中国映画レビュー「人潮汹涌 End Game」

人潮汹湧 End Game

 

 

 

人潮汹湧 Endgame人潮汹湧 Endgame


www.youtube.com 《人潮洶湧》3月18日 扭轉乾坤

 

【スタッフ & キャスト】

2021年 中国 119分
監督: 饶晓志(ラオ・シャオジー)
出演: 刘德华(アンディ・ラウ、劉徳華)肖央(シャオ・ヤン)万茜(ワン・チェン)程怡(チェン・イー)黄小蕾(ホアン・シャオレイ)

 

 

 

【ストーリー】

周全(ジョウ・チャン)【刘德华(アンディ・ラウ、劉徳華)】は一流の殺し屋だが、ある任務の後にふと銭湯へ入る。だがその浴室で転倒した挙げ句に記憶喪失となってしまう。一方、売れない大部屋俳優である陈小萌(チェン・シャオマン)【肖央(シャオ・ヤン)】は人生に行き詰まった所で、ふと割引券を見つけて銭湯に向かう。目の前で転倒した周全を見て、素性も知らずに彼になりすます事にする。入れ替わった2人はそれぞれの家に向かい、新しい生活を始めるのだが…

 

 

 

【感想】

ファミリーでも楽しめるコメディなのに最後まで緊張感もあって楽しめる良質のエンタメ映画だ。

やっぱりアンディ・ラウの存在感がデカい。殺し屋の時の引き締まった佇まいと、一方で貧しい大部屋俳優の時のこじんまりとした奥ゆかしい雰囲気を漂わせる雰囲気が、180度違って見せつけてくれて、そのギャップだけでニヤニヤしながら楽しめる。また画面の作りもセンスがあって、お互いの部屋の造形などおしゃれとすら思える時も多々あるし、ローカルで下品な笑いを取ることもなく、ユーモアやモチーフ使いで上品に笑わせてくるのが上手い。アンディ・ラウの=香港映画の名作シーンをいい感じに使うのもさりげなくて楽しませてくれる。

 

人潮汹涌

 

本作は堺雅人・香川照之主演の「鍵泥棒のメソッド(2012)」のリメイクで、先に韓国で「LUCK-KEY ラッキー(2016)」としてリメイクされて大ヒットしたものの中国版となる。両方とも現在アマプラで見れる事もあり、せっかくなので今回あらためて2作とも見てみた。日本版での、面白い設定とラストにくるテーマ的なものを伝えるために、地味で小さな世界観だが心情描写を丁寧に作ってある感じなのに対して、韓国版は主演のユ・ヘジンのストーリーに大きく比重が偏ってアレンジされている。そのおかげで彼のルックスや二役を切り替える時のギャップが大きく引き立っているし、脚本も的確に喜ばれるポイントをブーストさせていて、大ヒットしたのも納得の最高に面白い作品になっている。ただ、そのせいで元々の2人が入れ替わり、さあどうなる!?という部分の見せ場は減っていたのを、今回の中国版はそこを改めてより見せるように作り変えた、といったところだろうか。日本版を豪華にしたストーリーとも言えるだろう。

3作どの映画も、殺し屋がメインでアクションや悪人は出てくるのに残酷シーンは無く、最後はスッキリと見終われる、王道エンターテイメントだ。

 

人潮汹涌

 

 

 

【トピック】

○ 春節映画として2021年2月12日に公開。当初は「唐人街探偵 東京MISSION」より下の興行成績だったが、クチコミで徐々に上昇し3週目以降は興収で上回った。

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○ タイトルの「人潮汹湧」は、人混みや雑踏といった意味だろうか。

 

○ バイクのシーンはベニー・チャン監督「アンディ・ラウの逃避行 天若有情(1990)」へのオマージュだ。バイクは1985年式スズキRG500Γから1993年式ホンダNSR250R(MC28)へと変わっているが、どちらも最高峰クラスの名車なので拘っているのがわかる。

人潮汹涌

 

○ 他にも、「蒼き獣たち」「上海グランド」「インファナル・アフェア」など、過去のアンディ・ラウ名場面オマージュシーンがあるそうだ。

 

○ 監督の饶晓志(ラオ・シャオジー)は「你好,疯子!(2016)」で映画監督デビュー。第二作目「无名之辈(2018)」ではマカオ国際映画祭最優秀作品賞を受賞。「平原上的夏洛克(2019)」ではプロデューサーを務めている。「流転の地球(2019)」に俳優として出演もしている。

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◯ 筆者の2020-21年中国映画ベスト5で本作を第4位に選んだ。

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肖央(シャオ・ヤン)

○ アンディ・ラウ演じる周全になりすます大部屋俳優、陈小萌役の肖央(シャオ・ヤン)は、「共謀家族 误杀(2019)」の主演、「唐人街探偵」シリーズ出演をはじめ多くの作品に出演している。詳しくは「シスター 夏のわかれ道(2021)」の項を参照。

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万茜(ワン・チェン)

○ 周全を助けるシングルマザー役を演じた万茜(ワン・チェン)は、2002年頃から女優をしており、本作の饶晓志(ラオ・シャオジー)監督の初監督作「你好,疯子!(2016)」で主演している。昨年30歳以上の女性たちによるオーディション番組「乘风破浪的姐姐(2020)」でX-Sisterというグループに選ばれた。

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王学兵(ワン・シュエビン)

○ 最初に殺される男を演じるのは王学兵(ワン・シュエビン)。良作「選ばれざる路(2018)」で主演していた。

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郭京飞(グオ・ジンフェイ)

○ 俳優陈小萌のアパートの大家を演じているのは郭京飞(グオ・ジンフェイ)。映画「二代妖精之今生有幸(2017)」「宝贝儿(2018)」「ミッション・デブポッシブル! (2018)」などに出演している。

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その他

○ 映画撮影シーンの助監督的な役をやっているのは雷佳音(レイ・ジャーイン)。いろんな作品に顔を出しており、彼の姿はここ最近、頻繁に見るようになった。映画「ルームシェア(2018)」「刺杀小说家(2021)」などで主演している。最近はドラマ「長安二十四時(2019)」「在一起(2020)」、映画「愛しの母国  我和我的祖国(2019)」「1921(2021)」などの主旋律映画系、チャン・イーモウ監督「崖上のスパイ(2021)」 などなど…非常に数多く出演している。

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○ いく人かの映画監督も監督役で出演している。「刺杀小说家(2021)」の路阳(ルー・ヤン)、「流転の地球(2019)」の郭帆(グオ・ファン)や「除暴(2020)」の刘浩良(ラウ・ホーリョン)など。

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筆者の2020-21年の中国映画ベスト5で本作を4位に選んだ。

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