前回から4年ぶりに見たプノンペンの道路事情を見てみよう。
景気の良かった前回には数多く見かけたレクサスやランクルなどの高級SUVは少なくなったが、中国の新しいモデルはちょくちょく見かけた。だが中国メーカーの得意なBEVなどではなく手頃なガソリン車が多かったので、景気後退の影響は見て取れた印象だ。
- 2代目・3代目トヨタ・プリウス
- 8代目トヨタ・カローラ
- 2代目トヨタ・ハリアー(レクサス・RX)
- 初代トヨタ・シエナ
- 3代目トヨタ・カムリ
- 2代目インフィニティ・QX50
- 3代目マツダ・BT-50
- 雙龍(サンヨン)・イスタナ
- 雙龍(サンヨン)・G4レクストン前期
- 2代目起亜・ベスタ
- フォード・テリトリー / イクエータースポーツ
- 4代目シボレー・トラッカー
- 東風風行・T5 Evo
- 東風風神・奕炫GS
- ヴェヌーシア・V-Online
- 2代目広汽・传祺GS5
- 藍電・E5
- MG・ZS
- 2代目MG・5/GT
- 東南汽車・A5
- BYD(比亚迪)・漢
- AION(埃安)・Y Plus
- 初代/2代目広汽・传祺M8
- DENZA(腾势)・D9
- ONiON・T1
- 耀隆・指挥官
- 大陽・双灯蓬头
- 4輪電動カート
2代目・3代目トヨタ・プリウス
プノンペンの街なかで最も数多く見るのはプリウスだ。基本的には2代目20系プリウスが最も多く、中古車屋などでは今30系を売り出している状況だ。手軽に使える価格帯という事では、日本と同じだろうか。50系はほぼ見かけなかった。すべてアメリカ仕様だ。
8代目トヨタ・カローラ
1995~2002年の110系カローラ・アメリカ仕様。2001年モデル以降の後期型だ。
2代目トヨタ・ハリアー(レクサス・RX)
プリウスの上級モデルとして、プノンペンで数多く見るのがこの2代目30系ハリアーだ。アメリカ仕様なのでレクサス・RXとして販売されていたもので、バッヂも当然レクサス。
初代トヨタ・シエナ
前回の訪問時やベトナムも見かけたアメリカモデル。2本グリルとなっている2000~2002年の後期型。ドロドロに汚れてタイヤをルーフに載せている。
3代目トヨタ・カムリ
もう1990年代以前の旧車を街なかで見ることもほとんど無くなってしまった。このカムリだけ数台見かけた程度だ。
非常にコンサバなデザインだが、フロントバンパー下部やドアハンドルが色付きになっているので、1991イヤーモデル以降のアメリカ仕様後期型DXとなる。ニワトリが下に潜んでいるホワイトのモデルはアメリカ仕様では真ん中のグレードとなるDXだ。
2代目インフィニティ・QX50
2代目インフィニティ・QX50は、日本ではスカイラインクロスオーバーという名前で販売した初代QX50の次世代モデル。2017年に登場し、中国でも生産している。
3代目マツダ・BT-50
アジア・オセアニア地区でのピックアップの定番・いすゞ・D-MAXのバッヂエンジニアリング・OEM車。
雙龍(サンヨン)・イスタナ
韓国車は以前に増して数多く見かけた。ヒュンダイ・コナやツーソンなどを多く見たが、このワンボックス車が最も多かった。メルセデス・ベンツがアジア向けに開発したモデル・MB100の3代目をバッヂエンジニアリングしたモデル。
雙龍(サンヨン)・G4レクストン前期
2017年からの2代目レクストン。2020年のマイナーチェンジで車名からG4が取れた。2.0Lガソリン/2.2Lディーゼルの中型SUV。
2代目起亜・ベスタ
韓国・起亜自動車は、1980年からマツダ・ボンゴ・トラックのOEMモデルを起亜・ボンゴとして生産していた。初代はマツダ版の2代目となるBA2系がベースとなり、途中からワンボックスモデルも追加され、それがこのベスタというモデルになる。
画像は1989年にスイッチして1997年まで生産された3代目マツダ・ボンゴベースの2代目ベスタ。ほんのりヘッドライト周囲のデザインが違う程度で、同じく兄弟車のフォード・スペクトロンに似ている。
フォード・テリトリー / イクエータースポーツ
テリトリーは、そもそもはフォード・オーストラリアから2013年に発売されたオーストラリア専用モデルだった。
この初代モデルが生産終了した2018年、中国モデルの初代テリトリー(领界)として、合弁相手となる江鈴汽車(JMC)の江铃驭胜S330をベースとした新型が登場。画像の車両はこの中国版初代モデルになる。
2022年には画像2枚目の中国版2代目が登場している。1.5リッター・ターボエンジンを搭載している。
こちらが2022年から登場した中国版2代目モデルだが、車名は上級モデルに絡めたイクエータースポーツ(领睿)という名前に変更された。メキシコや南アフリカといった中国外ではテリトリーというモデル名で販売されている。1.5~2.0Lエコブースト・ターボエンジンを搭載している。
4代目シボレー・トラッカー
トラッカーはアジア・南米向けの小型SUVモデル。そもそもはスズキ・エスクードのシボレー版として1989年に登場。2013年からの3代目では元韓国・大宇であるGMコリアが設計・生産してトラッカーまたはトラックスという車名で販売。現行型となる画像の4代目は中国で設計され、2019年から中国や南米で生産・販売されている。1.0~1.5Lターボエンジンを搭載している。
東風風行・T5 Evo
東風風行=英語ではForthing(フォーティン)というブランドで東風柳州汽車が生産している中型SUV・T5 Evo。ブランド名は2020年からForthingに変更され、その際にデビューしたのが、このT5だ。画像のT5 Evoは翌年リリースされた上級スポーティモデル。
Leiting (雷霆) という別名のEV版もあるが、このモデルは1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2種類がある。
【风行T5 EVO】东风风行T5EVO报价,东风风行T5EVO图片_易车
東風風神・奕炫GS
風神奕炫GSは東風の1ブランド・風神(Aeolus)のSUVモデル。2023年に登場したモデルだが、1.5Lガソリンターボのみ。
ヴェヌーシア・V-Online
こちらは日産との合弁会社・東風日産のブランド・ヴェヌーシア(启辰)のSUVモデル・V-Online。アグレッシブなデザインで2021年にリリースされたが、パワートレインは1.5Lターボのみ。
2代目広汽・传祺GS5
広汽集団・传祺(Trumpchi)ブランドのメインモデル・GS4の上級モデルがGS5。2代目になった画像のモデルは2018~2021年まで生産されていたが、次世代モデルからGS4 Plusという名に変更された。パワートレインは1.5Lターボのみ。
藍電・E5
DFSKという名で知られる東風の小型車部門・東風小康は当初、東風と賽力斯(Seres)集団の合弁会社だったが、後に賽力斯によって100%子会社化された。DFSKは、佐川急便が電気自動車を大量配備した事でも知られる、EV商用車も数多く販売している巨大メーカー。
賽力斯(Seres)・DFSK・AITOに続く賽力斯のEV・PHEV専門の新ブランドが、この藍電(Landian)である。E5はBYD製のパワートレイン・1.5L PHEVのみ。ファーウェイの開発した車内OS、HUAWEI HiCar 3.0を搭載したハリアーサイズのモデルだ。発売はわずか1年前の2023年3月。
MG・ZS
このモデルもプノンペンではよく見かけた。2021年以降の後期型。
MGはそもそもはイギリスのスポーツカーブランドだったが、2006年のMGローバー破綻によって中国・上汽集団(SAIC)傘下のブランドとなった。以降、上汽の中でも積極的に輸出を手掛けるブランドとして、特に中国外で売上を伸ばしている。
ZSはブランド2台目のSUVとして2017年に発売開始。1.0~1.5Lエンジンを搭載しているが、タイではハイブリッド、中国ではBEV版も発売している。中国では荣威(Roewe)RX3として違うデザインで販売されている。
【图】荣威RX3_荣威_荣威RX3报价_荣威RX3图片_汽车之家
2代目MG・5/GT
2020年に登場したセダンの2代目。1.5Lガソリンを搭載。中国では荣威(Roewe)i5という兄弟車が存在する。
東南汽車・A5
東南汽車は、台湾の三菱車の現地生産パートナー・中華汽車が中国で設立したメーカー。その経緯もあって長らく三菱車のOEMモデルを販売していた。1.5Lガソリンエンジン搭載でやや古いデザインな気がするが、現在も販売中。
【图】东南A5翼舞_东南_东南A5翼舞报价_东南A5翼舞图片_汽车之家
BYD(比亚迪)・漢
漢は2020年に登場したPHEV / BEVモデル。画像はBEV版のモデルで航続距離600kmを標榜する。トヨタ・クラウンとほぼ同じ大きさの、堂々たる風格の大型セダンだ。
AION(埃安)・Y Plus
AIONは広汽(GAC)が2017年に立ち上げたBEV向けの新ブランド。プノンペンでもショールームを開設して正規輸入している。
Yは2021年に発売された小型BEVで、ドイツではElaris Leo / Lenn、兄弟車としてデザイン違いのHycan(合创)Z03というモデルがある。
画像は2022年に追加されたY Plusという少し大きめのボディを持つモデル。13cmほど大型化し、よりパワフルなモーターで510kmの航続距離を持つ。
【AION Y】埃安_AION Y报价_AION Y图片_汽车之家
【合创Z03】合创汽车_合创Z03报价_合创Z03图片_汽车之家
初代/2代目広汽・传祺M8
M8は、日本で言うアルファードクラスの豪華ワンボックス・モデルだが、中国ではもう少し安価なビュイック・GL8のライバルとなる。2022年にモデルチェンジしたこの2代目は、はっきりとアルファードを意識したアグレッシブなデザインになった。街なかでもちょくちょく見るので、プノンペンでも人気はありそうだ。だがエンジンは2.0Lガソリンターボのみなので、パワーや燃費的には弱いか。
そして、こちらは初代モデル。よりビュイック・GL8よりのデザインである。
DENZA(腾势)・D9
メルセデスと比亚迪 (BYD) が2010年に合弁で立ち上げたDENZA(腾势)というブランド。2014年以来ベンツ・Bクラスベースの1車種しか販売していなかったが、新型がこの対アルファード的な豪華ワンボックス。展示会的なものをやっていたが、1.5L PHEVか電気自動車のラインナップで、アルファードよりもう少し大きいというかなりの余裕あるサイズだった。画像はPHEVモデル。
しかも調べてみると、なんと今年夏に日本発売の噂があるという…
以前に深圳で見たDENZA (腾势) の記事
ONiON・T1
ONiONはカンボジア製の電動トゥクトゥクメーカーだ。かわいいデザインで時々走っているのも見かけるくらいに普及しているのが分かった。TADAというタクシーアプリを開発したシンガポールと韓国の企業から出資を受けてプノンペンで起業。2022年にカンダル州で生産を開始した。
Cambodia-Built ‘Onion’ Electric Tuk-Tuks Hit Speed Bumps
TADA – Ride Hailing on the App Store
耀隆・指挥官
これもトゥクトゥクの系統の三輪車だが中国製。最近の中国では更に進化が進み、電気自動車版や画像ような封闭(封閉)式という、乗用車的な密閉された空間を持つタイプも登場していて、高齢者向けの手頃な足としても販売されている。
これは河南省洛陽市にある珠峰华鹰三轮摩托车というメーカーの耀隆(ヤオロン)・指挥官というモデル。中国では27,000元(58万円)ほどの価格らしいが、この150ccまたは200ccのガソリンモデル以外にも電動版もあり、エアコンも選択可能だ。
指挥官-洛阳珠峰华鹰三轮摩托车有限公司 珠峰华鹰、三轮车、货车系列
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似たような三輪車は、中国映画でも登場する。
大陽・双灯蓬头
重慶にある北易車業の大陽(ダヤン)というブランドの双灯蓬头という3輪トラック。昔のマツダなどの大型オート三輪を彷彿とさせる。カンボジアではTHAICOというブランドだが、中国では大陽(ダヤン、DAYANG)ブランドで生産されているようだ。積載量は不明だが、サイズは大きめとはいえ350ccエンジンなので軽トラ以上ではないだろう。
このメーカーは乗用の三輪車、BEV版も生産していて、三輪車メーカーとしては大規模な方だろう。
双灯蓬头-重庆三轮摩托车,重庆大阳三轮摩托车,重庆北易车业有限公司
これもおそらくTHAICOこと北易車業のモデルだと思われるが、エンジンの代わりにシート部分にバッテリーが入っている電気スクーターだ。ヒサシをのばして屋根としてあるのが素晴らしい。
4輪電動カート
これも詳細は不明だが、4輪の電動カートだ。Mrs Chan Cambodiaというカンボジアの企業が販売している。中国製のように見える。