貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考えるを読んだ。
貧困を解決するための考え方を説いた本。
なのだが、刮目するような話が多数でてきて刺激的。あまりにも事例が多すぎて、確かに読むのに退屈はしたけれど、言ってることの面白さで乗り切ったという本。
要するに単純には解決しないって事なんだけれど、ハードルの高さとある程度「金を持つ」=「余裕を持つ」事の重要さを身にしみて実感させられる。
瑣末な解決/管理すべき多くの、あまりに多くの問題が貧困だからこそ発生し、その為に希望/やる気を失って成長を抑える。圧倒的に納得する話。アドバイスを求めるだけでも出費が要るし、それを抑えるには知識が必要なのが貧困の世界。
本当に悩んでる人にはカウンセリングは行けないし、そもそも外に出ないから救いの情報にたどり着かないし、時間もないから行く余裕も無いとか。金が無いから投資もできないし、将来的な話ができないし、成長も鈍化するとか。少ない収入でも自分を癒やすために即物的な出費を優先するとか。
わかりすぎる。
そして、ほんの少しの経済的な余裕が、その何倍もの効果を発揮する事もわかりすぎる。
クレバーでなければ生きていけないのだ。感覚ごと鈍くなるか、それがイヤなら何事にも敏感でなければならない。それが貧困の世界。これを自己責任と取るか、制度の問題=他者のせいと取るか、これまた難しい問題が横たわる。
覚えておきたい部分。
「『3I問題』と呼ぶものです。イデオロギー ideology、無知 ignorance, 惰性 inertia。この問題は、貧乏な人を助けるはずの多くの努力をむしばんでいるのです。〔中略〕看護師というのが献身的なソーシャルワーカーだと思いたい"イデオロギー"に基づくもので、現場の状況を"知らない”人によるものです。それがもっぱら紙の上だけでも生き延び続けているのは"惰性"のためです。(p338)」