香港映画レビュー&解説「年少日記 Time Still Turns The Pages」

年少日記: Wikipedia

年少日記 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

 

【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】

本当にすごい映画。家庭内暴力&児童虐待の話だが驚きのどんでん返しが待っている。男の子がとてつもなく愛らしくて、だからこそ辛い…95分なのに濃密でミステリーのような伏線が張り巡らされている。この出来は今年ベスト級か

 

 

 

年少日記


www.youtube.com 《年少日記 Time Still Turns The Pages》正式預告 Official Trailer 11月16日 好好記住

 

 

【スタッフ & キャスト】

2023年 香港 95分
監督:卓亦謙(ニック・チェク)
出演:盧鎮業(ロー・ジャンイップ)鄭中基(ロナルド・チェン)陳漢娜(ハンナ・チャン)韋羅莎(ロサ・マリア・ヴェラスコ)黃梓樂(ショーン・ウォン)何珀廉(カーティス・ホー)

 

 

 

【あらすじ】

中学校教師のチェンが務める学校で、匿名の自殺をほのめかす遺書が見つかる。書いた生徒が誰か捜索するうち、チェンの脳裏に自らの抑圧された少年時代の記憶が蘇る。悲劇を防ごうと奔走するチェンだったが、妻との離婚、父親の死など、家族をめぐる困難に向き合うことになる。

Filmarks映画より

 

 

 

【感想】

深刻な家族の物語をあっと驚く形に仕上げた、衝撃的で見ごたえのあるとても「映画らしい映画」だった。香港映画らしさなどは無いかわり、シンプルに最高に素晴らしい映画だ。

2時間できっちりと物語を見せきり、見終わってもなおしばらくは余韻を味わってしまう。台詞もできるだけ控えめで、美しい映像、ドビュッシー「夢想」のピアノが流れる静かなトーンで進むのだが、映されているシーンは非道で残虐ですらある。R18/R15とかのレーティングは無いけれど、家庭内暴力、児童虐待がテーマなだけに、見るならば心理的なショックは少々覚悟した方が良いかもしれない。

 

年少日記

 

主人公は高校教師だ。だがオープニングでは、幼い小学生の男の子が屋上に立っているシーンから始まる。整った制服を着ている事からもわかるように、弟と共に高級な学校に通い、両親は学校からも認められる名士として知られている。
一方で主人公は、担任する生徒の誰かが自殺を考えている事を知り、なんとかする為にその生徒を探し始める。プライベートでは離婚の危機にある上に、生徒の難しい問題も抱えて苦しんでいる中、ふと見つけた小学生時代の古い日記を読み始めるのだ。
そうして彼は、小学生の頃の記憶とリンクし始めていく。

彼は弟と違って勉強ができない。父親は帰宅すると外での様相から一変し、彼を怒鳴り上げ、鞭で何度もぶつ、恐ろしく凶暴な暴君だったのだ。もちろんそれは、子供を"監督"できなかった母親にも及ぶ。

 

年少日記

 

ミステリーのように、様々な伏線が張り巡らされ、エンディングまでわずか95分なのに濃密な展開に翻弄される。兄弟が2人とも大変愛らしく、特に兄は本当に良い子なだけに、彼の辛く悲しい表情には観客にもグサグサと突き刺さってくる。素晴らしい演技だ。

主人公の複雑なポジションも、すごく考えさせてくれる良くできた設定だ。特に驚愕のどんでん返しの後では、彼の生い立ちや性格、教師という仕事、それらがすべて、加害者でもあり被害者でもある彼だから選択されたものである事がわかる、練りに練られたキャラクターになっている。

95分の限られた時間、完全に向き合うからこそ得られる凝縮した体験。驚きと興奮と深い感情を最大限に引き出される、とても映画らしい、本当に素晴らしい作品だった。「流水落花(2022)」「星くずの片隅で(2022)」など、社会派なテーマを扱った香港新世代の良質な映画が最近は続々とできているが、その中でも本作はより一層高みに到達したような、新世代を代表する一本になっていた。

 

年少日記

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

 

 

 

【トピック】

◯ 2023年10月13日からの香港亞洲電影節でオープニング作品としてワールドプレミア。2023年11月16日に香港にて一般公開。公開初週は興収ランキングでは、こちらも社会派作品である「白日の下(2023)」「マーベルズ(2023)」などに次ぐ4位。だが翌週から2週連続でランキングトップを獲得した。
興行収入は、2023年の香港映画で3位となる2624万香港ドル(5.4億円)を記録し、大ヒット作となった(1位は毒舌弁護人、2位は金手指)。

香港映画レビュー&解説「毒舌弁護人~正義への戦い~ 毒舌大狀 A Guilty Conscience」 - daily diary

香港映画レビュー&解説「金手指 The Goldfinger」 - daily diary

 

 

◯ 日本ではワールドプレミアから10日後の、2023年10月23日からの東京国際映画祭で公開された。

2023.tiff-jp.net

 

 

 

◯ 本作は、台湾金馬奨で新人監督賞・観客賞の2部門受賞・6部門ノミネート。香港金像奨では新人監督賞を受賞・12部門ノミネートとなった。

 

◯ 本作は香港電影発展局によって定期的に行われる、首部劇情電影計画という新人監督発掘オーディションによって325万香港ドル(6700万円)の援助を受けて制作された。
同様の支援により制作された映画は「毒舌弁護人(2023)」「四十四にして死屍死す(2023)」「燈火(ネオン)は消えず(2022)」「香港ファミリー(2022)」「縁路はるばる(2022)」「流水落花(2022)」「逆流大叔(2018)」「ランアウェイ 香港脱出(2017)」「ミッドナイト・アフター(2014)」などがある。

 

 

 

◯ 初監督作となる卓亦謙(ニック・チェク)は、香港城市大学のクリエイティブ・メディア学部を卒業。在学時にレスリー・チャン主演「烈火青春(1982)」などを監督した譚家明(パトリック・タム)に師事。
映画界に入ってからは「激戦 ハート・オブ・ファイト(2013)」「クリミナル・アフェア 魔警(2014)」などの林超賢(ダンテ・ラム)作品で助監督として参加。
その後、脚本家として「ランアウェイ 香港脱出(2017)」「SPL 狼たちの処刑台(2017)」に参加した。
2019年の香港金像奨では式典のクリエイティブ・ディレクターを務めた。

香港映画レビュー「SPL 狼たちの処刑台 殺破狼:貪狼 Paradox」 - daily diary

 

 

 

盧鎮業(ロー・ジャンイップ)

◯ 鄭有俊(チェン、Alan)。高校教師をしているが、生徒の指導に悩んでいる。つい最近妻と離婚する事となった。

◯ 今作監督の卓亦謙(ニック・チェク)とは1歳上で、同じ香港城市大学のクリエイティブ・メディア学部を卒業した関係。卒業後は自主映画の制作を始める他、俳優業も開始。高齢者LGBTを描いた映画「ソク・ソク(2019)」で香港金像奨・助演男優賞にノミネートされた。
その他「私のプリンスエドワード(2019)」「花椒の味(2019)」などに出演している。

香港映画レビュー&解説「私のプリンスエドワード 金都 My Prince Edward」 - daily diary

年少日記

 

 

 

鄭中基(ロナルド・チェン)

◯ 兄弟の父親・鄭自雄。上級弁護士であり強いエリート主義者。世間では非常に評判が良いが、家庭では兄弟に良い成績を取らせるために強権的に教育し、妻ですら暴力的に従わせる。実際の撮影では、カットがかかる度に子役たちに謝っていたそうである。

◯ 有名歌手だが俳優もしており、「低俗喜劇(2012)」で金像獎助演男優賞を受賞、「大樂師 為愛配樂(2017)」でも金像獎主演男優賞にノミネート。最近では「闔家辣(2021)」「四十四にして死屍死す(2023)」に出演した他、「ドラゴン・フォー(2012)」や、「スペシャルID 特殊身分(2013)」などでも知られている。

年少日記

香港映画レビュー「大楽師 大樂師 為愛配樂 Concerto of the Bully」 - daily diary

香港映画レビュー&解説「四十四にして死屍死す 死屍死時四十四 Over My Dead Body」 - daily diary

 

 

 

韋羅莎(ロサ・マリア・ヴェラスコ)

◯ 兄弟の母・鄭黎嘉欣(Heidi)。夫の強権的な指導を実行させられ、兄の出来が良くないとその責任を強く叱責されるため、自身も子どもたちに強くあたる。

◯ 韋羅莎(ロサ・マリア・ヴェラスコ)は1983年生。スペイン系アメリカ人の父と台湾人の母との間に台湾で生まれる。その後香港で育ち、俳優となってからは舞台劇を中心に活動。
映画では「暗色天堂(2016)」「77回、彼氏をゆるす(2017)」「ランアウェイ 香港脱出(2017)」「アニタ 梅艷芳(2021)」「全世界どこでも電話(2023)」「不日成婚2(2023)」などに出演。つい先月公開された「談判專家(2024)」にも出演している。

年少日記

香港映画レビュー「77回、彼氏をゆるす 原諒他77次 77 Heartbreaks」 - daily diary

香港映画レビュー&解説「アニタ 梅艷芳 Anita」 - daily diary

 

 

 

陳漢娜(ハンナ・チャン)

◯ 鄭有俊の元妻・林雪兒(Sherry)。学生時代に付き合っていたが、その後再会し結婚した。

◯ モデルで女優だが硬派な作品にも出演しており、今作監督の卓亦謙(ニック・チェク)が脚本として参加した、彼女のデビュー作「SPL 狼たちの処刑台(2017)」で金像獎最優秀新人賞を受賞。そのほか「G殺(2018)」「逃獄兄弟(2020)」「四十四にして死屍死す(2023)」「縁路はるばる(2023)」などに出演している。

年少日記

香港映画「逃獄兄弟 Breakout Brothers」 - daily diary

香港映画レビュー&解説「四十四にして死屍死す 死屍死時四十四 Over My Dead Body」 - daily diary

香港映画レビュー&解説「縁路はるばる 僻地へと向かう 緣路山旮旯 Far Far Away」 - daily diary

 

 

 

黃梓樂(ショーン・ウォン)

◯ 兄。弟に比べて成績も良くなく、ピアノも好きではない事から両親に叱責・虐待されている。

◯ 今作で台湾金馬奨や香港金像奨で助演男優賞にノミネートされた。
ViuTVのドラマ「940920(2022)」で主演した劉俊謙(テレンス・ラウ)の幼年期を演じた他、映画「留聲(2022)」「香港ファミリー(2022)」「流水落花(2022)」、そして「九龍城寨之圍城(2024)」など、続々と話題作に出演。CMなどにも多数出演している。

年少日記

香港映画レビュー&解説「香港ファミリー 過時·過節 Hong Kong Family」 - daily diary

香港映画レビュー&解説「流水落花 Lost Love」 - daily diary


www.youtube.com 【創新.改寫一切】HKPC生產力局

 

 

 

何珀廉(カーティス・ホー)

◯ 弟。学業優秀、ピアノも上手く、両親からの期待を一新に背負っている。

◯ TVBの子供番組「Big Big小明星(2017~2020)」に出演し知られるようになった。数多くのCMの他、TVBドラマ「把關者們(2021)」をはじめとする多くのドラマ・映画に出演している。
実際にピアノも出来、劇中でも本人が弾いている。

年少日記


www.youtube.com Curtis何珀廉P&G媽媽拍住上-媽媽不是馬馬 7 Apr 2017


www.youtube.com Debussy Reverie (年少日記)

 

 

 

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com

www.teppayalfa.com