中国映画レビュー「烈火英雄 The Bravest 烈火英雄 ~戦士達に贈る物語~」

烈火英雄 The Bravest 烈火英雄 ~戦士達に贈る物語~

 

 

 

烈火英雄

www.youtube.com 《烈火英雄》“有我必胜”终极预告(黄晓明/杜江/谭卓/杨紫/欧豪 )【预告片先知 | 20190719】

 

 

【スタッフ & キャスト】

2019年 中国
監督: 陈国辉(陳国輝、トニー・チャン)
出演: 黄晓明(ホアン・シャオミン)杜江(ドゥー・ジャン)谭卓(タン・ジュオ)杨紫(ヤン・ズー)欧豪(オウ・ハオ)

 

 

【ストーリー】

ある海岸都市で発生したパイプライン爆発事故は、隣接する原油保管施設へと拡大した。10万立法メートルのタンクが次々に爆発し、オイルが漏出する。付近の原油や化学薬品のタンクへの爆発拡大を恐れて、数百万の市民は一斉に逃げだし始める。
消防隊は未曾有の大災害を防ぐために現場へと向かう…

 

【感想】

火災の映像は本当にすごい。圧倒的だ。これだけのクオリティで再現映画を作ったら本当に映画史に残る作品ができあがると思う。ただ、本作は演出が多めでリアリティラインが少し低いと感じた。これは意図的で、むしろドラマ性が必要だからこそ、逆に全体の映像にはできる限りリアリティを優先した大規模セットやキャストの事前訓練などを準備したのだと感じられる。
たとえば、原油ってあんな簡単に爆発する?とか思ってしまう。配管からの漏出から即、連鎖的な大爆発が発生する。マジかよ。しかし炎上ではなく爆発が立て続けに起こり、それも圧倒的な迫力の画面で、僕などはついあの2015年に起こった天津の爆発事故を連想させた。これも、おそらく意図的ではないかと思う。
一方、火災が続く中盤以降、火の動きが更に演出を増していき、徐々に生き物のように動くようになってくる。延焼する過程も火がちょっと「え?」と思うような進み方をし、徐々に「敵対的な炎とそれに対決する消防士たち」という構図が立ち上がってくる。最終的に消火できたら「我々は勝利した(胜利了!)」という形だ。そのままかなり"愛国的"演出が色濃い状態でエンディングの大団円と至る。特にここ最近は、いろんな映画で"愛国的”演出が強まっている感じだが、なかでも本作は相当濃いめである。
つまり去年までの、中国軍の活躍を描く戦争映画が立て続けにヒットを連発させた後、その構図を援用したのが本作かなという見立てもできる。もともと消防隊の描き方は最初から軍隊っぽいなーと思っていたら、こちらは本当に軍隊だった(正確には武装警察の一部)。ただ、いわゆる"愛国映画"ビッグ3のひとつと言われている同時期公開の「中国機長」は、逆にその構図を感じなかったのでむしろ本作のほうが"愛国映画"的であり、これが中国教育部の推薦を受けたのも、さもありなんという印象であった。
個人的に、人々のパニックに陥る様子が考えさせられる。携帯で人々に情報が伝播していき、先を争うように逃げだし始める。まるで難民。いかにも中国的だが、現在の日本ではさて、同じ様になるだろうか。
どちらにしても、映像だけでも必見だし、多くの若手役者たちの活躍を見れる点でも十二分に楽しめる。

 

【トピック】

・中国教育部による「小中学生に勧める映画」に本作や「流浪地球」などが選ばれた。
・監督は多くの消防士にインタビューを行った。黄晓明(ホアン・シャオミン)は1ヶ月以上の事前訓練を経てクランクインした。またエキストラに至るまで消防士役はすべて100日以上の集団訓練を行った。
・特殊効果を使用せず、オイル貯蔵庫は原寸大で実際の工法に従って建設したものを使用した。火災シーンでは、撮影クルーなども全員が防護服を着て撮影を行った。着用していない者は立入禁止とする厳格さで撮影を行った。貯蔵庫のエリアはのべ5万平方メートルになり、すべてセットを設営した。撮影に際しては20台の常駐消防車、30台の支援消防車が待機しており、大量の火薬・ガスを使用した。最初の爆発シーンである火鍋店は、すべて実際の什器や調理器具を使用している。特殊効果を使わず50ヶ所の爆破点を設置し、計2秒のシーンを12台のカメラで撮影した。
・化学薬品タンク前での断水シーン、メンバーのメッセージを録画した携帯を投げるシーンは大連での火災事故で実際にあったエピソードである。
・監督の陈国辉(陳国輝、トニー・チャン)は香港人で、過去作は「ホット・サマー・デイズ(全城熱恋、2010)」「ハッピーイヤーズ・イブ(全球熱恋、2011)」「怦然星动(2015)」などのラブコメが多かった。
・主演の黄晓明(ホアン・シャオミン)は実力のある俳優だが、現在はむしろプライベートで騒がしい。2015年に絶世の美女と名高く、「中国機長」にも出演しているアンジェラ・ベイビーと結婚しているが、昨年ウイグル族の女優古力娜扎(グリ・ナザ)との浮気疑惑から、離婚危機に発展している。最近の出演作は「无问西东(無問西東、2018)」など。
・杜江(ドゥー・ジャン)については「中国機長 高度一万メートルの奇跡(中国机长、2019)」の項を参照のこと。
・主役の妻役である谭卓(タン・ジョオ)は「私は薬の神ではない(我不是药神、2018)」出演で知られている人気女優。
・指揮所配属で、劇中に結婚式を挙げる隊員役の杨紫(ヤン・ズー)は、90後世代4人娘(90后四小花旦)の一人として知られる。
・杨紫(ヤン・ズー)と、結婚式新郎役の欧豪(オウ・ハオ)は特別出演となっている。詳細はおなじく「中国機長 高度一万メートルの奇跡(中国机长、2019)」の項を参照のこと。

 

www.teppayalfa.com