中国映画レビュー「唐人街探偵東京MISSION 唐人街探案3 Detective Chinatown 3」

「唐人街探案3 Detective Chinatown 3 唐人街探偵東京MISSION」

唐人街探偵東京 MISSION - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】

【スタッフ & キャスト】
【ストーリー】
【感想】
【トピック】

唐人街探案3

www.youtube.com 《唐人街探案3》/ Detective Chinatown 3 曝终极预告中日泰联盟联手破案（王宝强/刘昊然/妻夫木聪）【Movie Trailer 2020】

【スタッフ & キャスト】

2021年中国
監督: 陈思诚（チェン・スーチェン）
出演: 王宝强（ワン・バオチャン）、刘昊然（リウ・ハオラン）、妻夫木聡、トニー・ジャー（托尼·贾）、長澤まさみ、染谷将太、鈴木保奈美、浅野忠信、三浦友和

【ストーリー】

中国警察学校の学生秦风（チン・フォン）とその叔父唐仁（タン・レン）は、前作で出会った日本の探偵野田昊（のだ・ひろし）の依頼で東京にやってきた。その依頼とは、暴力団黒龍会組長とタイ・マフィアのスーチャーウェイの会談中に発生したスーチャーウェイの密室殺人の解決である。推理アプリ「CRIMASTER」世界ランク9位の探偵ジャック・ジャーも参入し、事件解決のため東京中を奔走する。

【感想】

とにかくいろんなキャラや場面が次々に出てくる、てんこ盛りのエンタメ映画。ストーリーもあるようで無いような、それすら無視したようなジェットコースター映画だった。
前作の唐人街探案2に比べてドタバタコメディのパートは変わらないかわり、名探偵コナン的推理の場面やダークなシーンが減ったのは、東京の街をツアーさせるからだろう。あれもこれもと東京要素を入れ込んだ結果、ひたすらガチャガチャした展開になっていた。僕ら日本人ならわかるだろうが、一般的な中国の人なら理解すら追いつかず、ひたすら弾丸ツアーバス的に東京の街を見る感じなんじゃないだろうか。

唐人街探偵東京MISSION

前作の舞台ニューヨークと違って、日本に対して知識もあるし実際を知っている観客も多いからか、製作者側も「せっかくだし」という"描きたい欲"が伝わってくる。良くも悪くも映画全体が、グイグイ展開していくすごいスピード感なので、いっそあまり考えずに、どんどん面白がっていくのが正しい楽しみ方だろう。

細かいところの作り込みもすごくて潤沢な予算をビシビシ体感できるのだが、だからといってマニア的目線でディテールに注目していっても映画自体の評価には関係ない。制作方針も、おそらく中国国内でなく海外を舞台にして制約が減った事による、「なんでも描ける探偵もの」という価値あるフォーマットをどう使いきるか、が主眼になっている。客が楽しければ何でも良いようなスタンスなのも、だからこそだ。であれば、むしろそのフォーマットの上で色んな監督が描くのも面白そうだし、監督の陈思诚（チェン・スーチェン）が次作は降板することを匂わせているのも理解できる。

唐人街探偵東京MISSION

今作は大量の日本人俳優やトニー・ジャーが出演し、もはや中国人俳優がメインで中国語の映画というだけの国際的な映画という雰囲気になっている。中国でもきっちりヒットさせつつ全世界で楽しまれる映画として育っていけば、ハリウッド映画と比肩するようなシリーズにできるとの思惑が感じられた。次作でも同じようにイギリス等の中国以外の俳優がたくさん出てくるとしたら、これは一層楽しみだ。

唐人街探偵東京MISSION

【トピック】

○ 当初2020年1月25日の春節に合わせて公開の予定で前売り券発売まで開始したが、新型コロナの影響により中止、一年後の春節2月12日に公開した。

○ 「唐人街探案」シリーズの3作目。1作めは「唐人街探偵 THE BEGINNING 僕はチャイナタウンの名探偵唐人街探案（2015）」でタイ・バンコクが舞台、2作目が「唐人街探偵 NEW YORK MISSION 唐人街探案2（2018）」はニューヨークが舞台となっている。

○ エンディングで第4弾の予告があり、ロンドンを舞台に、アンディ・ラウの出演もある模様。

長澤まさみ

○ 長澤まさみは監督の陈思诚（チェン・スーチェン）が「海街diary（2015）」を見て起用を決めたようだ。

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王宝强（ワン・バオチャン）

○ いまや中国一有名な喜劇役者の王宝强（ワン・バオチャン）は「ロスト・イン・タイランド人再囧途之泰囧（2012）」の大ヒットで一気に知られるようになり、「新喜劇王新喜剧之王（2019）」など本シリーズ以外にも多くの映画に出ており、「大闹天竺（2017）」では監督もやっている。本作のようなドタバタ演技が彼の十八番だ。

唐人街探偵東京MISSION

○ 今作の陈思诚（チェン・スーチェン）、王宝强（ワン・バオチャン）、刘昊然（リウ・ハオラン）という監督&主演2人は、「愛しの故郷（2020）」でも一緒に1話を制作・主演している。本来なら今作の後に公開される筈だった。

中国映画レビュー「愛しの故郷我和我的家乡(我和我的家郷) My People My Homeland」 - daily diary

张子枫（チャン・ズーフォン）

○ 教会での若い女性は张子枫（チャン・ズーフォン）。自分がつい先月見た主演映画「シスター夏のわかれ道（2021）」でも素晴らしい演技をしていた、今中国で一番人気の若手女優。特に今年は主要な役のものだけでもあと3作は公開される飛躍の年になっている。

唐人街探偵東京MISSION

その他

○ 4月時点で興行収入は45億元（約750億円）を超え、昨年までの中国歴代興収記録を超えるのはほぼ間違いない（同時期公開の「こんにちは、お母さん」が興収ではさらに上回ったが）。

○ 史上4作目の全編IMAX撮影の作品となる。

ウェブドラマ版

○ 後半に突然登場する若者たち「五大霊童探偵チーム（五大灵童侦探组合）」は、本作公開直前の2020年1月にiQIYI 爱奇艺で配信されたウェブドラマ版「唐人街探案」での主要メンバーである。全12話で「共謀家族误杀（2019）」を監督した柯汶利（サム・クァー）なども参加している。こっちはタイが舞台の上に結構ダークな雰囲気だ。

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