数日前に、この本も読み終わっていた。
ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」 ななころび やおき
ラティーナ
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名前は知ってたラテン音楽雑誌"Latino"の連載からできた本。
TBSラジオ Session-22で荻上チキ氏が「皆にわざわざ配っている」という程の本だって言ってたので、そのままクリックした。
果たして…
在日外国人の事案を手掛ける弁護士が、そこから浮かび上がる問題をエッセイ的に書いている…のだが、その内容が極めて劣悪で…
特に、外国人に対する日本の滞在要件がもう、無茶ぶりとしか言いようが無いレベルで、観光客と大手企業以外は”真っ当に”在住もできない。しかも、その事実自体も日本人は殆ど知ることすら無い。
実例の話がまた、身につまされる。
1. オーバーステイのまま既に十数年を経過した女性の子供は、国によっては国籍が存在しない事になる。女性がある日強制送還となった時、この子は送還先が存在しない。その子の将来は、そもそも存在するのか。
2. 日本人と結婚した外国人女性は、たとえ夫の不倫であれ離婚したら、滞在ビザは無くなる。何十年と結婚生活があり、もはや帰る先が無かったとしても、そして彼女はただ真面目に頑張って日本に適応していたとしても、ただ夫がクズだというだけで、日本にはいられない。
3. 日本で何年も地道に安定した経営をしていたとしても、その経営者もビザは1年しか有効でない事が多い。毎年更新の手間もだが、何より融資などで非常に不利になる。
特に、真面目に仕事をしにやって来る途上国の人々にとって、大変に劣悪な環境なのがよく分かる。
研修制度→オーバーステイ化してしまう状況、
人身売買で日本に送り込まれる南米などの女性たち…
僕は、ついつい彼らの立場を慮ってしまうのである。
それはつまり、在日朝鮮人の人々の状況と全く同じでもある。
問題があれば一度は自国に帰るべき。
きちんとした準備をして来日するべき。
日本語ができないなら、勉強するべき。
たしかにその通りだ。僕もそう思っていた。しかし、彼らの故郷はそれでも日本より遥かに劣悪で、そんな思いまでして日本にいてもまだ"悪くない"と考えているのだろう。でなければ、彼らは他の先進国に移動していくだけだ。故郷に戻る旨味は、それほどまでに無い。
そうして、日本で劣悪な状況が再生産され、ダークサイドで生きる人々が増加していく。
それは誰のためになるのだろう。
彼らがやる気を持って日本に来たのなら、そのやる気を活かしていくのが日本にとっても良いのじゃないのか。少なくとも、既に日本にいる人々にはせめて税金分くらいは還元してあげて欲しい。
浜松あたりの愛知エリアにいる多数のブラジル人たち。
全国各地の中国人、パキスタン人、バングラデシュ人、スリランカ人の人々。彼らの存在が、なぜか日々の生活で触れることがない。
なぜか。
なぜ彼らは僕らから隠れるようにして生きているのか。
僕は、少なくとも彼らのような人々の側にいれる人間でいたい、と思う。