中国映画レビュー&解説「She Has No Name 酱园弄·悬案 She's Got No Name」

酱园弄·悬案 (豆瓣)

She Has No Name - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】

女性が前時代的な抑圧にあっていた終戦直前の上海を舞台に、実在のバラバラ殺人事件をベースにした前後編二部作。
前編の本作は当時の情勢を描き、カタルシスは後編用なのか控えめ。「無名(2023)」とほぼ同じ時代設定で、日本軍につくか離れるかで人生の明暗が決まるリアリティが重苦しく迫る。

 

 

酱园弄·悬案酱园弄·悬案


www.youtube.com SHE HAS NO NAME - Trailer (2025) 酱园弄·悬案

 

 

【スタッフ & キャスト】

2024年 中国 96分
監督: 陈可辛(陳可辛、ピーター・チャン)
出演: 章子怡(チャン・ツィイー)王传君(エリック・ワン / ワン・チュエンジュン) 易烊千玺(イー・ヤンチェンシー / ジャクソン・イー)梅婷(メイ・ティン)赵丽颖(チャオ・リーイン)雷佳音(レイ・ジャーイン / ライ・チァイン)

 

 

 

【あらすじ】

1940年代日本占領下の上海。詹周氏(ジャン・ジョウ)【章子怡(チャン・ツィイー)】という女が夫【王传君(エリック・ワン / ワン・チュエンジュン) 】を殺害しバラバラに切断した容疑で逮捕された。激動の時代の渦中で、事件は詹周氏(ジャン・ジョウ)の犯行と決めつける警察、好奇心と疑惑の目を向ける様々な階層の新聞記者や世論、背後に隠された思惑によって、真相はますます不透明になっていく。

 

 

 

【感想】

女性が前時代的な抑圧にあっていた終戦直前の上海を舞台に、実在のバラバラ殺人事件をベースにした前後編二部作。
前編の本作は当時の情勢を描き、カタルシスは後編用なのか控えめ。「無名(2023)」とほぼ同じ時代設定で、日本軍につくか離れるかで人生の明暗が決まるリアリティが重苦しく迫る。

本作は、一旦撮影が終わってから予定を変更して前後編二部作にしたという。その前編という事もあって、観賞後もきちんと感想を言えるような余韻は少ない。後編の公開予定もまだわからないようで、正直に言えば長尺の一作か、二部作だとしても本作だけでもしっかり満足感のある仕上がりにして欲しかった気もする。昨年のカンヌ映画祭に出品されたものは158分の一本に纏めたものだったが、中国公開版は一時間半も延びた代わりに二部作に分割させたものとなり、この2つがどう違うのかはかなり気になるところだ。

 

酱园弄·悬案

 

それはそれとしても、濃密な作品だった。「最愛の子(2014)」「中国女子バレー 奪冠(2020)」などのピーター・チャンの過去作や歴代作品の中でも、トップクラスに豪華なプロジェクトになっている事もあり、章子怡(チャン・ツィイー)をはじめ錚々たる名優が続々と登場し、往時の上海を再現した美術もとても格調高い、堂々たる作り。
時代設定が1945年3月という、日本が戦争に負ける直前のタイミングという事もあり、こっちも美しい美術で同じく上海を舞台にしていた程耳(チェン・アル)監督「無名(2023)」と地続きな印象を受ける。「無名」のような張り詰めたカットや戦時下らしい緊迫感は抑えめな代わり、アップとロングのテンポ感ある撮影と編集や絶妙なライティングのような細やかさと工夫が詰まったチーム全体の職人技が伝わってくる。

ストーリーは少しわかりづらいかもしれない。というか、どこに向かうのか迷う感覚になる。観る前まではバラバラ殺人という猟奇的事件について描かれるのだと思っていたが、それよりはその後の取り調べと裁判、事件にまつわる人々を描いて、当時の世相や社会の反応を描いていく。事件そのものの全体像はなかなか見えてこなくて不安定な気持ちが続く。
それは主人公・詹周氏(ジャン・ジョウ)だけでなく、事件にまつわる人々みんなにも言えることで、1945年の3月から8月という、事件発生から一審判決までの期間は、徐々に戦争が終わり、日本軍が敗北する事が明らかになってくる時期で、日本軍に協力していた警察や軍も徐々に自らが裏切り者・漢奸の立場になることを意識し始めていく。人々はみな、日本が負けたらどうする?と考えながら日々を生きている。

 

酱园弄·悬案

 

先の「無名」にしろ大抵の中国映画では当然共産党が最後に残るプロパガンダ的なストーリーなのだが、本作ではそうは描かれない。誰もが終戦後はどうなるかわからない、不安定な存在だ。問題のありそうな書類はすべて焼き捨てられ、昨日まで威張っていた者も明日には逃亡の身となる。
登場する男は全員が揃って利己的で、自分の都合だけで動くエゴイストだ。女性たちは力のない犠牲者たち。そんな中、作家の西林だけはクレバーに立ち向かい、女性を擁護し鼓舞していく。被告である主人公・詹周氏(ジャン・ジョウ)もまた不安定な立場だが、彼女もまた、作家・西林の応援に力を得て、自らの誇りを取り戻していく。

そういう明確な構図の中で、だけど主人公がどんなキャラクターなのかは、あまり示されない。抑圧され続けて生きてきた中から、突如猟奇的事件を起こして目覚めたように見えているのだが、この前編ではその変化は少しだけにとどまり、まだすべてを見せきっていないように見える。ただし、最後に彼女が髪を切り、あの皆が知る章子怡(チャン・ツィイー)らしいショートカット姿で護送車から登場してくるシーンで、それだけでもう彼女が覚醒しヒーローのオーラを発しているのがわかり、一気にテンションがアガる。多分ここら辺の流れは後編のお楽しみに取ってあるんじゃないだろうか。いや、きっとそうだ。

 

酱园弄·悬案

 

この前編は起承転結でいえばまだ起承のみという印象だし、盲目の占い師や吴玲という新聞の編集長、隣の部屋にいた鍵屋など、まだまだ繋がっていない登場人物がいるし、登場すらしていない大物俳優たちがまだ控えてもいる。ストーリー自体もまだこれから展開しそうな印象なので、大いに期待して待ちたい。まだ2時間もあるという後編なので、前編とは再び大きく印象が変わりそうな気がする。

 

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酱园弄·悬案

 

 

 

【トピック】

◯ 2015年から監督と章子怡(チャン・ツィイー)で企画が進められ、150分の編集版が「酱园弄 She's Got No Name」というタイトルで2024年5月24日にカンヌ映画祭でワールドプレミア。その後、前編が96分、後編は2時間半の前後編二部作となり、前編が「酱园弄·悬案」と改題された上で翌2025年6月21日から中国本土で全国公開された。
公開初週は興収ランキングで1位を獲得。翌週には「名探偵コナン 隻眼の残像(2025)」に1位を譲るが、さらに翌週には再び1位に返り咲いた。興行収入は3.75億元(83億円)。

 

 

◯ 日本では2025年10月27日からの東京国際映画祭ガラ・セレクション部門で「She Has No Name」と改題されて上映された。

2025.tiff-jp.net

 

 

 

◯ 監督の陈可辛(陳可辛、ピーター・チャン)は香港人。
名門ゴールデン・ハーベストで助監督などをした後、初監督作品「愛という名のもとに(1991)」を制作。「君さえいれば/金枝玉葉(1994)」監督の後、名作「ラブソング(甜蜜蜜、1996)」で香港金像奨で驚異の9部門を受賞した香港映画の巨匠。
近年は「ウィンター・ソング(2005)」以降、多国籍の体制や中国で制作する事が多い。「ウォーロード/男たちの誓い(2008)」「捜査官X(2011)」、児童誘拐についての「最愛の子(2014)」や中国女子代表を描いた「中国女子バレー 奪冠(2020)」などを監督している。

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◯ 副監督として、「阪南の夏(2020)」と范冰冰(ファン・ビンビン)の活動再開後の初出演作「緑の夜(2023)」の2作の長編を監督した韩帅(ハン・シュイ / シュアイ)が就いている。

 

 

◯ 本作は下記に詳述した実在の事件「醬園弄殺夫事件」を元にしているが、直接的には蒋峰(ジアン・フォン)によって2015年に発表された小説「翻案」を原作としている。
蒋峰(ジアン・フォン)はドラマ「オリジナル・シン -原生之罪-(2018)」の原作・脚本や映画「一点就到家 (2020) 」、ドラマ「異人之下 アウトサイダーズ(2023)」の脚本も手掛けている。

小説はここで読むことができる。

第1章 (翻案) - 文库看看

また、台湾映画「夫殺し(1984)」も、原作となった台湾の女性作家・李昂の同名小説が同じ「醬園弄殺夫事件」をモチーフにしている。1998年にドラマ化もされている。

夫殺し

夫殺し

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◯ 最初に劇場で上演されていた、西林が脚本を書いた舞台はヘンリック・イプセンの「人形の家」。本作の舞台での題名は主人公の名「娜拉(ノラ)」となっている。1879年にデンマークで初演されたリアリズム演劇の代表作であり、フェミニズム勃興期を象徴する作品でもある。

 

 

◯ 詹周氏(ジャン・ジョウ)夫妻が出会った1935年頃のシーンで、レコードでかけていた曲は1940年代の七大歌后のひとり・吴莺音(ウー・インイン)が歌う時代曲「紅燈綠酒夜」。調べると吴莺音(ウー・インイン)のデビューは1946年、この曲の初リリースは1950年頃となっていて、設定とは少々ずれているようだ。


www.youtube.com 紅燈綠酒夜

note.com

 

◯ 詹周氏(ジャン・ジョウ)の死刑判決が出た後、刑務所で皆が歌うのは越劇「梁山伯と祝英台(梁祝)」での一曲「十八相送」だ。送別の歌として知られるが、「梁祝」自体、本作の設定である1945年に現在の形が完成しており、当時はまだ現役の舞台であった。
越劇は、女役まで男だけが演じる京劇に対応するように基本的に女優だけで演じられる事が多く、女性ファンが多かった。中でも「梁祝」は人気の演目であり、より一層女性だけで演じられる事が多かった。
これは「十八相送」で最もよく知られている越劇女優・袁雪芬(えん せつふん、ユエン・シュエフン)によるもの。3分17秒頃から劇中の歌詞が登場する。


www.youtube.com 十八相送 - 梁祝 (袁雪芬 範瑞娟)

 

 

章子怡(チャン・ツィイー)

◯ 詹周氏(ジャン・ジョウ)。夫からの肉体的、経済的な暴力から殺人に至るが、裁判では供述を翻し犯行を否認する。文盲。

◯ 役名の詹周氏は、実際の事件と同じ名前なのだが、この氏名自体が当時の女性の地位を示している。
彼女も、結婚前までは周春兰という名であったが、当時の習慣で結婚後の労働階級の女性は「夫の姓+自分の旧姓+"氏"」という名に変わり、個人ではなく両家の所属である事だけが示される呼び名となっていた。

◯ 言わずとしれた大女優。张艺谋(チャン・イーモウ)監督「初恋のきた道(1999)」で知られて以来、同監督「LOVERS(2004)」、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の「2046(2004)」「グランド・マスター(2013)」、陈凯歌(チェン・カイコー)「花の生涯〜梅蘭芳〜(2008)」、李安(アン・リー)「グリーン・デスティニー(2000)」など錚々たる名監督作品のほか、「SAYURI(2005)」「无问西东(無問西東、2018)」、ドラマ「上陽賦〜運命の王妃〜(2021)」など数多くの作品で高い評価を得ている。

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王传君(エリック・ワン / ワン・チュエンジュン) 

◯ 大块头=大男という意味のあだ名で、本名は詹云影。派手で浪費家だったが開戦後は困窮し、ギャンブルに溺れるようになる。

◯ 2007年にオーディション番組「加油!好男儿」井柏然(ジン・ボーラン)らと共に出演して知られるようになった。コメディドラマ「爱情公寓(2009)」で日本人漫画家を演じて人気になる。大ヒット映画「薬の神じゃない! 我不是药神(2018)」での主役チームの一員を演じ、監督の次作「素晴らしき眺め(2022)」にも出演。

2023年には程耳(チェン・アル)監督の浅野忠信出演作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海(2016)」からの続投で梁朝偉(トニー・レオン)・王一博(ワン・イーボー)W主演の「無名(2023)」、娄烨(ロウ・イエ)監督作「サタデー・フィクション(2019)」、オンラインカジノ詐欺を描いた大ヒット作「ノー・モア・ベット: 孤注(2023)」、大ヒットSFドラマ中国版「三体(2023)」、陈凯歌(チェン・カイコー)監督「志願軍 ~雄兵出撃~(2023)」と大作出演が目白押しの出世の年となった。
昨年には女子校を舞台にした犯罪スリラーのヒット作「黙する者が生きし場所(2024)」で主演、今年は南京大虐殺を描いた「南京照相馆(南京写真館、2025)」で印象的な演技を披露している。

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雷佳音(レイ・ジャーイン)

◯ 上海市公安局副局長で捜査を担当した薛至武。乱暴な捜査を進めるが敗戦によって状況が変わる。

◯ 色んな作品にひっぱりだこの売れっ子の雷佳音(レイ・ジャーイン)。映画では、個人的にも大好きなラブコメ「ルームシェア(2018)」&张小斐(チャン・シャオフェイ)とW主演のコメディ「交换人生(2023)」、そして「ゴッドスレイヤー 神殺しの剣(2021)」で主演。ドラマでは「長安二十四時(2019)」「和平饭店(2018)」「我的前半生(2017)」などが知られているが、チョイ役なども含めると膨大な作品数に出演している。
张艺谋(チャン・イーモウ)監督の前々作「満江紅/マンジャンホン(2023)」に出演、前作「坚如磐石(2023)」から「第二十条(2024)」では主役、贾玲(ジア・リン)監督・主演の大ヒット作「YOLO 百元の恋(2024)」でも主演という、まさに俳優キャリアのピークともいえる状況になっている。今年は映画も大ヒットしたドラマ「長安のライチ(2025)」に主演している。

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赵丽颖(チャオ・リーイン)

◯ ジャーナリストで劇作家の西林。事件についての舞台の脚本を書き、ルポを発表して詹周氏(ジャン・ジョウ)を援護し続けた。離婚している。

◯ この西林の役は、当時実在した小説家・蘇青(スー・チン)をモデルにしている。劇作家でもあり、1944年に発表した小説「結婚十年」が大ヒット。
「ラスト、コーション 色・戒」などで知られる張愛玲(アイリーン・チャン)と並ぶ海派作家として知られており、西林と同様に自立し、はっきりした物言いで女性の現実を描いた。

蘇青『結婚十年』における私語り:赤羽 陽子(pdf)

◯ 赵丽颖(チャオ・リーイン)は2006年に中国Yahooが主催したオーディションで選ばれ芸能界入り。ドラマ「新还珠格格 (2011) 」での役が人気となり、「後宮の涙(2012)」の主演で更に人気となった。「お昼12時のシンデレラ(2014)」に主演の後、「花千骨(2015)」「楚喬伝(2017)」、そして「明蘭(2017)」と大ヒット古装ドラマに立て続けに主演し、その人気を不動のものとした。
最近のドラマでは「有翡(2020)」「ワイルド・ブルーム(2022)」「輝け!シンフー(2022)」「与凤行 (2024) 」などに出演。

映画では良作青春映画「乗風破浪〜あの頃のあなたを今想う(2017)」、昨年の中国金鶏奨・作品賞を受賞した张艺谋(チャン・イーモウ)監督最新作「第二十条(2024)」、そしてサスペンス「浴火之路(2024)」主演の後、ミャンマー華人を描いたスリラー「チャオ・イェンの思い(2024)」、冯小刚(馮小剛、フォン・シャオガン)監督「向阳·花(2025)」という過酷な環境にある役柄の作品に集中的に出演している。

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杨幂(ヤン・ミー)

◯ 監獄で同部屋となった王许梅。踊り子であったが難民を匿った罪で投獄される。看守と通じる事で出獄を狙っていた。

杨幂(ヤン・ミー)は1986年生まれで幼少から子役として活動していたが、俳優としてはドラマ「神雕侠侣 (2006) 」で知られるようになる。古装劇「仙剑奇侠传三 (2009) 」で人気に火がつき、以来「宮 パレス(2010)」「古剣奇譚(2013)」「永遠の桃花(2017)」「扶揺(2018)」「斛珠<コクジュ>夫人(2021)」などの数々の名作ドラマに主演してきた。

映画では都会の若者たちを描いた大ヒットシリーズ「小时代 (2013) 」のほか、「見えない目撃者(2015)」「修羅:黒衣の反逆(2017)」「ゴッドスレイヤー 神殺しの剣(2021)」などがある。「長安のライチ(2025)」

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李现(リー・シエン)

◯ 製糸工場への仕事を紹介した张保福。

李现(リー・シエン)は1991年生まれ。映画「風水(2012)」でデビューし、ドラマ「ダイイング・アンサー(2016)」「河神(2017)」などに出演したが、「Go!Go!シンデレラは片想い(2018)」で人気が高まる。「剣王朝(2018)」「風の吹く場所へ(2023)」「春色の恋人(2023)」「国色芳華(2025)」などの人気ドラマに主演している。映画では航空パニック「フライト・キャプテン(2019)」「レジェンド・オブ・フォックス 妖狐伝説(2020)」などのほか、本作陳可辛(ピーター・チャン)監督による女子バレー中国代表を描いた「中国女子バレー 奪冠(2020)」にも出演している。

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易烊千玺(イー・ヤンチェンシー / ジャクソン・イー)

◯ 盲目の占い師・宋瞎子。

◯ もはや「TFBOYSのメンバー」や名作「少年の君(2019)」主演という説明も不要の、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの大人気俳優に成長した。大作への出演が目白押しで、最近では朝鮮戦争を描いた「1950 鋼の第7中隊(2021)」&「1950 水門橋決戦(2022)」の「长津湖」シリーズやNetflixで放映されたベンチャー成功物語「素晴らしき眺め(2022)」など。今年は张艺谋(チャン・イーモウ)監督の時代劇「満江紅/マンジャンホン(2023)」が日本公開となり、素晴らしい演技を見せた「小さな私(2024)」も配信開始、毕赣(ビー・ガン)監督新作の主演作「レザレクション(2025)」が中国本土で公開されている。

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尹昉(イン・ファン)

◯ 新聞の副編集長・张言。編集長の座を奪う目的で詹周氏(ジャン・ジョウ)の事件を利用し、彼女を支援する世論を喚起する。

尹昉(イン・ファン)は、深圳の若者のダークサイドを描いた李睿珺(リー・ルイジュン)監督の良作「路过未来(2018)」での演技が印象的だったが、その翌年には名作「少年の君(2019)」にて主人公2人に同情的な刑事の役で出演している。
その他、「オペレーション:レッドシー 红海行动(2018)」「ペガサス/飛馳人生(2019)」「志願軍 ~雄兵出撃~(2023)」にも出演している。

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沈佳妮(シェン・チアニー)

◯ 新聞の編集長・吴玲。重慶関連の記事を掲載した事で投獄され、その立場を副編集長・张言に狙われる。

沈佳妮(シェン・チアニー)は1983年上海生まれ。新体操選手として全国団体3位に入るなど活躍した後、中央戯劇学院に入学し演技を学ぶ。映画「1978年、冬。(2007)」「爱是一颗幸福的子弹 (2007) 」「爱在苍茫大地 (2010) 」「北平无战事 (2014) 」「昭王(2017)」などのドラマに出演している。
「崖上のスパイ(2021)」「餃子クイーーン!(2025)」などに出演の朱亚文(チュー・ヤーウェン)は夫である。

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彭昱畅(ポン・ユーチャン)

◯ 劇場の支配人・蔡经理。西林のパートナーで、彼女の脚本による詹周氏(ジャン・ジョウ)を描いた舞台を上演する。

彭昱畅(ポン・ユーチャン)は、日本では胡波(フー・ボー)監督「象は静かに座っている(2018)」での主演が知られている。
それ以外には、映画「ヤンチャな兄 どっか行け(2018)」「閃光少女(2017)」、バスケネタの「小小的愿望(2019)」「中国女子バレー 奪冠(2020)」「革命者(2021)」、ダンス映画「僕らが空を照らしたあの日(2021)」など。今年は難病ものの良作「⼈⽣って、素晴らしい/Viva La Vida(2024)」に主演した。
ドラマでは中国版「テニスの王子様(2019)」「都挺好(2019)」「一点就到家(2020)」「风犬少年的天空(2020)」などに出演している。「雲の上の売店(2024)」

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章宇(チャン・ユー)

◯ 大块头の司法解剖を担当した梁法医。

章宇(チャン・ユー)は長らくインディー映画に携わっていたが、「象は静かに座っている(2018)」での主演で知られる事となった。良作「无名之辈 (2018) 」のほか、大ヒット映画の名作「薬の神じゃない!(2018)」で主人公の5人組の一人の若者を演じ、最近では同監督の「素晴らしき眺め(2022)」にも出演。
张艺谋(チャン・イーモウ)と娘の张末(チャン・モー)共同監督の良作「狙击手(2022)」では朝鮮戦争での非常に印象的な狙撃部隊隊長を演じ、フェミニズム映画として大ヒットした「好東⻄ -Her Story- (はおどんしー、2024)」にも出演するなど、決して多くに出演しないが良作ばかりという俳優だ。

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周野芒(ジョウ・イエワン)

◯ 階下に住む住人で血の滴りから事件の第一発見者となった王一阳役に周野芒(ジョウ・イエワン)

◯ 1990年代から大作ドラマ「水滸伝 永遠なる梁山泊(1996)」や張国栄(レスリー・チャン)、鞏俐(コン・リー)主演の陳凱歌(チェン・カイコー)監督作品「花の影(1996)」などで活躍。東京フィルメックスで上映された「不止不休(2023)」にも出演している。
邵艺辉(シャオ・イーホイ)監督の上海を描いた第一作「白さんは取り込み中(2021)」で中国金鶏奨・助演男優賞を受賞。フェミニズム映画として大ヒットした監督の次作「好東⻄ -Her Story- (はおどんしー、2024)」にも出演。

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梅婷(メイ・ティン)

◯ 階下に住む住人で血の滴りから事件の第一発見者となった王一阳の妻・王陈氏。

◯ 中央戯劇学院在学中から張國榮(レスリー・チャン)と共演した映画「追憶の上海(1998)」で知られるようになり、中国金鶏奨ノミネート作「阿司匹林 (2006) 」や娄烨(ロウ・イエ)監督「ブラインド・マッサージ(2014)」、ドラマでは「不要和陌生人说话 (2001) 」「父母愛情(2014)」などに出演している。
実の娘・曾慕梅(ヅェン・ムーメイ)は昨年の大ヒットしたフェミニズム映画「好東⻄ -Her Story- (はおどんしー、2024)」で主演3人の1人である少女を演じている。

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刘润萱(リウ・ルンスァン)

◯ 舞台「人形の家」で娜拉を演じた刘润萱(リウ・ルンスァン)

◯ 1989年生まれ。霍建華(ウォレス・フォ)が主演したドラマ「愛と容疑者に堕ちて(2015)」などに出演している。陳可辛(ピーター・チャン)監督の次作で中国のプロテニス・プレイヤー、李娜の自伝的映画「独自·上场」に出演しているようだ。

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张羽霖(ジャン・ユーリン)

◯ 舞台「杀夫案」で詹周氏を演じた张羽霖(ジャン・ユーリン)。

◯ 上海戯劇学院卒業後、米コロンビア大学で研究生として学ぶ。2019年に舞台で知られる様になる。ドラマでは王家衛(ウォン・カーウァイ)が監督した「繁花 (2023) 」などに出演。

酱园弄·悬案

 

 

康春雷(カン・チュンレイ)

◯ 看守だが王许梅と通じて便宜を図っていた康忠良。演じたのは康春雷(カン・チュンレイ)

◯ 脚本家として知られており「永安鎮の物語集(2021)」で中国金鶏奨・脚本賞受賞。カンヌ映画祭・ある視点部門出品の「川辺の過ち(2023)」で脚本を担当した。

 

 

 

実在の事件「醬園弄殺夫事件」

◯ 本作は実在の事件「醬園弄殺夫事件」を元にした創作作品。この事件は1945年に発生し、民国時代の四大奇案=四大猟奇事件の一つとされている。

生来孤児であった詹周氏は、結婚後上海・酱园弄に居住。夫からの苛烈なDV、結婚直後からの浮気に耐えていたが、1945年3月20日に夫を殺害。遺体を16個に切断しスーツケースに隠匿したが、漏れ出た血液が階下の住人に発覚し逮捕された。
事件について、マスコミは大々的に報道。デマも交えて詹周氏を凶悪でふしだらだと喧伝、事件の背景を省みること無く死に値する凶悪犯などと伝え、世論も沸騰した。裁判では一審で死刑となったが、3年後の1948年に懲役15年へと減刑される事となった。
出所後は農場に務め、結婚し、1981年に退職。

本作だけでなく、台湾映画「夫殺し(1984)」も、原作となった台湾の女性作家・李昂の同名小説がこの事件をモチーフにしている。

 

ちなみに「民国時代四大奇案」とは、

1. 「醬園弄殺夫事件」

2. 1923年に発生し、盗賊が外国人が乗車する列車を襲った「臨城事件临城劫车案)」

3. 1935年に発生した、父を殺された復讐に政府高官を殺害した女性の「施剣翹復仇案」

4. 1928年に発生した、軍閥によって清の歴代皇帝たちの陵墓・清東陵を盗掘、宝物を盗み出し遺体を損壊した「東陵事件」

の4つである。

 

また、「清末四大奇案」という以下の4事件も知られている。

a. 1870年代の、浮気による殺人という疑惑をかけられた「楊乃武と小白菜事件」

b. 1870年に発生した総督・馬新貽が衆人環視の中で暗殺された「刺馬案」

c. 京劇の名優・楊月楼が1873年に熱烈なファンである上流階級の娘と結婚しようとした事で捕まった「楊月楼事件」

d. 旅の書生が殺人事件に巻き込まれ、冤罪を訴えた「太原奇案」

 

 

 

 

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