淪落の人/みじめな人 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画
【本記事は極力ネタバレせず記述していますが、心配な方は映画鑑賞後にご覧ください。】
【《淪落人》(Still Human)正式預告片(Official Trailer)】
【スタッフ & キャスト】
2018年 香港
監督:陳小娟(オリヴァー・チャン)
出演:黄秋生(アンソニー・ウォン)、Crisel Consunji(クリセル・コンサンジ)、李璨琛(サム・リー)、葉童(セシリア・イップ、イップ・トン)
【あらすじ】
工事現場での事故の影響で、全身麻痺状態になってしまった初老の男性・昌榮。孤独な一人暮らしを強いられる彼のもとに、フィリピンから住み込み介護の家政婦がやってくる。彼女イヴリンは、広東語を話せない。コミュニケーションがとれず、イライラをつのらせる昌榮であったが、ひたむきに介護を続けるイヴリンの姿は、ゆるやかに彼の心をときほぐし、気がつけば二人は親友のような関係になっていたのであった。
みじめな人|OAFF2019|Special Focus on Hong Kong 2019より
【感想】
香港らしい賑やかさの奥にある優しさが全編を覆い、多くの登場人物の優しさが染み入ってくる。何度目かに香港を訪れた際、日曜日の中環に大勢のフィリピン女性達が集まっていて驚いたことがある。映画のイヴリンもそんな家政婦のひとりだ。大変な境遇が映画内でも頻繁に明かされる。一方で香港人は、中国ほどコッテリした人間関係ではないとはいえ、人情はとても大切なもので、その空気感が映画内に濃厚に現れる。主演の黄秋生(アンソニー・ウォン)の境遇にも思いを馳せるとより一層染みる映画であった。
自分の2019年版中華系映画ベストテンでは6位に入れた。
【トピック】
○ ロングランヒットし、香港電影金像奨でも最優秀主演男優賞[黄秋生(アンソニー・ウォン)]、最優秀新人賞[Crisel Consunji(クリセル・コンサンジ)]、新人監督賞[陳小娟(オリヴァー・チャン)]の3部門を受賞している。2019年大阪アジアン映画祭で公開の後、2020年2月より日本公開。
○ 監督の陳小娟(オリヴァー・チャン)は今作が長編デビュー作。
黄秋生(アンソニー・ウォン)
○ 主演の車椅子の老人役、黄秋生(アンソニー・ウォン)は80年代から活躍する俳優。「インファナル・アフェアシリーズ」、 「頭文字D THE MOVIE」(主人公の父親役)などで知られているが、2014年の香港雨傘革命では運動を支持したために中国市場から干される事となった。
Crisel Consunji(クリセル・コンサンジ)
○ もうひとりの主演、フィリピン人お手伝い役のCrisel Consunji(クリセル・コンサンジ)も今作が映画デビューのフィリピン系香港人。元々子どもの教育に携わっており、舞台の経験があった程度だそうだ。
李璨琛(サム・リー)
○ 息子役の李璨琛(サム・リー)は、フルーツ・チャン監督によってスカウトされ、「メイド・イン・ホンコン(1997)」で主演デビュー。第17回香港電影金像奨最優秀新人賞を受賞した。90年代にはニコラス・ツェーらと並んで、若手香港スターの一人として活躍。 「ピンポン(2000)」では、孔文革(コン・ウェンガ)役で存在感のある演技を見せた。「無問題2(2001)」にも出演。今作の制作を手掛けるフルーツ・チャンの人脈によるキャスティングだろうか。
葉童(セシリア・イップ、イップ・トン)
○ 意地の悪い娘役の葉童(セシリア・イップ、イップ・トン)は多くの受賞経験もある女優である。「風の輝く朝に(1984)」などで知られる。