太陽の少年 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画
太陽の少年 4Kレストア完全版 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画
【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】
懐かしさを刺激する美しい光が煌めく映像、理想的なまでに美しいミューズ・米蘭(ミーラン)。そこには記憶が美化される大人だからこそ見えてくる歪み。緻密さとロマンチシズムが同居する姜文(チアン・ウェン)監督の人となりまで見える。


【スタッフ & キャスト】
1994年 中国 140分 豆瓣評価:8.8/10
監督:姜文(チアン・ウェン)
出演:夏雨(シャー・ユー / シア・ユイ)、宁静(ニン・チン)、陶虹(タオ・ホン)、耿乐(ゴン・ロー / コン・ラー)、斯琴高娃(スーチン・カオワー)、冯小刚(馮小剛、フォン・シャオガン)
【あらすじ】
1970年代、中国は文化大革命の激動の中にあった。大人たちは政治闘争を繰り広げ、青年たちは農村に送られ、北京は16歳の馬小軍(シャオチュン)たちの天下だった。彼はある日、少女・米蘭(ミーラン)と知り合い、恋するようになる……。
【感想】
美しい青春映画
見終わって思わずため息をつく。めくるめく夢のような思い出を絵日記に閉じ込めた、そんな青春映画になっている。
大人たちのいない、がらんとした団地の中。自分たちだけの自由を満喫する少年たち。夏の太陽、プールの水色、水着の赤といった原色が目に飛び込む。
なかでも部屋に差し込む陽の光は、画面を覆いつくさんばかりに入ってきて、少年を支配する。
それはサングラスをして登場する美少女・米蘭(ミーラン)にも重なる。一目で主人公・馬小軍(シャオチュン)が動けなくなるほど美しく、天真爛漫。まさにミューズにふさわしい、輝くような存在感。
でも、米蘭(ミーラン)の描かれ方は少し古典的にも感じる。謎めいた登場から始まり、髪を洗う首元なんかを執拗に撮ってセクシーに見せながら、そのくせ性格は溌剌と女神のように描かれて、いかにも男性目線からの理想像を体現している。
そんな米蘭(ミーラン)と少年たちは、プールに行ったり、映画を見たりという、なんてことの無い、でも忘れられないひと夏を過ごす。

改ざんが混じっていく甘美な記憶
だが話は中盤から違和感を醸し始める。大人になった馬小軍(シャオチュン)が回想する体で話が進んでいたのが、突然、語り手の側から記憶を訂正し始めるのだ。
驚いて思い返す。そういえば、壁にかかった米蘭(ミーラン)の写真、赤い水着は違っていた。他にも女の子がもう一人いた筈なのに、いつの間にかいなくなっていた。あの娘は記憶から消えていたという事か。ストーリーは次第に影が差し始めていく。
もう一人の娘・于北蓓(ペイペイ)が実はずっと存在していたのだとしたら、では米蘭(ミーラン)は一体何者なのだろう。あの美しい米蘭(ミーラン)は、本当にあそこにいたのか。
もしかするとあれらはすべて、大人になった馬小軍(シャオチュン)の中での記憶、何年も経過していく内にどんどん美化され、上書きされていった、記憶の中の青春時代なのかもしれない。
例えるなら、よく呑み屋で聞かされるオッサンたちの「俺たちの若い頃は〜」話だ。脚色され、都合の悪い話は消され、すべてが美しい思い出に変貌していく。米蘭(ミーラン)の姿も、彼の記憶の中で古典的なミューズへと昇華していく。もしかしたらこの青春も、そうやって美しく上書きされたものかもしれない。

「記憶」を繋ぐディテールと道化役
もうひとつこの映画で印象的なのは、背景の細かなディテールがとてもリアリティに溢れていることだ。
語り手の記憶は怪しいというのに、背景はとても細かい。彼らが住まう軍の住宅・軍隊大院、服装や音楽、時代を示す政治的なアイテム…それらのディテールによって、文革期の北京がありありと眼前に甦る。流行歌やファッション、テレビなど大量の文化的ディテールを積み重ねることで、個人の青春と時代を同時に記録した、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督『プラットホーム(2000)』を思い起こす。
当時を甦らせたような美しい背景に、真偽の怪しい記憶を置く。それによって記憶まで、さも事実であったかのような説得力を持っていく。賈樟柯(ジャ・ジャンクー)が「記録」に近づいたとすれば、姜文(チアン・ウェン)は「記憶」に近づいていく。
そうやって思い出を語り始めた語り手はしかし、次第に齟齬を来し始める。仲間や米蘭(ミーラン)と距離が空き、最終的にプールでの決定的な出来事へとたどり着く。まるで、話すうちに嫌な思い出まで甦ってきてしまったような、美化された話だけで済まなくなったような、そんな気持ちにさせられる。
不思議なのが、いつも門の前にいる知的障害を持っているような男だ。現代のシーンでも、リムジンに乗った馬小軍(シャオチュン)たちは彼に出会う。青春時代にはお互いに「古倫木!」「欧巴!」と言い合うやり取りが成立していた彼は、あの頃と違い「傻B!」と悪口で返答する。まるで美しい過去に酔う彼らに、過去の側から「バーカ」と言い返す道化役のようですらある。
美しいカラーの過去から、色のないモノクロの現代へ。彼だけは過去と現在の両方に同じ姿で現れ、2つの時間を橋渡しする。

『鬼が来た!』へ繋がる構造
少し背景を見てみよう。この映画は文化大革命の時代を扱っている。でも劇中では、文革を代表するような出来事は、ほとんど描かれない。音楽や背景のディテールに漂うだけで、あるのは少年たちの、大人のいない日常だけだ。馬小軍(シャオチュン)にとって遥かに大事なのは、仲間や米蘭(ミーラン)との時間であって、政治の事はまあどうでもいいという、「小さな世界」の物語になっている。
土台の部分を見てみると、本作は『動物凶猛』という小説を元にしている。この原作に映画と同じ、記憶が語られるうちに変形していくという仕掛けはすでにある。面白いのは、姜文(チアン・ウェン)自身がそこへ自分の少年時代の記憶を流し込んで映画化したことだ。著者・王朔が描いた「上書きされる記憶」を、彼自身がもう一度上書きしたようにも見える。
監督の次作『鬼が来た!(2000)』は、抗日戦争をダークコメディのように描いた、一見まるで違う作品だ。だが原作を自分の映画へ作り替えながら、歴史的ディテールには徹底してリアリティを求める作り方は共通する。
この『太陽の少年』では、眩いばかりの陽光が印象的で、特に部屋のシーンでは画面を覆うように余計なものを隠してしまう。一方で『鬼が来た!(2000)』ではモノクロの真っ暗な画面にアップを多用し、影によって周囲が隠される。
このモノクロ画面、実は撮影監督の顧長衛(グー・チャンウェイ)は、『太陽の少年』の時から既に提案していた*1のだという。1度目は監督に却下され、『鬼が〜』の時に、あの鮮烈な使い方へとたどり着いたのだそうだ。
姜文(チアン・ウェン)監督の映画の作り方は、もうこのデビュー作の時点である程度出来上がっていたと言えそうだ。

文化大革命を描くという事
それにしても、文化大革命を映画に描くというのは、当時もリスキーだった筈だ。なぜ監督は、デビュー作でそんな危なっかしい事にトライしたのだろう。
そもそも1990年代で、文革を扱いながら国内上映まで持っていくのはきわめて挑戦的だった。『活きる(1994)』や『青い凧(1993)』といった著名作品ですら許可が降りなかった状況を、監督も撮る前からわかっていた筈だ。
この作品とて、すんなりと許可が降りた訳ではなく、申請から許可までに実に11ヶ月もの折衝を費やしている。当初の製作形態では国内配給の認可を得られないと分かれば、新たな出資者を探して製作体制まで組み替えた。特に劇中での革命歌『インターナショナル』の使い方には、一旦削除指示が出たが、監督は自身の記憶ではこうだったと譲らず*2、最終的に他の効果音で曲を目立たなくする事で折り合ったというのだ*3。
想像だが、文革そのものを大きなテーマにしないことも含め、姜文(チアン・ウェン)には最初から国内公開まで見据えたプランがあったのではないか。
それでも11か月の折衝を続け、国内公開まで持っていった。デビュー作でこれをやり切った冷静さと胆力には驚かされる。
監督にとって、この経験は次作にも引き継がれたようだ。『鬼が来た!(2000)』が審査で難航した際、彼は「『太陽の少年』は11か月修正した。こちらはまだ7か月だから希望はある」と語っている。つまり彼にとって、審査で問題を指摘されることは即座に映画の死を意味していなかった。ここから折衝して公開まで持っていく――第1作で経験したその道筋を、次作でもまだ信じていたのだ。

クレバーでロマンチックな監督像
細かく見ていくと姜文(チアン・ウェン)監督がいかにクレバーな人物なのかがよく分かる。だが映画から伝わってくるのは、それ以上に強烈な情熱だ。自分の記憶や感情を、そのまま映画に注ぎ込む勢いがある。
監督は以前、映画は一本作って1元でも利益が出たなら感謝すべきで、映画で大金を稼ぐなら少し寄付すればいいという趣旨の発言*4をしている。そして「非プロフェッショナルな状態を保ちたい。それは生き生きしているから」*5とも言う。実際に公益活動もしていて、なんというか、職業としてより先に「どうしても映画にしたいもの」がある、そうした映画人としての矜持を感じさせるのだ。
クレバーである以上にロマンチックな人物。映画を調べていくと、作品だけでなく姜文(チアン・ウェン)という人間そのものに魅力を感じる。そんな人間性が詰まった映画だからこそ、『太陽の少年』はこんなに活き活きとした魅力に溢れているのだ。
【トピック】
予告編
▶ 海外版&日本版予告編(クリックで開きます)
www.youtube.com In the heat of the sun (阳光灿烂的日子, 1994) de Jiang Wen
www.youtube.com 映画『太陽の少年』<4Kレストア完全版>予告編
中国での公開・受賞・日本での公開/配信
◯ 1994年9月9日からのヴェネツィア国際映画祭に正式出品され、ワールドプレミア。
1995年6月28日に香港で先行して公開、同年8月21日から中国でも公開された。
2013年に4Kリマスターが行われ、ヴェネツィア国際映画祭のクラシック部門でプレミア上映。その際に失われた約10分の未公開シーンが復元され、上映時間が約140分となった。
◯ 日本では1997年4月5日から全国公開された。4Kリマスター版は2024年に公開。過去にDVDが販売、4Kリマスター版Blu-rayも限定販売された。現在配信は行われていない。
◯ 本作はヴェネツィア国際映画祭で主演男優賞を受賞。翌年の台湾金馬奨では8部門ノミネート、作品、監督、男優、脚本、撮影、音響効果の6冠を達成した。
原作小説と映画への改編
作家・王朔(ワン・シュオ)による中編小説『动物凶猛(1991)』が原作となる。王朔自身の最高傑作とも称される作品である。
文化大革命期の北京を舞台に、親たちが下放(地方への労働派遣)や軍の職務で不在となった隙に、街を闊歩する軍人子弟の少年たちの退屈、性への衝動、暴力を第一人称(「私」)の独白形式で描いている。
作品の特徴とテーマ
- ありのままの青春期の野性
従来の児童文学や青春小説のような美化や道徳的な教訓を排し、思春期特有の粗野なエネルギーや性衝動、暴力性を残酷なまでに素直に描き出している。題名の「動物凶猛」は、少年たちの野蛮で抑えきれない生命力を象徴している。 - 記憶の不確かさと虚構性
語り手である「私」が過去を追憶する構成だが、語られる記憶の嘘や自己正当化、妄想が途中で暴露される手法が用いられている。記憶がいかに都合よく歪められるかという人間の曖昧さを描いた知的構造を持つ。 - 北京弁の軽妙な文体
王朔独特の口語(北京の街角で話されるユーモラスかつ皮肉めいた話し言葉)を多用したテンポの速い文体が特徴である。 革命の熱狂の陰で放置された若者たちが抱える空虚さと過剰なエネルギーを、追憶のノスタルジーと皮肉を交えて描き切った文革文学の名作である。
映画への翻案では、骨組みを維持しつつトーンと結末に大きな改変が加えられている。
- ノスタルジーの付与
原作のドライで冷めたニヒリズムに対し、映画は光溢れる映像美やクラシック音楽を用い、眩しく切ない青春の郷愁を強調している。 - 記憶の曖昧さの映像化
語り手の記憶の嘘や歪みを、巻き戻し演出やナレーションによる場面の訂正など、独創的な映画的手法で表現している。 - 現代パートの追加
大人になった主人公たちが現代の北京をリムジンで走る結末を追加。かつての熱狂と冷めた現実の対比を鮮明にした。 - ヒロインの美化
米蘭(ミーラン)を主人公の妄想と主観を通して描くことで、より官能的で神格化された存在へと昇華させている。
粗野な青春を描いた原作に対し、映画は熱病のような青春への美しく狂おしい追憶劇へと鮮やかに再構築している。
監督:姜文(チアン・ウェン)
◯ 監督の姜文(チアン・ウェン、画像中)は1963年生まれ、中国河北省出身の映画監督・俳優。中央戯劇学院を卒業後、俳優としてキャリアをスタート。张艺谋(チャン・イーモウ)監督の『紅いコーリャン(1987)』で一躍脚光を浴び、中国映画界を代表する名優となる。
1994年に本作 で監督デビューし、ヴェネチア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞するなど国際的に絶賛された。
次作となる『鬼が来た!(2000)』でカンヌ映画祭・グランプリを受賞。しかし、中国当局からの修正指示の折衝途中に無断で映画祭に出品した事もあり、上映不許可と監督としての活動停止処分を受ける。処分復帰後は『さらば復讐の狼たちよ(2010)』など、娯楽性と強烈な諷刺精神を両立させた骨太な大作を次々と発表。昨年も天才ピアノ少年を描いた監督主演作『你行!你上! (2025)』を公開した。
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撮影監督:顧長衛(グー・チャンウェイ)
◯ 1957年生まれの現在69歳。陈凯歌(チェン・カイコー)・张艺谋(チャン・イーモウ)・田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)ら錚々たる名監督と同じ年に北京電影学院で学び、卒業後はカメラマンとして本作以外にも『紅いコーリャン(1987)』、『子供たちの王様(1987)』、『さらば、わが愛/覇王別姫(1993)』という錚々たる名作の撮影を担当、中国金鶏奨、台湾金馬奨での撮影賞を受賞、米アカデミー賞撮影賞にノミネートされた経験も持つ。
初監督作品『孔雀 我が家の風景(2005)』もベルリン映画祭銀熊賞を受賞。その後章子怡(チャン・ツィイー)&郭富城(アーロン・クォック)主演『最愛(2011)』や杨颖(Angelababy)&陈赫(チェン・フー)主演『微爱之渐入佳境(2014)』、精神障害者を描いた『刺猬(2024)』などの監督作がある。
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夏雨(シャー・ユー/ シア・ユイ)
◯ 馬小軍(シャオチュン)。父親は出征で家を開けており、自由を満喫していた。
◯ 本作がデビューとなり、ヴェネチア映画祭・最優秀主演男優賞や台湾金馬奨・主演男優賞などを受賞。「警察有约(2003)」でも金鶏奨主演男優賞受賞。他に「西洋鏡 映画の夜明け(2000)」、「玲玲(リンリン)の電影日記(2004)」、「独自等待(2004)」、ドラマでは「古董局中局(2018)」など。
易烊千玺(イー・ヤンチェンシー / ジャクソン・イー)主演2作目「送你一朵小红花(2020)」の他、封神演義を映画化した『封神・妖姫とキングダムの動乱/封神~嵐のキングダム~(2023)』とその続編(2025)では申公豹を演じている。
妻は「ラスト・シャンハイ(2012)」や「フライト・キャプテン(2019)」などに出演した袁泉(ユエン・チュアン)。

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宁静(ニン・チン)
◯ 米蘭(ミーラン)
◯ 1972年貴州省生まれの宁静(ニン・チン)は、本作で知られる事となった。その他『红河谷 (1996)』や『黄河绝恋 (1999)』、歴史ドラマ『孝庄秘史 (2002)』などの主演作がある。

陶虹(タオ・ホン)
◯ 于北蓓(ペイペイ)
◯ 1972年生まれの女優・元アーティスティックスイミング選手。国家代表選手として活躍後、本作で銀幕デビュー。引退後に名門・中央戯劇学院で演技を学び、盲目の陸上選手を演じた『黑眼睛 (1997) 』で金鶏奨・主演女優賞を受賞するなど、演技派として高く評価された。
ドラマ『春光灿烂猪八戒 (2000) 』で共演した大人気映画監督・俳優の徐崢(シュー・ジェン)と結婚。近年もヒットドラマ『リトルハピネス(2019)』で白玉蘭奨助演女優賞を受賞するほか、映画製作者としても活動している。

耿乐(ゴン・ロー / コン・ラー)
◯ 主人公の兄貴分・劉憶苦(イクー)
◯ 昨年日本公開の映画『ブラックドッグ(2024)』を公開した管虎(グェン・フー / グァン・フー/クワン・フー)監督による主演映画『头发乱了 (1994) 』でデビュー。だが、同年に出演した本作で一気に知られることとなった。
映画『开往春天的地铁 (2002) 』、『天使は白をまとう(2017)』などで映画賞を受賞。その他『面引子 (2011) 』、『疯狂72小时 (2014) 』、『1950 鋼の第7中隊(2021)』とその続編(2022)、『1921(2022)』、ドラマでは『長歌行(2021)』、『天才基本法(2022)』などに出演。
近年は、鄭執(ジョン・ジー)の原作小説の映画化『刺猬(2024)』とクライム・サスペンス映画『扫黑·决不放弃(2024)』、『大风杀(2025)』などに出演している。

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斯琴高娃(スーチン・カオワー)
◯ 馬小軍(シャオチュン)の母。
◯ 1950年、内モンゴル自治区出身の名女優。モンゴル族の歌舞団を経て映画デビュー。老舎原作の『駱駝の祥子(1982)』で金鶏奨・主演女優賞を獲得し、香港・中国合作『似水流年(1984)』では中国本土出身者として初の香港電影金像奨主演女優賞を受賞した。
豪快な下町女性から『大宅門(2001)』の女主人や『康熙王朝(2001)』の孝荘太后といった気品漂う権力者まで幅広く演じ分ける。許鞍華(アン・ホイ)監督の『おばさんのポストモダン生活(2006)』で2度目の香港電影金像奨を受賞するなど、中華圏を代表する圧倒的な演技派として君臨している。

冯小刚(馮小剛、フォン・シャオガン)
◯ 小学校の教師・カンフー先生(胡老师)として出演している。
◯ この作品の後、映画監督として90年代後半から興行界を牽引し、北京弁のユーモアを活かした風刺コメディで中国映画界に「賀歳片(正月映画)」ブームを確立した。代表作に『戦場のレクイエム(2007)』、『唐山大地震(2010)』、『芳華-Youth-(2017)』などがあり、商業的成功と人間ドラマを描く重厚さを兼ね備えている。
なかでも『狙った恋の落とし方。(2009)』は、葛優(グォ・ヨウ)と舒淇(スー・チー)主演のラブコメディで、当時の中国歴代興行収入記録を更新。ロケ地となった網走や阿寒湖など道東エリアに中国人観光客が殺到し、空前の北海道観光ブームを巻き起こしたことでも知られる。
俳優としても存在感を示し、主演作『ロクさん(2015)』では金馬奨の最優秀主演男優賞を受賞している。
近作では元受刑者の女性たちを描いた赵丽颖(チャオ・リーイン)主演『向阳・花(2025)』を監督している。

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使用された楽曲
歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲
ピエトロ・マスカーニ作曲。クラシック音楽の中でも屈指の美しさを誇る名曲。馬小軍(シャオチュン)が米蘭(ミーラン)の部屋に忍び込み、写真に写る彼女の姿に恋に落ちる場面や、夏の終わりの切ないシーンで流れる。青春の歓喜と儚さ、そして後戻りできないノスタルジーを象徴するテーマ曲。
www.youtube.com マスカーニ《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲
『インターナショナル』
世界的な社会主義の革命歌。少年たちが集団で大喧嘩を繰り広げる乱闘シーンや、文化大革命下の熱狂的な時代の空気を提示する場面で使用されている。
www.youtube.com 【漢語】國際歌 The Internationale | ⦇中文字幕⦈
『モスクワ郊外の夕べ(莫斯科郊外的晚上)』
文化大革命期に若者の間で広く親しまれたロシア(ソ連)民謡。劇中では集会や集団での合唱の場面などで登場し、当時の若者たちが過ごした日常のリアルな音響背景となっている。
www.youtube.com Подмосковные вечера 莫斯科郊外的晚上 [中俄字幕]
『英雄賛歌』
中国映画『英雄儿女 (1964) 』のテーマ曲(プロパガンダ歌曲)。文革期を象徴する時代の音としてラジオや街頭スピーカー等から流れ、当時の社会状況を表している。
www.youtube.com 刘炽的一首《英雄赞歌》,这才是我们该追的明星 ,向英雄致敬
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