最近見た中国映画(2019年12月)

 

 

 

中国机长 The Captain 中国機長 高度一万メートルの奇跡

中国机长


《中国机长》终极预告(张涵予 / 欧豪 / 杜江 / 袁泉)【预告片先知 | 20190930】

 

2019年 中国
監督: 刘伟强(劉偉強、アンドリュー・ラウ)
出演: 张涵予(チャン・ハンユー)欧豪(オウ・ハオ)杜江(ドゥー・ジアン)袁泉(ユエン・チュアン)张天爱(チャン・ティエンアイ)李沁(リー・チン)

 

【ストーリー】
四川航空3U8633便はチベット・ラサへと向かう飛行中に操縦席の窓ガラスが突如破損するトラブルが発生する。
高度9800メートルでの事故により気圧と温度は大幅に低下し、計器も使用不能に陥る中パイロットたちは必死でコントロールを試みる。
酸素マスクが垂れ下がり大混乱の客室でも、客室乗務員が乗客を必死で誘導しながら、クルーへの信頼を勝ち取り無事に着陸するまでの奇跡を描く。

【感想】
見終わって「ああ、本当に良い映画だった」と素直に思える素晴らしい映画だった。
真に見ごたえのある映像、抑えた演出、わかりやすいテンポの良さ、クルーたちのキャラクター、良い仕事をする豪華な脇役たち…挙げるべき点は幾つもある。今の中国映画の美点を知るには最良の一本ではないだろうか。
まずこの題材をたった9ヶ月で完成させた手腕が驚異的だ。費用だけの問題では無いのは容易に想像がつく。またテンポが良い。朝3時のクルーの出勤~搭乗前のクルー~機材の準備~テイクオフと、普段利用しながら見ることが無い「航空機が出発するまで」の裏側を、オープニングからわかりやすく見せてくれ、クルー全員がただの給仕でもなく「綺麗どころ」の役割でもなく、保安要員として飛行機の安全運行を司る役割である事の重要性を、再認識させつつ見せてくれて楽しい。これが後で、実際に事故発生の場面できっちり効いてくる。
クルー達のキャラクターも、男女問わず基本的には仕事に熱心でありながらそれぞれの個性を描いていて、それぞれの会話も面白い。また印象的なセリフも幾つも登場する。
CAチーフである袁泉(ユエン・チュアン)の「私達は皆、誰かの息子や娘、父や母です。ご家族は皆帰りを待っています。全員で帰りましょう。」というセリフには泣いた。
本作はいわゆる"愛国映画"ビッグ3のひとつと呼ばれたが、見た感じでは"愛国的"演出は過剰には思わなかった。強いて言うなら、チベットが目的地なためか、極めて自然にチベット系の人物やカトマンズの風景が何度も挿し込まれる点くらいか。おそらく、題材が既に"言わずとも愛国的"だから更に演出で煽る必要はないという適切な判断があったからだろう。この題材を選び、これを"この時期"に公開にこぎつけた判断は、正直慧眼と言わざるを得ない。
そういった鼻がつく演出もなく、文句なく感動作であるこの映画は、ぜひ日本でも本格公開して多くの人に見てほしい。

【トピック】
2018年5月に発生した実際の事故を元にした映画である。
・今年の国慶節の、建国70周年を祝う”愛国映画”ビッグ3のひとつ。(あと2つは「攀登者」「我和我的祖国」
・とてつもない短期間で制作されている。この事故はわずか映画公開9ヶ月前に発生。そこから2ヶ月半で既に脚本の準備稿が国家映画局に承認されている。5ヶ月後の1月にクランクインから2ヶ月でクランクアップ。そこから1ヶ月後の4月には北京国際映画祭で上映されている。本公開は9月30日であった。
・リアルな”飛行体験”を映像化するため、3億元(約47億円)をかけて原寸大のエアバスA319の模型を制作し、高度9800mの飛行を再現した。更にハリウッドの「スターウォーズ」シリーズ、「キャプテンアメリカ」などを手掛けた特殊効果チームを招聘した。
・制作前に、张涵予(チャン・ハンユー)、袁泉(ユエン・チュアン)らは実際にパイロットと面会し当時の状況をインタビューした。また、パイロット役、クルー役ともに訓練を受けてから撮影に臨んでいる。特にパイロット役の3人は撮影日の午前中は飛行理論の座学を受け、午後に撮影に臨んでいた。また欧豪(オウ・ハオ)の顔面の特殊メイクは準備に3時間に及び、アレルギーによって発疹が発生したが撮影を続行した。
・監督の刘伟强(劉偉強、アンドリュー・ラウ)は香港出身。「インファナル・アフェア」シリーズ、「風雲 ストームライダーズ(1998)」「頭文字D THE MOVIE(2005)」などで知られる。
・张涵予(チャン・ハンユー)は中国でトップクラスのアクションスターの一人だ。「戦場のレクイエム(集结号、2007)」「オペレーション・メコン (湄公河行动、2016)」「オペレーション:レッド・シー (红海行动、2018)」「マンハント(追捕、2017)」など。
・第2機長役の杜江(ドゥー・ジャン)は「オペレーション・レッドシー(红海行动、2018)」でブレイクした。今年は本作以外にも下記「烈火英雄 The Bravest 烈火英雄 ~戦士達に贈る物語~」や中国建国70周年映画「私と私の祖国(我和我的祖国、2019)」など話題作に続々出演している。
・副操縦士役の欧豪(オウ・ハオ)は「ひだりみみ(左耳, 2015)」で知られるようになった。杜江(ドゥー・ジャン)と同じように下記「烈火英雄」「我和我的祖国」などに出演して活躍を始めている。
・客室乗務員のチーフ役である袁泉(ユエン・チュアン)は「舞台劇の女王」と呼ばれている。主な出演作は「美丽的大脚(2002)」「ラスト・シャンハイ(大上海、2012)」「いつか、また(后会无期、2014)」など。
・张天爱(チャン・ティエンアイ)は、2015年にネットドラマで有名になった女優。映画では「君のいる世界から僕は歩き出す (从你的全世界路过、2016)」「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎(2017)」など。
・李沁(リー・チン)は2008年にドラマのオーディションから芸能界入り。特に広告業界でよく知られており、シャネル、ジバンシー、アルマーニ、ロレアル、雪肌精、SK-IIなどなど、錚々たるブランドのCMに出演している。
・脇役にも錚々たる俳優たちが出演している。杜江(ドゥー・ジアン)の恋人役にはアンジェラ・ベイビー(Angelababy)、空港での救急隊副主任に吴樾(呉樾、ウー・ユエ)、空軍の管制官役に余皑磊(ユー・アイレイ)などなど。
・第32回東京国際映画祭の中国映画週間でゴールドクレイン賞(金鶴賞)最優秀作品賞、最優秀男優賞を受賞。

 

 

 

烈火英雄 The Bravest 烈火英雄 ~戦士達に贈る物語~

烈火英雄

www.youtube.com 《烈火英雄》“有我必胜”终极预告(黄晓明/杜江/谭卓/杨紫/欧豪 )【预告片先知 | 20190719】

 

2019年 中国
監督: 陈国辉(陳国輝、トニー・チャン)
出演: 黄晓明(ホアン・シャオミン)杜江(ドゥー・ジャン)谭卓(タン・ジュオ)杨紫(ヤン・ズー)欧豪(オウ・ハオ)

 

【ストーリー】
ある海岸都市で発生したパイプライン爆発事故は、隣接する原油保管施設へと拡大した。
10万立法メートルのタンクが次々に爆発し、オイルが漏出する。付近の原油や化学薬品のタンクへの爆発拡大を恐れて、数百万の市民は一斉に逃げだし始める。
消防隊は未曾有の大災害を防ぐために現場へと向かう…

【感想】
火災の映像は本当にすごい。圧倒的だ。これだけのクオリティで再現映画を作ったら本当に映画史に残る作品ができあがると思う。ただ、本作は演出が多めでリアリティラインが少し低いと感じた。これは意図的で、むしろドラマ性が必要だからこそ、逆に全体の映像にはできる限りリアリティを優先した大規模セットやキャストの事前訓練などを準備したのだと感じられる。
たとえば、原油ってあんな簡単に爆発する?とか思ってしまう。配管からの漏出から即、連鎖的な大爆発が発生する。マジかよ。しかし炎上ではなく爆発が立て続けに起こり、それも圧倒的な迫力の画面で、僕などはついあの2015年に起こった天津の爆発事故を連想させた。これも、おそらく意図的ではないかと思う。
一方、火災が続く中盤以降、火の動きが更に演出を増していき、徐々に生き物のように動くようになってくる。延焼する過程も火がちょっと「え?」と思うような進み方をし、徐々に「敵対的な炎とそれに対決する消防士たち」という構図が立ち上がってくる。最終的に消火できたら「我々は勝利した(胜利了!)」という形だ。そのままかなり"愛国的"演出が色濃い状態でエンディングの大団円と至る。特にここ最近は、いろんな映画で"愛国的”演出が強まっている感じだが、なかでも本作は相当濃いめである。
つまり去年までの、中国軍の活躍を描く戦争映画が立て続けにヒットを連発させた後、その構図を援用したのが本作かなという見立てもできる。もともと消防隊の描き方は最初から軍隊っぽいなーと思っていたら、こちらは本当に軍隊だった(正確には武装警察の一部)。ただ、いわゆる"愛国映画"ビッグ3のひとつと言われている上記の「中国機長」は、逆にその構図を感じなかったのでむしろ本作のほうが"愛国映画"的であり、これが中国教育部の推薦を受けたのも、さもありなんという印象であった。
個人的に、人々のパニックに陥る様子が考えさせられる。携帯で人々に情報が伝播していき、先を争うように逃げだし始める。まるで難民。いかにも中国的だが、現在の日本ではさて、同じ様になるだろうか。
どちらにしても、映像だけでも必見だし、多くの若手役者たちの活躍を見れる点でも十二分に楽しめる。

【トピック】
・中国教育部による「小中学生に勧める映画」に本作や「流浪地球」などが選ばれた。
・監督は多くの消防士にインタビューを行った。黄晓明(ホアン・シャオミン)は1ヶ月以上の事前訓練を経てクランクインした。またエキストラに至るまで消防士役はすべて100日以上の集団訓練を行った。
・特殊効果を使用せず、オイル貯蔵庫は原寸大で実際の工法に従って建設したものを使用した。火災シーンでは、撮影クルーなども全員が防護服を着て撮影を行った。着用していない者は立入禁止とする厳格さで撮影を行った。貯蔵庫のエリアはのべ5万平方メートルになり、すべてセットを設営した。撮影に際しては20台の常駐消防車、30台の支援消防車が待機しており、大量の火薬・ガスを使用した。最初の爆発シーンである火鍋店は、すべて実際の什器や調理器具を使用している。特殊効果を使わず50ヶ所の爆破点を設置し、計2秒のシーンを12台のカメラで撮影した。
・化学薬品タンク前での断水シーン、メンバーのメッセージを録画した携帯を投げるシーンは大連での火災事故で実際にあったエピソードである。
・監督の陈国辉(陳国輝、トニー・チャン)は香港人で、過去作は「ホット・サマー・デイズ(全城熱恋、2010)」「ハッピーイヤーズ・イブ(全球熱恋、2011)」「怦然星动(2015)」などのラブコメが多かった。
・主演の黄晓明(ホアン・シャオミン)は実力のある俳優だが、現在はむしろプライベートで騒がしい。2015年に絶世の美女と名高く、上記「中国機長」にも出演しているアンジェラ・ベイビーと結婚しているが、昨年ウイグル族の女優古力娜扎(グリ・ナザ)との浮気疑惑から、離婚危機に発展している。最近の出演作は「无问西东(無問西東、2018)」など。
・杜江(ドゥー・ジャン)については上記「中国機長 高度一万メートルの奇跡(中国机长、2019)」の項を参照のこと。
・主役の妻役である谭卓(タン・ジョオ)は「私は薬の神ではない(我不是药神、2018)」出演で知られている人気女優。
・指揮所配属で、劇中に結婚式を挙げる隊員役の杨紫(ヤン・ズー)は、90後世代4人娘(90后四小花旦)の一人として知られる。
・杨紫(ヤン・ズー)と、結婚式新郎役の欧豪(オウ・ハオ)は特別出演となっている。詳細は上記「中国機長 高度一万メートルの奇跡(中国机长、2019)」の項を参照のこと。

 

 

 

 

跳舞吧!大象 Dancing Elephant

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《跳舞吧!大象》终极预告(艾伦/金春花/彭杨/宋楠惜/静芳)【预告片先知 | 20190718】

 

2019年 中国
監督: 林育贤(林育賢、リン・ユゥシェン)
出演: 艾伦(アイルン、アレン・アイ)金春花(ジン・チョンフア)彭杨(パン・ヤン)宋楠惜(ソン・ナンシー)静芳(ジン・ファン)


【ストーリー】
バレエが大好きな13歳の少女、黎春夏【金春花(ジン・チョンフア)】は交通事故に遭い15年間に渡って昏睡状態になっていた。改めて目覚めた時、彼女は体重100kgまで太っており、精神は13歳のままであった。
それでも踊りの夢を諦められない黎春夏は、当時の友人たちと鬼コーチ皮鲍十【艾伦(アイルン、アレン・アイ)】の元でダンスのレッスンを始める。

【感想】
ストーリーそのものはオーソドックスな夢に向かって努力する話で、ディテールでコメディ要素を作っている。主演の4人の女優はキャラも立っているし共感しやすい。特にダンスと音楽がしっかりとできあがっていて見ているだけで盛り上がるクライマックスシーンに仕上がっている。
細かな演出はややオーバーで、クセが強くてノイズになっている。かたや主人公の足が悪い設定については活かし方が不足している印象で、なんなら無くても良いのにとか思ってしまった。
4人の描き方は、地に足がついているのでとても実在感がある。誰もが15年前の友情に心を砕けない事情もある。その点もきちんと描いていて、それでもなお一緒にやろうと再決意するという流れが自然で美しい。
全体的にはとても健やかな女性のスポ根ドラマになっていて、気持ちよく見れた。

【トピック】
・監督の林育贤(林育賢、リン・ユゥシェン)は台湾人。自身初の映画であった体操を練習する子どもたちのドキュメンタリー「ジャンプ!ボーイズ翻滾吧!男孩、2005)」がヒットし、「翻滾吧!」シリーズを計3作制作した。本作のテーマである体操やタイトルも「翻滾吧!」シリーズに関係している。また、2006年には障害を持つ子供のドキュメンタリー「大象男孩与机器女孩」を制作しており、このタイトル内の”大象”は本作でも同じように”子供らしい自由奔放さ”を示していると思われる。他の監督作は「シチリアの恋谎言西西里、2016)」など。
・コーチ役の艾伦(アイルン、アレン・アイ)は喜劇集団・開心麻花のトップスター。最近は本当に売れっ子である。主なものだけでも「西虹市首富(2018)」「李茶的姑妈 (2017)」「羞羞的铁拳(恥知らずの鉄拳, 2017)」などなど。下記「人间·喜剧 The Human Comedy」にも主演している。
・主人公の金春花(ジン・チョンフア)も同じく開心麻花に所属している。映画出演はほぼこれが2作目、もちろん初主演。
・友人役の3人の女優も、皆これが初の主役級の出演となる。

 

 

 

 

小小的愿望 The Last Wish 小小的願望

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《小小的愿望》“全力以赴”版预告 (彭昱畅 / 王大陆 / 魏大勋 / 曾梦雪 主演)【预告片先知 | 20190902】

 

2019年  中国
監督: 田羽生(ティエン・ユーション)
出演: 彭昱畅(ポン・ユーチャン)王大陆 (王大陸、ダレン・ワン)魏大勋(ウェイ・ダシュン)曾梦雪(ヅェン・モンシュエ) 贾冰

 

【ストーリー】
バスケ好き高校生の高远【彭昱畅(ポン・ユーチャン)】は筋ジストロフィーにかかり、体の動きが衰えながら長い入院生活を余儀なくされる。ある日医師から、近づく死期の前に、願いを叶えて一人前の男になるようアドバイスされる。
親友の徐浩【王大陆 (王大陸、ダレン・ワン)】と张正阳【魏大勋(ウェイ・ダシュン)】は、それを聞いて、友の最後の願いを叶えるためにできるだけの事をする事を誓うが…

【感想】
元となる韓国版は見ていないので変更点などは不明だが、純粋に爽やかで気持ちよく見れる小品だった。
クライマックスへの展開は、良くも悪くも男子高校生らしさが出ていて「もしかしてこの後…?」と嫌な想像をさせられるのだが、当然というかクリーンに終わるので、むしろ「不純なことを想像する大人な自分」を鑑賞中に意識させられ、見終わった後のスッキリ気持ち良い青春映画だったと思わせる邪魔をする。主人公たちもその点ではクリーンでは無いので、そこに感情移入しきれない部分が残る。まあ、現実の男子高校生はこんなもんだし、嘘はない(笑)
ドタバタコメディで泣かせて終わる、王道のストーリー運び。出演陣は大人気のヤングスターたち。気楽に見て気持ちよく終わる程度の、量産型プログラムピクチャーらしい清々しい作りだ。

【トピック】
・韓国映画「偉大な願い (2016)」の中国版リメイク。当初7月18日公開予定だったが9月に延期となった。制作会社と女優・ 范冰冰(ファン・ビンビン)との関係が問題になったらしい。
・なぜか10年ほど前のバスケ好きの設定なので、NBAネタはもちろん、スラムダンクネタも多く出てくる。アニメ・スラムダンクのOP曲「君が好きだと叫びたい/BAAD」も日本語版のまま使われている。王大陆 (王大陸、ダレン・ワン)が劇中で来ているNBAチームのユニフォームも2010年以前のものだ。
・監督の田羽生(ティエン・ユーション)は、大ヒットした「前任3:再见前任(2017)」をはじめとするラブコメ「前任」シリーズで知られる。ただ「前任」シリーズは最新作「下一任:前任 (2019)」を今年5月に別監督で公開した。田羽生監督は本作の為にシリーズから降板したのかもしれない。「人在囧途 Lost On Journey(2011)」では脚本を担当した。
・病気を患う主人公の高远役である彭昱畅(ポン・ユーチャン)は、若手実力派トップのひとり。日本公開作の中では、つい先月公開の「象は静かに座っている(大象席地而坐、2018)」での主演で知られただろうか。この映画で彼は金馬奨主演男優賞にノミネート。個人的には「快把我哥带走 Go Brother! 兄に付ける薬はない! (2018)」での主演で知って以来である。
・もはや説明不要な感じの王大陆 (王大陸、ダレン・ワン)は、台湾出身の大人気若手俳優。「我的少女時代 Our Times (2015)」での主人公の相手役で知られて以来、多くの映画に出演している。「英雄本色2018 A Better Tomorrow 2018 (男たちの挽歌2018)」も見た。
・魏大勋(ウェイ・ダシュン)はおそらく主演映画2作目になる俳優だ。
・曾梦雪(ヅェン・モンシュエ)は今回の監督による前作「前任3:再见前任 (2017)」でも主演格であった。
・魏大勋(ウェイ・ダシュン)の成金っぽい父親役である贾冰は、映画出演も多くなさそうだが、以前も説明した国家一級演員という事なので定評はあるのであろう。

 

 

 

银河补习班 Looking Up 銀河学習塾 

银河补习班

www.youtube.com 电影 银河补习班 预告 邓超白宇任素汐 "Looking Up" Trailer - Deng Chao/Bai Yu/Ren Suxi

 

2019年 中国
監督: 邓超(鄧超、ダン・チャオ)俞白眉(ユー・バイメイ)
出演: 邓超(鄧超、ダン・チャオ)、白宇(バイ・ユー)任素汐(レン・スゥシー)王西(ワン・シー)孙浠伦(スン・シールン) 

 

【ストーリー】
宇宙飛行士の马飞【白宇(バイ・ユー) 】は、まさに宇宙船の事故の最中、父親のことを回想していた。
马皓文【邓超(鄧超、ダン・チャオ)】は設計ミスの橋梁事故により逮捕され、7年間獄中にいた。その間に小学生へと育った息子、马飞【孙浠伦(スン・シールン) 】に彼はユニークな方法で、自立した考えと困難に立ち向かう勇敢さを教えた。
しかし马飞は成績がふるわない。いざ退学となりそうになった時、親子は学校と、成績を劇的に向上させる賭けをしたのだが…

【感想】
全体の画質というか、ルックは素晴らしい。細かいところにも手間とお金がかかっているのがよくわかる。こなれているというのだろうか。ただ、全体の言いたい事というか情熱というか、強い思いを感じず冗長に感じてしまう。2時間20分と長いのが理由だけではない気がする。
夢物語的というか、理想論すぎる印象。確かに学校では良い成績は取れたが、そこから宇宙飛行士になるのは更に何倍も厳しい競争を勝ち抜く必要があるし、そこを突破しそうなポテンシャルを、正直この子には感じられないのだ(笑) あと時折元妻の家族が関わるのだが、元夫の勝手な約束を最後に途中で出てこなくなる。どう見ても彼らのほうが養育環境は良いにも関わらず、倉庫を間借りしたような厳しい状況で育てるのは、幾ら理念が素晴らしくても全然納得できないんだけど…愛情ゆえとはいえ、父親のエゴが酷いように見える。
あと、吴京(呉京、ウー・ジン)が特別出演で宇宙船のコントロールルームにいる。この種の映画のこういうシーンでこの人の存在は、もはやお約束みたいになっている。

【トピック】
・監督・主演の邓超(鄧超、ダン・チャオ)はトップスターとして、近年は監督業にも精力的だ。本作で3作目の監督となる。俳優としては「烈日灼心(2015)」、「人魚姫美人鱼、2016)」、「乗風破浪〜あの頃のあなたを今想う (2017)」など。
・共同監督の俞白眉(ユー・バイメイ)は、元々劇作家だったが映画へ進出し、邓超(鄧超、ダン・チャオ)と共同で両者初監督の「分手大师(2014)」をヒットさせる。それ以来本作がこのコンビでの3作目の映画となる。
・大人になった息子役の白宇(バイ・ユー)はモデル・俳優で映画は数本出演しているが、モデルや広告での露出が多く、KFCやメイベリン、ナリス化粧品、タイガー魔法瓶、RADOなどの広告契約をしている。
・元妻役の任素汐(レン・スゥシー)は、歌手でもある。「驴得水(2016)」では主題歌を歌っている。中国建国70周年映画の「私と私の祖国(我和我的祖国、2019)」にも出演している。
・教師役の王西(ワン・シー)は本作が映画初出演だが、東京国際映画祭・中国映画週間で優秀新人俳優賞を受賞した。

 

 

 

 

人间·喜剧 The Human Comedy

人间·喜剧


《人间·喜剧》“有种有码”预告片(艾伦 / 王智 / 鲁诺 / 任达华)【预告片先知 | 20190322】

 

2019年 中国
監督: 孙周(スン・チョウ)
出演: 艾伦(アイルン、アレン・アイ)王智(ワン・ジー)鲁诺(ルー・ヌオ)任达华(任達華、サイモン・ヤム)金士杰(金士傑、チン・シーチェ)

 

【ストーリー】
平凡な夫婦の濮通【艾伦(アイルン、アレン・アイ)】と米粒【王智(ワン・ジー)】は、給料の遅配のせいで家賃が払えないでいた。
一方、裕福な子息である杨小伟【鲁诺(ルー・ヌオ)】は自堕落な日々の果てに、返済のあても無い借金を抱えていた。3人は、返済のために杨小伟の誘拐事件の自演を計画する。杨小伟の父【金士杰(金士傑、チン・シーチェ)】は1万元の身代金支払いを約束するが、実際には… 
さて無事に駆け引きはうまくいくのか。

【感想】
基本的にドバタバコメディなのだが、要素を盛り込みすぎて本当にドタバタしたストーリーになっていた。
主人公の3人は本当は気がいい連中なようだが、その場だけで行動しているようなので
あまり共感できるキャラクターじゃないのもあるかもしれない。誰目線で見ればよいのかわからなくなる。一方、年配の主要キャスト2人の存在感は素晴らしい。彼らのお陰で画面が引き締まり、失速しない。
とはいえ話は無駄が多い。凍結精子を盗むというくだりがあるのだが、ここのところがどうにもわかりにくい。ムダに長いし盗難するプロセスも突っ込みどころをわざわざ作ってしまっている印象。無理にこんな話にしなくとも…という印象。更に他のエピソードも絡み、なぜこの結末になったのか、説得力が感じられなかった。まあ1時間半と長くない映画なのでダレる事なく見られる。

【トピック】
・監督の孙周(スン・チョウ)は80年代から活躍する監督。特にコン・リー主演の「きれいなおかあさん(漂亮妈妈、1999)」「たまゆらの女(周渔的火车、2002)」などで知られ、第24回モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞受賞に貢献している。
・主人公の夫役、艾伦(アイルン、アレン・アイ)は喜劇集団・開心麻花のトップスター。上記「跳舞吧!大象」にも主演しており、詳細もそちらに記載している。
・主人公の妻役、王智(ワン・ジー)も開心麻花の関連作に多く出演している。「夏洛特烦恼(2015)」など。
・子息役の鲁诺(ルー・ヌオ)は、ドイツ人とのハーフであるモデル・俳優。モデル業が長く、映画出演歴はまだ少ない。
・マフィア役である任达华(任達華、サイモン・ヤム)はハリウッドでも活動した香港人俳優。主な出演作は「トゥームレイダー2(2003)」「イップ・マン」シリーズ、「ドラゴン×マッハ!(2015)」など。
・子息の父親である富豪役は金士杰(金士傑、チン・シーチェ)。台湾の俳優・監督・劇作家である。舞台出演も多いが、映画では「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(1991)」「ブレイド・マスター(绣春刀, 2014)」などがある。