

◯ 主人公一家の隣人、陳寶龍(Boron)役の劉江(ラウ・コン)(右端)は1960年代から活動する俳優。主にTVB(無綫電視)で数多くのドラマ・映画に出演している。
映画ではダンテ・ラム監督・ニコラス・ツェー主演の2作「ビースト・ストーカー/証人(2008)」「密告・者(2010)」、ドラマでは「歳月風雲(2007)」「金宵大厦(2019)」などが知られている。

◯ 陳寶龍の妻、陳李惠珠(Betty)役の黃文慧(ボニー・ウォン)(右から二人目)。映画「アンディ・ラウの 麻雀大将(2002)」やミリアム・ヨン主演「私の胸の思い出(2006)」、ドラマ「射鵰英雄伝(1983)」などで知られている。

死屍死時四十四

 

 

 

 

鄭中基(ロナルド・チェン)と呂爵安(イーダン・ルイ)

 

死屍死時四十四

 

◯ 同じフロアの隣人、タクシー運転手をしている張就(Bear)を演じたのは鄭中基(ロナルド・チェン)。有名歌手だが俳優もしており、「低俗喜劇(2012)」で金像獎助演男優賞を受賞、「大樂師 為愛配樂(2017)」でも金像獎主演男優賞にノミネートされる。大ヒットした下記「闔家辣(2021)」では本作同様に呂爵安(イーダン・ルイ)と親子の役で出演している。他にも「ドラゴン・フォー(2012)」や、「スペシャルID 特殊身分(2013)」などで知られている。

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死屍死時四十四

 

 

◯ 張就(Bear)の息子、張子儀役の呂爵安(イーダン・ルイ)は、アイドルグループMIRRORのメンバーとして2018年にデビュー。名門香港大学卒の優等生だ。俳優デビューで主演ドラマ、香港版おっさんずラブ「大叔的愛(2021)」には楊偉倫(ヨン・ワイルン)も出演。上記「闔家辣(2021)」で映画に初出演、本作同様に鄭中基(ロナルド・チェン)と親子役を演じた。映画2作めとして今作共演の毛舜筠(テレサ・モウ)主演の「香港ファミリー(2022)」 に出演。
同じMIRRORメンバーの柳應廷(ジャー・ラウ)も本作に出演している。

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陳漢娜(ハンナ・チャン)と柳應廷(ジャー・ラウ)

 

死屍死時四十四

◯ 1つ下の階に住む住人、于素素を演じたのは陳漢娜(ハンナ・チャン)。モデルで女優だが硬派な作品にも出演しており、「SPL 狼たちの処刑台(2017)」で金像獎最優秀新人賞を受賞したほか、「G殺(2018)」「逃獄兄弟(2020)」などに出演。また余香凝(ジェニファー・ユー)と同じく「縁路はるばる(2021)」 にも出演している。

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◯ 于素素の彼氏役は柳應廷(ジャー・ラウ)。呂爵安(イーダン・ルイ)と同じくMIRRORのメンバーだ。
毛舜筠(テレサ・モウ)の主演作「ママの出来事(2022)」に彼女の息子役として出演している。

 

 

 

 

 

 

 

 

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