トゥ・クール・トゥ・キル 〜殺せない殺し屋〜 这个杀手不太冷静: 豆瓣
トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画
【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】
www.youtube.com 《这个杀手不太冷静》Too Cool To Kill | SG Trailer | In Cinemas 24 February
www.youtube.com 映画『トゥ・クール・トゥ・キール 〜殺せない殺し屋〜』予告編
【スタッフ & キャスト】
2022年 中国
監督: 邢文雄(シン・ウェンション)
出演: 马丽(マー・リー)、 魏翔(ウェイ・シャン)、陈明昊(チェン・ミンハオ)、周大勇(ジョウ・ダーヨン)、黄才伦(ホァン・ツァイルン)、艾伦(アイルン、アレン・アイ)
【あらすじ】
売れない俳優だった魏成功は、突如大スター米兰(ミラン)と、弟で監督の米勒に演技力をべた褒めされ、勧められるままに殺し屋映画の主役カールとして主演する事になる。だが、それは米兰(ミラン)と借金に困っている監督の策略であった。借金取りである実際のマフィアと、演技のつもりで殺し屋として対峙する魏だが…
【感想】
最初から最後まで小ネタが満載の純粋なコメディ映画。現在の中国的な笑えるエンターテイメントの定番的な作品に仕上がっている。
開心麻花という喜劇集団が本作を制作しているのだが、彼らの過去作をご存じの方ならば本作のテイストもすぐイメージできるという、いかにも開心麻花らしい映画だ。三谷幸喜監督の「ザ・マジックアワー」のリメイク作という事だが、1960年代映画黄金期ギャング映画的なクラシックなテイストや全体の流れは同じとはいえ、見ながら感じる印象は結構違う。笑いを取る部分が結構中国式というか、開心麻花のやり方に仕上げられていて、割りとベタなコメディ的小ネタをガンガン入れてくる。ドリフコント的とも言える。彼らの映画はいつもこの通りだ。
またクラシック映画のテイストの入れ方も、「ザ・マジックアワー」では愛情溢れるたくさんの実際の映画へのオマージュが散りばめられているが、本作では「雨に唄えば(1952)」のジーン・ケリーが歌うシーンのオマージュ以外には、オマージュらしい演出はほとんど出て来ない。そこら辺がすべて笑いの小ネタに置き換えられている感じだ。中国ではクラシックな映画のリテラシーが育っていないため、観客に伝わらないからこそ配慮であろう。そのためクラシックテイストも、ちょっと遊園地的な”それっぽいセット”感で終わっていて、なぜあのテイストでやっているのかがあんまり見えてこない。
様々な箇所で中国テイストに改編されているし、そもそも中国映画であの種のクラシックな映画はほとんど撮られていない(または改革期の頃が舞台の歴史映画くらい)なので、その点でもああいうクラシックな撮影所の雰囲気があんまりリアリティを感じないというのもある。
ともあれ開心麻花をよく知っており、あの感じの楽しい映画を春節に見たいという人々にとって、絶対に裏切らない需要を十二分に満たした楽しいエンタメ映画だ。
【トピック】
◯ 三谷幸喜監督作「ザ・マジックアワー(中国版タイトル"魔幻时刻"、2008)」のリメイクである。
◯ タイトルの「这个杀手不太冷静」はリュック・ベッソン監督作「レオン(1994)」の中国語タイトル「这个杀手不太冷」のパロディだ。冷静になれない殺し屋といった意味。
◯ 春節映画として2022年2月1日に公開。1位は大ヒット作の続編「1950 水門橋決戦」に阻まれ、「素晴らしき眺め 奇跡の眺め」に3位を抑えられるも、この3作が同じ順位のまま6週連続で2位をキープ。一ヶ月間の興行収入は25億元(480億円)を突破しヒット作となった。
2022年末までの興行収入は31億500万元(約600億円)となり、中国興行収入ランキングで同じ開心麻花が制作した「月で始まるソロライフ」につぐ3位を記録、全世界ランキングでは11位となった。
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◯ 2022年10月18日からの2022中国映画週間で上映され日中映画交流貢献賞を受賞。その後、2023年7月8日から一般公開された。
○ 監督・脚本の邢文雄(シン・ウェンション)は本作が初監督作品。脚本家としては「愛しの故郷(2020)」神笔马亮編や、彭昱畅(ポン・ユーチャン)主演の「沐浴之王(2020)」などのコメディ作品に主に参加している。
○ コメディ・喜劇で圧倒的な人気を誇る開心麻花による制作。劇団であり各地に劇場を持ち映画も多数制作、そこから巣立った多くの人材が映画界でも活躍している。本作でも監督をはじめ俳優・制作陣も開心麻花関連の人材が多数参加している。
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魏翔(ウェイ・シャン)
○ 主演の売れない喜劇役者、魏成功(ウェイ・セイコウ)を演じた魏翔(ウェイ・シャン)ももちろん開心麻花所属。「こんにちは、私のお母さん(2021)」でも合唱部のメンバーとして出演している。本作がほぼ初主演の映画となったが、この後9月に公開された開心麻花の次作「哥,你好」でも主演している。
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马丽(マー・リー)
○ ビッグスター米兰(ミラン)を演じた马丽(マー・リー)。開心麻花の出世頭の一人であり大忙しの人気俳優だ。コメディが抜群に上手く安定の演技を誇る。
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艾伦(アイルン、アレン・アイ)
○ ヒットマン、卡尔(カール)を友情出演で演じるのは艾伦(アイルン、アレン・アイ)。马丽(マー・リー)と同じく開心麻花出身のスターだ。
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陈明昊(チェン・ミンハオ)
○ マフィアのボス役、陈明昊(チェン・ミンハオ)はここ数年でヒット作に恵まれてきた。尹正(イン・ジェン)主演の映画「扬名立万(2021)」や朱一龙(チュー・イーロン)主演の冒険ドラマ「重启之极海听雷(2020)」などで知られている。
周大勇(ジョウ・ダーヨン)
○ マフィアのNo.2役は周大勇(ジョウ・ダーヨン)。彼も開心麻花の団員なので当然コメディはお手の物だ。
黄才伦(ホァン・ツァイルン)
○ 马丽(マー・リー)演じる米兰(ミラン)の弟で監督の役は黄才伦(ホァン・ツァイルン)。開心麻花の中でも沈腾(シェン・トン)、马丽(マー・リー)達トップランナーの次の次くらいに売れている数人のひとりである。主演作「李茶的姑妈(2018)」もあり、7月に公開された、彼らの次のヒット作「月で始まるソロライフ」にも出演している。
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