最近の読書:2017年4月まで。(1)

ここ最近はなかなか本を読めなくて…というか、読む気になれなくて。読むのは飛行機の中だけ(それも良さそうな映画が無い時だけ)という…

その中でこの半年間に読んだものを。

 

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫): スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

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一番最近読んだこの本が一番インパクトがあったのは、時制の問題だけではない、はず。

2015年ノーベル文学賞受賞。そんな事も忘れて、体験談にひたすら没入していく。

北朝鮮を含む共産主義国は、フェミニズム先進国だった。それともナチスの急速な侵攻に危機感を覚えたからか、多くの女性が戦場に出ていった。

その女性たちの体験はつまり、これからの日本が直面する"かもしれない"将来像だ。

 

 

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
岩波書店
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「まもなくコムソモール(共産青年同盟)の招集がかかった。『敵がモスクワに迫ってきた、祖国防衛に立ち上がれ』って。ヒットラーがモスクワを占領するなんて許せない。私だけでなく女の子たちはみな戦地に行きたがった。…コルホーズの人たちがみな出征したので、畑仕事の人手がなく、議長は私たちを手放したくなかった。結局採ってもらえず…地区委員会に上訴した。」

 

 

 

「私は(戦前は)飛行士でした。

1941年の年末、夫の戦死公報が来ました。『モスクワ郊外で戦死』彼は飛行士で責任者でした。私は娘を身内に預けて、前線に出たいと申し出ました。

最後の晩……一晩中、子供のベッドの傍らに跪いていました……」

 

 

 

「私たちは戦いに来たのよ。それなのに兵士としてでなく、女の子だと思ってる。」

 

 

 

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「ドイツの奴が塹壕から身を乗り出した。私は引き金を引き、そいつは倒れた。私は全身が震えて自分の骨がガタガタ鳴るのが聞こえる。泣き出してしまった。…

焼けたのはわが軍の負傷者か捕虜なんです。それからはいくら殺しても哀れみの気持ちはおきなかった。この黒こげの骨を見てからは…」

 

 

 

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「脚をやられた私を戦車兵たちが村にかつぎ込んでくれた時…家のおかみさんは、『まあ、こんな年端もいかない坊やが…』と嘆いたわ。

戦車兵は笑ってた。『いや、坊やじゃないんだ。女の子だ』女の人は私のそばにしゃがみ込んでしげしげと眺め回したの。

『女の子なの?女の子?男じゃないの?』私は髪を刈り上げていて、つなぎを着ていたし、戦車隊のヘルメットをかぶっていたから。」

 

 

 

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「戦争から戻ると何もかもゼロから始めなければならなかった。普通の靴に慣れることも。…スカートなんか見るとぞっとした。…将校に会うとつい敬礼しそうになる。…今は店でパンを買うのにお金を払わなければならない。必要なだけ買って払うのを忘れてしまう。売り子はもう分かっているから、あなたはお金を払っていませんよって言わない…恥ずかしくなって、次の日に、他の物をなにか買って、あやまって前の日の分も一緒に払う。」

 

 

 

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戦後の話。

「私はわっと泣き出してしまった。『立派だとか、尊敬とか言ってるけど、女たちはほとんど全員が独身のままよ。結婚していない。共同住宅に住んでいるわ。誰が彼女たちを哀れんでくれた?守ってくれたの?どこにあんたたち隠れていたの?裏切り者!』」

 

 

 

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