中国映画レビュー&解説「エリア749 749局 Bureau 749」

749局 (豆瓣)

エリア749 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】

中国SF映画の集大成的なビッグバジェット超大作。製作に8年を費やしただけあって映像の大迫力に圧倒される。ケレン味過多でつじつまの合わない脚本は確かに世間の不評通りだが、それを理解してから見るとそれほど悪くない。

 

 

 

749局エリア749


www.youtube.com 749 Ju (749 Bureau) - 2024 | Final Trailer

 

 

 

【スタッフ & キャスト】

2024年 中国 123分
監督: 陆川(陸川、ルー・チュアン)
出演: 王俊凯 (ワン・ジュンカイ)苗苗(ミャオ・ミャオ)郑恺(カイ・チェン)任敏(レン・ミン)辛柏青(シン・バイチン)张钧甯(張鈞甯、チャン・チュンニン)

 

 

 

【あらすじ】

中国当局は以前より不可解な事象や未知の生命を研究する組織・749局を秘密裏に設置・運用していた。2030年、突如地球外生命体"零号生物"が現れ、都市を破壊し始める。かつて幼少の頃から749局によって訓練されていた、特殊な遺伝子を持つ少年・马山【王俊凯 (ワン・ジュンカイ)】は、在野の科学者・马爵と孙二娘と共に生活していたが、749局局長・乔东北は彼を呼び戻し零号生物と対決させようと画策するのであった。

 

 

 

【感想】

中国SF映画の集大成的なビッグバジェット超大作。製作に8年を費やしただけあって映像の大迫力に圧倒される。ケレン味過多でつじつまの合わない脚本は確かに世間の不評通りだが、それを理解してから見るとそれほど悪くない。

この映画は昨年の国慶節に公開されたのだが、前評判は高かったものの、公開直後から一転して低評価の嵐となり、2週間でランキング外に転落したいわく付きの作品だ。レビューサイト豆瓣では通常どんなに低評価でも4点台程度なのだが、本作は驚異の3.2点と、まさに炎上となってしまった。

 

749局

 

しかし設定自体はすごく興味をそそるし、期待が高まるのも納得だ。舞台は1960年代から実在したという、中国政府による研究機関、749局。原因不明の現象や超常現象、地球外生命体などを研究しており、監督の陆川(陸川、ルー・チュアン)も実際に大学卒業後に2年程在籍していたという。史実ではその後機関は中国工業情報化部に統合されたが、映画はその749局が2030年にも未だ存在し、突如現れた正体不明の生物"零号生物"が都市を破壊するのを食い止めようとする物語だ。

オープニングから749局の概要を簡潔に説明すると鉱山の中に聳える巨大な要塞が写し出される。そこに文革期様式のレタリングで形作られた749の真っ赤な文字。期待通りのビジュアルに冒頭から盛り上がる。
そこからの巨大基地内部、「DUNE/デューン 砂の惑星(2020)」のサンドワームを思わせる都市を襲う怪獣のデザインも良かったし、CGもさすがの中国映画に相応しいスーパーハイクオリティなので、見ているだけで楽しい。
だが主人公・马山と周囲の人々との関係や、749局で共に育った特殊能力を持つ仲間たちの描写が物足りなくて、類型的な印象だけで終わってしまっているのがもったいない。そして物語が展開するにつれて主人公のストーリーになっていき、あれだけ見る前から期待が高まっていた749局が、危機が迫れば迫るほど存在感が薄れていって、あの巨大基地が果たした役割が何だったのか、良くわからなくなってしまう。ガジェットやマシンのデザインも何かをオマージュした様なユルさで、世界観に入りづらいのだ。

 

749局

 

こうなってしまった原因のひとつはたぶん、コロナ禍の影響だろう。当初の撮影は7年も前の2018年に終えていて、本来はもっと早くに公開される予定だった。だがコロナ禍によって延期を余儀なくされ、それによる資金難からアメリカの撮影クルーが撤退するなど、大きな修正を余儀なくされた。2024年に追加撮影も行ってなんとか公開にこぎつけたが、さすがにこの大きすぎる遅れは取り戻せず、時代とずれてしまったような形だろうか。特にあの構想からデザインまで練りに練られた名作「流転の地球 -太陽系脱出計画-(2023)」が出た後では、余計に分が悪い。
当たり前だが主人公を演じた王俊凯 (ワン・ジュンカイ)をはじめ、みんな若く、苗苗(ミャオ・ミャオ)、郑恺(カイ・チェン)、任敏(レン・ミン)あたりのキャスティングもあの頃を思い返せば納得できるが、しかし今とは少し違った人選なのも時の流れを感じさせる。
本当は監督には連作の構想があったのではと感じるし、もしそのつもりでじっくりと描けていれば、もう少し良いものになった気もする。

 

749局

 

ただし、個人的には十分楽しんで見れたし、見終わった後の満足度も悪くなかった。事前にそうしたネガティブな話を知ってハードルも下げていたのもある。そもそも中華映画の過去のSF作品でも、例えば1作目の「流転の地球(2019)」や鹿晗(ルハン)主演の「上海要塞(2019)」、古天樂(ルイス・クー)の「未来戦記(2022)」など、この映画みたいな驚くような展開は珍しくなかったし、陆川(陸川、ルー・チュアン)監督の過去作のSFアクション「ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説(2015)」も似たような作品でかなり評価は低くて、本作の突出した低評価はいくらなんでも低すぎる気がする。
こうしたチャレンジが後の名作へと繋がるための、"2018年"時点での到達点として見れば見る価値のある映画だと感じた。

 

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【トピック】

◯ 国慶節休暇に合わせて2024年10月1日から中国で全国公開。公開初週は興収ランキングで2位に入ったが、翌週には口コミの評価によって6位に急減速。「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024)」なども公開された3週目にはランク圏外へと転落する結果となった。興行収入は3.75億元(77億円)にとどまった。

 

◯ 日本では劇場公開はせず、DVDが「エリア749」というタイトルで2025年11月7日から発売予定。同日より配信も開始している。

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◯ 監督の陆川(陸川、ルー・チュアン)は、1971年に小説家の父のもとに新疆で生まれ北京で育つ。大学で映画を学びたかったが両親の反対にあい人民解放軍の大学で英語を学ぶ。卒業後、軍に入り2年間本作構想の元となる749局で勤務した。1995年に北京電影学院監督コースの研究生として入学を許可された。
姜文(チアン・ウェン)がプロデュース・主演した長編デビュー作「ミッシング・ガン(2001)」が高い評価を受けヴェネツィア映画祭にも出品される。次作「ココシリ(2004)」では台湾金馬奨&中国金鶏奨で作品賞を受賞するなど、更に高い評価を受けた。
監督3作目として南京大虐殺を描いた「南京!南京!(2009)」を公開。その後時代劇「項羽と劉邦 鴻門の会(2012)」、SFアクション「ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説(2015)」を監督した他、最近はディズニーによるパンダ等のドキュメンタリー「ディズニーネイチャー/ボーン・イン・チャイナ(2016)」や2022冬季オリンピックの記録映画「北京冬季五輪2022(2023)」の監督も務めている。

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◯ 撮影は2018年に9ヶ月間をかけて重慶にある816地下核工廠遺跡などで行われたが、2024年3月にも追加撮影を行っている。

 

 

 

王俊凯 (ワン・ジュンカイ)

◯ 特殊な遺伝子を持つ少年・马山。かつて749局で訓練されていた経験を持つ。

◯ 中国アイドルの草分けであり、易烊千璽(イー・ヤンチェンシー/ ジャクソン・イー)もメンバーの伝説的グループTFBOYSのリーダー。1999年生まれで未だ25歳という若さだが、2010年デビューなので既に芸歴15年を超える。
ソロとして、俳優としての出演は映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-(2017)」が初となり、ディザスター映画「断·桥 (2022) 」、ドラマ「重生之门 (2022) 」、海外でのテロを描いた映画「万里归途(2022)」などがある。
なお2024年は本作以外にも、子供のホームレスを描いた「野孩子(2024)」、そして吃音を持つ役で主演した小説原作の映画化作品「刺猬(2024)」と、3作もの主演作が立て続けに公開された。そして2025年には春節公開の林超賢(ダンテ・ラム)監督作「蛟龙行动 (2025) 」に出演した。

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苗苗(ミャオ・ミャオ)

◯ 今も749局で勤務する夏婳。同じく幼少より訓練を受けてきた子どもたちの1人。

冯小刚(フォン・シャオガン)監督「芳華-Youth-(2017)」での主演で知られるようになった。
映画では「不止不休(2020)」、ドラマ「爱上你治愈我(2019)」「青春抛物线(2019)」「我是余欢水(2020)」などにも出演している。
本作で749局長役の郑恺(カイ・チェン)と結婚し出産。2022年に二人目の子供を出産し、最近はバラエティ番組などに出演する程度となっている。

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郑恺(カイ・チェン)

◯ 749局の局長である乔东北。零号生物の襲撃に対応を迫られる。

◯ 多数の映画に出ている売れっ子だが、キャリアとしては良作の青春映画「So Young〜過ぎ去りし青春に捧ぐ〜(2013)」への出演あたりから多くの人に知られるようになる。そして邓超(ダン・チャオ)や王宝强(ワン・バオチャン)のスター達が出演した人気バラエティ番組「奔跑吧兄弟(2014)」での活躍で一気に知名度を得た。
この年の「前任攻略 (2014) 」から「恋の神様許してよ(2019)」「前任4:英年早婚 (2023) 」に続くラブコメ映画「前任」シリーズも、都合5作が作られた人気シリーズとなった。
その他、張芸謀(チャン・イーモウ)監督作「SHADOW/影武者(2018)」、戦争大作「エイト・ハンドレッド(2020)」、 沈腾(シェン・トン)主演のレース映画「飞驰人生2(2024)」、そしてウォン・カーウァイが監督し非常に高く評価されているドラマ「繁花 (2023) 」などに出演している。

本作に夏婳役で出演の苗苗(ミャオ・ミャオ)は妻である。

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任敏(レン・ミン)

◯ 749局で訓練を受けてきた丧妹。

◯ デビュー作の「悲しみは逆流して河になる 悲伤逆流成河(2018)」が、いじめをテーマにした内容だったこともあり話題を呼んだ。
その後 ドラマでは「孤城閉(2020)」「玉骨遥(2021)」「大理寺日誌(2024)」といった古装劇、「三大队 (2023) 」など、映画では「十年一品温如言(2022)」「我是真的讨厌异地恋(2022)」といった恋愛映画に主演など、コンスタントに活躍している。

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辛柏青(シン・バイチン)

◯ 地下に隠れて研究を続ける科学者であり马山を育ててきた马爵 / 曹国舅。

◯ 一級演員で、特に初期は演劇で活躍しており、その後映画「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎(2017)」で金鶏奨助演男優賞にノミネート。
最近ではウォーターボーイズの中国版「五个扑水的少年(2021)」でコーチ役を演じ、さらに张律(チャン・リュル)監督「柳川(2022)」で金鶏奨助演男優賞を受賞し、次作「白塔の光(2023)」では主演。陈凯歌(チェン・カイコー)監督の朝鮮軍を描いた3部作「志願軍 ~雄兵出撃~(2023)」「志愿军:存亡之战(2024)」のほか、今年は「大风杀(2025)」にも出演した。
ドラマでは「A LIFELONG JOURNEY -人世間-(2023)」が知られている。

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张钧甯(張鈞甯、チャン・チュンニン)

◯ 曹国舅と共に马山を育ててきた孙二娘。

◯ 台湾人俳優で、ドラマでは「武則天(2014)」「三国志(2017)」「海上牧雲記(2017)」「如懿伝(2018)」などで人気になる。他には台湾版「ハチミツとクローバー(2008)」、ドラマ版の「唐人街探偵(2020)」などにも出演。
映画では、香川照之主演の「闘茶 tea fight(2008)」、倍賞千恵子主演の日中合作映画「東京に来たばかり(2012)」「ハーバー・クライシス(2014)」「闺蜜2(2018)」「学爸(2023)」などに出演。昨年には大ヒットサスペンス「黙する者が生きし場所(2024)」に主演した。

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その他の俳優

◯ 749局の研究者・晨光を演じた李晨(リー・チェン)

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◯ 同じく研究員の张工を演じた杨皓宇(ヤン・ハオユー)

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◯ 特殊能力者達へ訓練を施す訓練部部長・疤哥役は余皑磊(ユー・アイレイ)

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