唐探1900 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画
【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】
唐探シリーズらしいドタバタコメディをベースに、知られざる中国人とアメリカの関わりを明るみにする、とても新鮮で興味深い歴史エンタメに仕上がっていた。クライマックスでの周潤發(チョウ・ユンファ)の見事な大演説で、最高に痛快な良作になっている。
www.youtube.com Detective Chinatown 1900 (2025) 唐探1900 - Movie Trailer - Far East Films
【スタッフ & キャスト】
2025年 中国 136分
导演: 陈思诚(チェン・スーチェン)、戴墨(ダイ・モオ)
出演: 王宝强(ワン・バオチャン)、刘昊然(リウ・ハオラン)、周润发(周潤發、チョウ・ユンファ)、白客(バイ・クー)、张新成(チャン・シンチョン)、岳云鹏(ユエ・ユンポン / ユエ・ユンパン)
【あらすじ】
1900年のサンフランシスコ。チャイナタウンではグラント下院議員【ジョン・キューザック】の娘・アリスが殺される事件が発生した。犯人はチャイナタウンの中国人に違いないと怒りを募らせるグラント。
事態を憂慮するチャイナタウンの元締め・白轩龄【周润发(周潤發、チョウ・ユンファ)】は、若い探偵・秦福【刘昊然(リウ・ハオラン)】に真相の究明を依頼する。偶然出会ったネイティブアメリカンに育てられた男・阿鬼【王宝强(ワン・バオチャン)】と共に、秦福は事件の捜査を開始する。
【感想】
唐探シリーズらしいドタバタコメディをベースに、知られざる中国人とアメリカの関わりを明るみにする、とても新鮮で興味深い歴史エンタメに仕上がっていた。クライマックスでの周潤發(チョウ・ユンファ)の見事な大演説で、最高に痛快な良作になっている。
今作で第4弾となる「唐人街探偵」シリーズは、世界各地の唐人街=チャイナタウンを舞台にして、王宝强(ワン・バオチャン)と刘昊然(リウ・ハオラン)の2人がドタバタに巻き込まれながら事件を解決するのがフォーマットだが、1作目のタイ・バンコクから、ニューヨーク、そして第3弾の「東京MISSION(2021)」でピークに達して、まだバブル崩壊前の中国のムードも反映した、かなりゴージャスで賑やかな作品だった。
あれから4年、遂に公開された新作は、まずポスタービジュアルを見て正直戸惑ったものだ。舞台は再びアメリカだが…120年前の大昔、しかも王宝强(ワン・バオチャン)はネイティブアメリカンの格好をしてるではないか…中国人の設定だよね?「うわぁ~これは地雷の匂い…」である。しかも今はもう前作みたいなドタバタがウケた時代の空気はない。果たして…と少々心配しながら劇場の席に座った。
そうして2時間を過ごした後の気持ちは「そう来たか!」であった。シリーズファンも満足な2人のキャラとスピーディな展開はそのままに、歴史要素がしっかりと取り入れられている。それも筆者は聞いたこともなかった驚きの歴史エピソードに光を当ててクライマックスに繋がっていく。前作までに比べるとコメディやミステリー部分は減っているものの、その分新しい方向へと向かっている。非常に丁寧に練られた脚本だし、監督や作り手たちの熱意も感じられる。もし筆者が中国人や世界各地の華人ならきっと喝采を送るようなエンディングで、想像以上に楽しめた快作だった。
とにかく周润发(周潤發、チョウ・ユンファ)が素晴らしくて、なかでも彼の話す英語が最高だ。登場した時から、中華街の元締めに相応しい、良質でクラシックなスーツを纏った含みのある穏やかな雰囲気がもう、オーラを放ちまくる。そして中国、香港の俳優でもトップレベル、今作に至っては端役の白人俳優より洗練されている程の、発音やリズムが気持ちいい英語が役にぴったりハマっていた。最後の演説では、その英語力が遺憾なく発揮されていて、これぞスピーチ、中国映画だからとかの言い訳が必要ない、これぞアメリカが舞台の物語になっていた。もう流石としか言いようがない。
映画は後半になってどんどん面白くなっていく。例えば王宝强(ワン・バオチャン)のネイティブアメリカンな格好みたいに不安だった要素や、清の官吏・岳云鹏(ユエ・ユンポン / ユエ・ユンパン)やマジシャン・魏翔(ウェイ・シャン)の、まるでディズニー映画の様にキャラが立ったキャラクターたちも、実はみんな史実に裏書きされた設定で、多くが実在の人物をモデルにしている。
前半だけ見ていると、このシリーズのリアリティラインに合わせてデフォルメされ、ドタバタコメディ要員=濃いキャラ要素としてあてがわれただけに感じるが、後半になってどんどん意味を持ち始める。実は彼らは皆、後半の物語を駆動させるために用意されていた事がわかってくるのだ。
しかもこの物語、筆者も知らなかった「中国人排斥法」と「アメリカ合衆国対ウォン・キム・アーク裁判」という、アメリカの歴史にも残る出来事を描いていて、正直とても興奮させられた。20世紀になったばかりのアメリカで、中国人がこんな形で関わっていた事を果たして多くの中国での観客は知っていたのだろうか?
もし同じように知らずに見始めて、こんな劇的なストーリーが、しかも実話だと知ったなら、それは大興奮だし、しかも自分達の先祖がまさかアメリカの歴史に関わっていたなんて知ったら、そりゃあ誇らしい気持ちにもなるだろう。現在の中国での大ヒットも頷ける訳だ。
今まで在米華人を描いた映画は「ジョイ・ラック・クラブ(1993)」や、ジャッキー・チェンの「シャンハイ・ヌーン(2000)」、そして「クレイジー・リッチ!(2018)」などなど、今までにも作られてはいるが、この時代を描いた作品はほぼ無かったようだ。しかもこの時代の後は、我が日本人が彼らに代わって移民していき、同じような運命=「排日移民法」へと辿る事になる。他人事でなく、日本人にも関係大アリの歴史的事実なので、是非とも見て欲しい。
脚本はかなり入念に作られているし、特に唐探シリーズの"らしさ"と新味、歴史考証のバランスのチューニングが相当細かく練られているように感じた。多くの魅力的なキャラをテンポ良く派手に動かすという実写版ディズニー、または「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990)」的なノリの演出も楽しいので、娯楽として見たければそれだけでも満足できるし、新鮮な発見はまだまだ深掘りできる程の知的興味も備えている。なんとなれば監督はこの路線での唐探シリーズも作りたがっているらしくて、それも納得だ。なにより、どちらの見方でも最後のカタルシスで大満足なのは間違いない。
タイミング良くというか、トランプ政権下の今、現在のアメリカへの風刺にもなってしまっているので、日本で公開しても問題なくみんなが楽しめるだろう。ぜひ日本で見たい良作だ。
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【トピック】
◯ 春節休暇に合わせた2025年1月29日に中国で一般公開。公開初週は後に記録的大ヒットとなったアニメ映画「ナタ(哪吒):魔童鬧海(2024)」に次ぐ2位を獲得。その後も同じ順位を続け、なんと公開2ヶ月に迫る3月23日まで、実に8週間連続で2位をキープした。
興行収入は4月3日現在で既に35.67億元(725億円)という大ヒット作となっている。
◯ 監督は陈思诚(チェン・スーチェン)。
今作までにタイが舞台の第1作(2015)、元華(ユン・ワー)など香港アクションのレジェンドと妻夫木聡が登場した第2作「NEW YORK MISSION(2018)」、長澤まさみや三浦友和ら日本人俳優多数登場の「東京MISSION(2021)」の計3作が公開された、世界各国の中華街が舞台の大ヒットシリーズ 「唐人街探偵」の監督として最も知られている。
そして、それぞれ大ヒットの「共謀家族(2019、原題:误杀)」&「误杀2(2021)」、「妻消えて(2023)」、そして今年の「黙する者が生きし場所(2024)」という"異国ものサスペンス映画"シリーズのプロデューサーでもある。
そもそもは俳優としてキャリアを始め、大ヒット名作軍隊ドラマ「士兵突击 (2006)」で知られるようになる。婁燁(ロウ・イエ)監督の映画「スプリング・フィーバー(2009)」などにも出演。
2012年、自身が監督・脚本・主演したドラマ「北京爱情故事 (2012)」が大ヒットし、その映画版(2014)も自らで撮り上げ、こちらも興行収入4億元を越すヒットとなって監督としてのキャリアをスタートした。
最近作は、今作にも登場したジョン・キューザックを客演に迎え、刘昊然(リウ・ハオラン)が主演の「デクリプト(2024)」。
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◯ 共同監督の戴墨(ダイ・モオ)は、2004年に名門中央戯劇学院の監督科を卒業したのだが、当初は俳優として、今回プロデューサーを務めた陈思诚(チェン・スーチェン)が主演のドラマ「北京爱情故事 (2012)」の他、「因为遇见你 (2017)」、「远大前程 (2018)」などに出演。
そこから「唐人街探偵 NEW YORK MISSION(2018)」で助監督、ドラマ版「唐人街探偵(2020)」の1話を監督した後、「共謀家族(2019)」の続編「误杀2(2021)」で映画監督デビューという、陈思诚(チェン・スーチェン)の手掛ける作品群を手がけている。監督2作目は陈思诚(チェン・スーチェン)の思い出の俳優たちが多数出演する良作「三大队(三大隊、2023)」で、今作が第3作めの監督作となる。
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刘昊然(リウ・ハオラン)
◯ ひょんなことからサンフランシスコにやって来た、探偵マニアの学生・秦福。
◯ 刘昊然(リウ・ハオラン)は「唐人街探偵」シリーズで有名になり、トップクラスへと上り詰めた俳優と言えるだろう。
ドラマでは「最上のボクら(2016)」、「琅琊榜<弐>(2017)」、「九州縹緲録(2019)」など。
そもそも「唐人街探偵」シリーズの監督・陈思诚(チェン・スーチェン)が監督・脚本・主演したドラマ「北京爱情故事 (2012)」で芸能界デビューし、新人賞を獲得しキャリアを開始していて、監督の作品への出演が多い印象だ。
最近では映画「一点就到家 (2020) 」や「1921(2021)」、「四海(2022)」にも出演しているが、特に昨年は、周冬雨(チョウ・ドンユイ)&屈楚萧(チュー・チューシアオ)と3人で主演した「国境ナイトクルージング(2024)」、ジョン・キューザックとの共演作「デクリプト(2023)」、そして東京国際映画祭への出品作「わが友アンドレ」の公開、さらにカメオとして「飞驰人生2(2024)」や中国映画週間で上映される「雲の上の売店(2024)」に出演、宮崎駿監督作「君たちはどう生きるか(2023)」中国版では主人公・眞人役の声を担当などなど、様々な出演作が一気に公開となった。
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王宝强(ワン・バオチャン)
◯ 阿鬼。中国人労働者の遺児だが、ネイティブアメリカンの一家に育てられた。
◯ 中国一有名な喜劇役者、王宝强(ワン・バオチャン)は、少年時代に嵩山少林寺で武術修行をし、その後アクション俳優のキャリアをスタート。農村出身の兵士の成長物語である大ヒット名作ドラマ「士兵突击(2006)」での印象的な役柄で全国的に知られる事となる。
その後、徐铮(徐崢、シュー・ジェン)、黄渤(ホアン・ボー)と主演した「ロスト・イン・タイランド(2012)」も大ヒット。「唐人街探偵 東京MISSION(2021)」をはじめとする唐人街探偵シリーズや周星馳(チャウ・シンチー)監督「新喜劇王(2019)」、陳凱歌(チェン・カイコー)監督「道士下山(2015)」、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督「罪の手ざわり(2013)」、曹保平(ツァオ・バオピン)監督「李米的猜想(2008)」など多くの映画に主演しているが、特に最近は印象的なドタバタ演技が彼の十八番だ。
「奔跑吧兄弟」などバラエティ番組での出演も多く、そちらでの知名度も高い。
監督業も始めており、コメディの第1作「大闹天竺 (2017)」は芳しくない評価に終わったが、2作目の孤児を育てるボクシングジム経営者を描いた「ネバーギブアップ(2023)」は素晴らしい出来の良作であった。
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周润发(周潤發、チョウ・ユンファ)
◯ 中華街の商店主であり、ギャングの元締として町を牛耳っている白轩龄。白振邦の父親。
◯ 白轩龄の役柄は、同時代にニューヨークの中華系ギャングとして名を馳せた麦世荣(サイ・ウィンモック)こと麥德(モックダック)をモデルとしている。
◯ 周潤發(チョウ・ユンファ)は言わずとしれた香港映画を代表する映画スター、"亜州影帝"である。「發哥」「發仔」と呼ばれることも多い。
1980年代から数多くの大ヒット映画に出演し、ドラマ「上海灘(1980、上海グランド)」が大ヒットした後、映画「風の輝く朝に(1984、台湾金馬奨)」、「男たちの挽歌(1986、香港金像奬)」、「友は風の彼方に(1986、金像奬)」、「誰かがあなたを愛してる(1987、金馬奨)」、「過ぎゆく時の中で(1989、金像奬)」と毎年のように主演男優賞を受賞。
ハリウッド進出後は「リプレイスメント・キラー(1998)」、「グリーン・デスティニー(2000)」、「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(2007)」、「さらば復讐の狼たちよ(2010)」、「ラスト・シャンハイ(2012)」などに出演している。
昨今の映画出演はやや減っているが、1年ほど前にそのイメージを利用した役柄の主演作「別叫我"賭神"(2023)」が公開された。
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白客(バイ・クー)
◯ 留学生で革命家の郑仕良。
◯ 孫文と共に革命運動に身を投じた革命家・鄭士良がモデル。
◯ 元々大学生の頃に日本のギャグアニメを翻訳してネットに投稿するグループの先駆け「cucn2」の一人として2010年頃に知られるようになる(「ギャグマンガ日和」の中文翻訳は中国アニオタ史の大きなエポックだが、これを投稿していた)。
その後俳優として活動を開始、大ヒットしたコメディ・ウェブドラマ「万万没想到(2013)」で人気となり、世間に知られるようになった。順調にキャリアを積み重ね、周星馳(チャウ・シンチー)監督「人魚姫(2016)」、王宝强主演「大闹天竺(2017)」や、 新聞記者を描いた「不止不休(2020)」、「扬名立万 (2021) 」、「クラウディ・マウンテン(2021)」、大ヒットドラマ「三体(2023、テンセント版)」、映画「来し方 行く末 / 耳をかたむけて(2023)」などに出演。
昨年初頭に公開された大ヒット映画「年会不能停!(2023)」では、役柄が「オメガバース(ABO)」というBLと近しい二次創作での世界観内の設定で大人気となった。
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张新成(チャン・シンチョン)
◯ 白振邦。殺人の疑いをかけられている。
◯ 1995年生まれ。歌手としても知られている。高校時代から既に俳優デビューしており、芸術系の全国共通テストでは軒並みトップの成績を記録、最終的に中央戯劇学院音楽劇コースに入学した。
ドラマ「月光のイタズラ(2016)」、「你好,旧时光 (2017) 」、「大宋少年志(2019)」、「キミと奏でる交響曲<シンフォニー>(2020)」、「冰糖炖雪梨 (2020) 」、「家族の名において(2020)」、「君(あなた)になるあの日(2021)」、「天才基本法(2022)」など数々の人気作に主演/出演している。
映画はまだ少数だが、今作の戴墨(ダイ・モオ)監督の前作「三大队(2023)」に出演している。ディズニー映画「マイ・エレメント(2023)」の中国版吹替声優も務めている。
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岳云鹏(ユエ・ユンポン / ユエ・ユンパン)
◯ 西太后の命を受け、孫文と郑仕良を捕えるためにやって来た清の官吏・费洋古。
◯ 中国漫才である相声の超有名芸人でテレビでも大活躍だが、映画でも「大闹天竺(2016)」あたりから様々な作品に出演している。
主な作品は易烊千玺(イー・ヤンチェンシー / ジャクソン・イー)の主演映画2作目「送你一朵小红花(2020)」、巨匠张艺谋(チャン・イーモウ)監督作「満江紅(マンジャンホン、2023)」、コメディ「交换人生(2023)」などだが、昨年日本公開された王一博(ワン・イーボー)主演のストリートダンスの良作「熱烈(2023)」で主人公の兄役を演じた。
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その他の俳優
◯ マジシャン・金陵福を演じたのは魏翔(ウェイ・シャン)。
朱连魁(金陵福、チン・リンフー)という当時実在した有名マジシャンがモデル。天津からアメリカに渡り「西太后にも披露したマジシャン」という触れ込みで大人気となり、当時の博覧会をはじめ全米各地やイギリスなどで公演した。
アーヴィング・バーリンが作曲したオペラにも彼の名が登場するほか、クリストファー・ノーラン監督「プレステージ(2006)」でも彼と同じマジックを披露する中国系マジシャンが登場する。
◯ 大人気喜劇集団・開心麻花のスター俳優。「こんにちは、私のお母さん(2021)」でも合唱部のメンバーとして出演している。
三谷幸喜「ザ・マジックアワー(2008)」のリメイク作「トゥ・クール・トゥ・キル(2022)」で初主演。张艺谋(チャン・イーモウ)監督作「満江紅(マンジャンホン、2023)」、日本映画「百円の恋」のリメイク「YOLO 百元の恋 (2024) 」などにも出演している。
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◯ 娘・アリスを殺された下院議員のグラントを、ジョン・キューザックが演じた。
今作の陈思诚(チェン・スーチェン)監督の前作「デクリプト(2024)」で出演して以来、続投という形だ。
◯ 80年代から活躍する名優・ジョン・キューザックは数多くの主演作もあるが、やがて自身で映画製作も開始し「ポイント・ブランク(1997)」や「ハイ・フィデリティ(2000)」といった良作を監督した。
主な出演作は「スタンド・バイ・ミー(1986)」、「セイ・エニシング(1989)」、「ウディ・アレンの影と霧(1992)」、「コン・エアー(1997)」、「マルコヴィッチの穴(1999)」などがある。
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◯ 阿鬼の兄弟で部族のリーダー・疯马は尹正(イン・ジョン)。
韩寒(ハン・ハン)監督作の常連で、前作「四海 (2022)」でも主人公の兄貴分役で出演、監督がプロデュースしたミステリー「扬名立万(2021)」では主演、「ペガサス/飛馳人生(2019)」と続編「飞驰人生2(2024)」でも出演していた。歌手でもある。
喜劇集団「開心麻花」関連作にもよく出演しており、「夏洛特烦恼(2015)」や「恥知らずの鉄拳(2017)」にも出演。ダンス映画「僕らが空を照らしたあの日(2021)」では、かなりクセのあるコミカルな役作りをしている。
ドラマではヒット作「麻雀(2016)」に出演、京劇を描いた美しい名作ドラマ「君、花海棠の紅にあらず(2020)」で主演している。
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実話をベースにしたストーリー:中国人排斥法とウォン・キム・アーク裁判
◯ 本作のベースとなっているのは、19世紀末から実際に発生した在米中国人への激しい迫害からの2つの大きな出来事「中国人排斥法」と「アメリカ合衆国対ウォン・キム・アーク裁判」である。
◯ 当時はゴールドラッシュや大陸横断鉄道建設といった特需景気が終わり、中国系に限らず街中に仕事を探す多くの人々で溢れていた時代。1865年の奴隷制廃止によって開放された黒人層から低賃金の仕事を率先して引き受け、他国の移民やアメリカ人の仕事を奪っていく中国系移民が疎まれていった。
そうした背景からアメリカ政府は1882年、中国人だけに限定して移民や帰国、市民権の制限を課す「中国人排斥法」を施行した。(これは結果的に日本人移民の増加を促し、そのまま日本人移民を禁止した1924年の「排日移民法」成立へと繋がっていく。)
◯ この「中国人排斥法」によって、法的にも中国人移民は一旦帰国すると二度とアメリカに入国できなくなる状況となってしまった。アメリカで生まれ育った中国系アメリカ人ウォン・キム・アークもこの法律によって入国拒否となり、裁判で争い、なんと勝訴。
この「アメリカ合衆国対ウォン・キム・アーク裁判」で勝訴した事により、中国系アメリカ人の再入国が認められ、なによりも「アメリカで生まれた者にはアメリカ国籍が与えられる」という国籍の出生地主義を移民にも適用すると認めた歴史的判決となった。
◯ また周潤發(チョウ・ユンファ)演じる白轩龄は、同時代にサンフランシスコではなくニューヨークのチャイナタウンで、実際に中華系ギャングとして名を馳せた麦世荣(サイ・ウィンモック)こと麥德(モックダック)をモデルとしている。周潤發(チョウ・ユンファ)の項も参照のこと。
◯ 白客(バイ・クー)が演じる革命家・郑仕良のモデルとなった鄭士良は、中国革命の父・孫文と共に革命運動に身を投じた人物。劇中のタイミングでの孫文は、ちょうどアメリカ・イギリスへと渡り革命家として世に知られる事になろうという時期にあたる。そして、その後の1911年に辛亥革命を起こし中華民国が建国される。
鄭士良自身はこの映画の時期、義和団の乱に合わせて今の深圳あたる地域で武装蜂起、その翌年には香港で死去している。
◯ 過去に在米華人を描いた作品はいくつか存在する。映画ならオリバー・ストーン製作総指揮の「ジョイ・ラック・クラブ(1993)」、ジャッキー・チェン主演の「シャンハイ・ヌーン(2000)」、25年ぶりのメジャースタジオ制作のアジア系映画でありヒット作にもなった「クレイジー・リッチ!(2018)」など。ドラマなら「フアン家のアメリカ開拓記(2015)」、「ウォリアー(2019)」などが知られている。