ここ数ヶ月で見たものをランキング的にご紹介。
- 帶我去月球 Take Me to The Moon わたしを月に連れてって
- 洩密者們 The Leakers
- 南极之恋 Till the End of the World(南極の恋)
- 卧底巨星 Keep Calm and Be a Superstar
- 大樂師 為愛配樂 Concerto of the Bully 大楽師
- 脱单告急 Dude's Manual
- クレイジー・リッチ! Crazy Rich Asians
- 分貝人生 Shuttle Life
- 我不是药神 Dying to Survive ニセ薬じゃない!私は薬の神ではない 薬の神じゃない!
- 快把我哥带走 Go Brother! 兄に付ける薬はない!
- 超时空同居 How Long Will I Love U ルームシェア~時を超えて君と~
帶我去月球 Take Me to The Moon わたしを月に連れてって
2017年台湾
監督: 謝駿毅(シェ・ジュンイー)
出演: 劉以豪(リウ・イーハオ)、宋芸樺(ビビアン・ソン)、嚴正嵐(ベラ・イェン)、石知田(シー・チーティエン)
これは途中までしか見なかったので、感想は控える。
出張だろうか、スーツ姿で東京・渋谷の夜を歩いている劉以豪(リウ・イーハオ)は、ふと「俺たちのマドンナ」だった宋芸樺(ビビアン・ソン)を見かける。避けるようにしていた彼女は、歌手として成功している筈がメイドカフェの呼び込みをやっていたのだった…そんなところから始まるタイムスリップもの。
洩密者們 The Leakers
2018年中国/香港
監督: 邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
出演: 張智霖(ジュリアン・チョン)、吳鎮宇(フランシス・ン)、佘詩曼(カーメイン・シェー)
マレーシア、クアラルンプールで発生した疫病を、香港から取材に来た張智霖(ジュリアン・チョン)は、そこで知り合いの記者に会う。ところがその直後彼が亡くなり、それをきっかけにこの疫病の全貌を知ることになって…
クアラルンプールの華僑社会が垣間見れる。下記「クレイジー・リッチ!」より更に濃い人脈と血縁主義のドロドロした社会だ。
南极之恋 Till the End of the World(南極の恋)
2018年中国
監督: 吴有音
出演: 趙又廷(マーク·チャオ)、杨子姗
南極を舞台にした冒険ロマンス。飛行機が墜落し、生き残った2人がサバイバルしながら次第に心を通わせる。
極地でありながら動物との触れ合いを描いたり、足が使えない設定の杨子姗のやる事なす事などなど、いろいろ無理のある設定が多いが、良く言えばちゃんと南極でロケをした事が大事!という雰囲気で、撮影は頑張ったと思う。エンディングでも南極ロケのメイキング映像が誇らしげに流れる。中国映画の海外進出もここに極まれり、という意味で、見てないが一度はあの「南極物語」と比較するのが面白そうだ。
杨子姗は相変わらず松浦亜弥っぽかった。彼女と趙又廷(マーク·チャオ)の、主演の二人は「致我们终将逝去的青春」でもカップルとして共演している。なかなか2回も、それも主役として共演は無い事だと思うんだけれど、どういう力学なんだろうか。
卧底巨星 Keep Calm and Be a Superstar
2018年中国
監督: 谷德昭(ヴィンセント・コク)
出演: 陳奕迅(イーソン・チャン)、李榮浩(リー・ロンハオ)、李一桐(リー・イートン)、陳國坤(チャン・クォックワン)
ある香港映画スターの内偵捜査をする為に、撮影現場に潜入した刑事が撮影に巻き込まれて…というストーリーは有って無いようなコメディ。
陳奕迅(イーソン・チャン)、李榮浩(リー・ロンハオ)のどちらも歌手として有名なようだが、陳奕迅がまるっきりジャッキー・チェンのパロディをやっていて、それを見ているだけで楽しい。
大樂師 為愛配樂 Concerto of the Bully 大楽師
2017年香港
監督: 馮志強(フォン・チーチアン)
出演: 鄭中基(ロナルド・チェン)、顏卓靈(チェリー・ナガン)、周秀娜(クリッシー・チャウ)
香港の中年チンピラが、有名ミュージシャンを恐喝する為にそのカノジョを誘拐するが、音楽好き同士で意気投合してしまい…
監禁場所が、海の上の一軒家というファンタジックな設定で、嵐にも遭遇するがピアノも弾けるという、なんでもありな舞台。なので、まあストーリーもご都合主義でコメディにまとめてある。
香港のワルの描き方が、如何にも香港人ぽく見える。なんだか80年代の日本にもいたようなキザな粗暴さというか。ロマンチックな格好つけ方なのだ。大阪にもいたようなどこか懐かしい雰囲気だ。
脱单告急 Dude's Manual
www.youtube.com DUDE'S MANUAL《脱单告急》:: IN CINEMAS 10 MAY 2018 (SG)
2018年中国
監督: 柯孟融(ケビン・コー)
出演: 董子健(ドン・ズージェン)、钟楚曦(チョン・チューシー、エレイン・チョン)、春夏(ジェシー・リー)
モテない大学生の董子健(ドン・ズージェン)は、ひょんな事からイケイケ女子大生の钟楚曦にモテる方法を教わる事になり、可愛いが男っ気の無い春夏(ジェシー・リー)と付き合う為に頑張るが、いつしか…
テンポが良いのとやりすぎない演出で、飽きずに見たいられた。3人の主役がそれぞれキャラが立っていて全員好感度が高いのも良い。
・董子健は、両親共に有名人で、本人の出演も山河ノスタルジア (成人した頃の主人公の子供役)、中国版「ナミヤ雑貨店の奇蹟」こと解忧杂货店や乘风破浪(乗風破浪〜あの頃のあなたを今想う)、更にアニメの捉妖记ではプロデューサーもやるなど実力派の俳優のようだ。
・钟楚曦(チョン・チューシー、エレイン・チョン)はこれが映画デビュー。公開は前後しているが、この後芳华 Youth 芳華(ほうか)-Youth-にも出演している。
・春夏(ジェシー・リー)は2015年郭富城(アーロン・クォック)主演の香港映画九龍猟奇殺人事件で中華圏で映画賞をいくつも受賞した実力派。
クレイジー・リッチ! Crazy Rich Asians
2018年米
監督: ジョン・M・チュウ
出演: コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ジェンマ・チャン
ハリウッド初のアジア系によるアジア系の映画という事で話題だったこの映画。家系、人脈が重要なシンガポールらしさ、中華系らしさが良く出ててわかりやすかった。ぱっと見れば日本より家柄重視に思えるが、しかし俯瞰で考えると日本の方がより強いローカルルールがあり、アメリカ系文化からの距離感はより遠い感覚になるだろうなと思えてくる。日本ではヒットしていないというのが、その証拠でもある…のかどうか。少なくともアメリカ人と同等くらいには理解しにくいんじゃないか。
麻雀で対決するというのがまた素敵な演出で粋に感じた。ハングオーバーなケン・チョンも堪能できたし、十分に満足できる映画であった!
分貝人生 Shuttle Life
2017年マレーシア
監督: 陳勝吉(Tan Seng Kiat)
出演: 張艾嘉(シルヴィア・チャン)、陳澤耀(Jack Tan)、陳彥雯(エンジェル・チャン)
シングルマザーの元で育ったハイティーンの長男と、年端もいかない妹の一家。その母は精神を患う中慎ましく生きていたが、交通事故で妹が亡くなり…
2017年の台湾金馬奨で新人監督賞と撮影賞にノミネート、上海国際映画祭ではアジア新人奨の作品賞、男優賞、撮影賞を受賞した。
とても重い話を粛々と描く。マレーシアの街ではこういった雰囲気の子供たちもまだまだ多く、その生活をきちんと描いていて親近感が湧いてくる。なにより妹役の陳彥雯(エンジェル・チャン)がとても活き活きとした可愛らしさで、あの子がパタリと出てこなくなった瞬間から観客の僕にまで喪失感が湧いてくる。どん詰まりの生活を見せつける良作。
我不是药神 Dying to Survive ニセ薬じゃない!私は薬の神ではない 薬の神じゃない!
www.youtube.com 徐峥、周一围主演《我不是药神》国际版预告片
www.youtube.com 映画『薬の神じゃない!』予告編
2018年中国
監督: 文牧野(ウェン・ムーイエ)
出演: 徐铮(徐崢、シュー・ジェン)、周一围、王传君(エリック・ワン)、谭卓(タン・ジョオ)、章宇、杨新鸣
この夏話題だったというヒット映画。しがない健康食品屋の元に、難病に苦しむ中高価な薬を飲む患者がやって来る。インドからある薬を密輸してほしい、と。政府と製薬会社の横暴さを嫌い、彼と患者たちのチームで安価で密輸した薬は評判になり大儲けもできたが、やがて警察に発覚し投獄されるが…
他の映画評でもあるように、現代中国の暗部も描かれ政府も動かした映画だが、何よりエンタテインメントとして成立させてる所が素晴らしい。上質のチーム犯罪物として、メンバーのキャラがしっかり描かれている。警察や製薬会社との攻防の描き方も巧みで、アウトローなりの筋の通った行動原理もあり、単純に楽しむ事もできる。
日本でも映画祭で公開の後、2020年10月から本格公開決定。日本版タイトルはころころ変わっているのでご注意。
快把我哥带走 Go Brother! 兄に付ける薬はない!
2018年中国
監督: 郑芬芬
出演: 张子枫、彭昱畅(ポン・ユーチャン)、赵今麦
よくある兄妹コメディだが、友達との入れ替わりっていうスパイスで一気に楽しめる話になっていた。原作にはこのエピソードはあるのかしらん。クズ兄貴の彭昱畅(ポン・ユーチャン)が良バランスで描かれていて、やっぱり兄弟は良いなと思わせてくれる芸達者ぶり。
彼は解救吾先生や滚蛋吧! 肿瘤君、閃光少女 Our Shining Daysにも出演、更に話題の大象席地而坐(象は静かに座っている)で金馬奨主演男優賞ノミネートも果たした。
元々は中国でのweb漫画で、日本ではアニメ化の上、少年ジャンプ+でも漫画が連載となった。現在もアニメ2期が放送中。中国では今年ドラマ化され、その後今回の映画化へと続いた。英題がドラマ版と映画版で違っており、俳優も違う。
www.youtube.com TVアニメ「兄に付ける薬はない!-快把我哥帯走-」PV
超时空同居 How Long Will I Love U ルームシェア~時を超えて君と~
2018年中国
監督: 苏伦
出演: 雷佳音(レイ・ジャーイン)、佟丽娅(トン・リーヤー)
上海で地道に働いていたアラサーOLの佟丽娅(トン・リーヤー)は、ある日目覚めると隣に見知らぬ男 雷佳音(レイ・ジャーイン)が寝ており、あろうことか部屋自体もその男の部屋と一体化していた…その男はなんと20年前の世界の住人で、その男の部屋から外に出ると20年前に世界に繋がっており…
これは面白い設定だった!基本的に軽口なライフストーリーなのだが、「わが人生をもう一度」的ストーリーもあり、雷佳音とのロマンスも重層化し、似たような話はあれど全く新鮮に楽しめた。
映画全体のルックがとても洗練されているのもまた素晴らしい。2000年頃の中国もノスタルジックで素敵だし、今の現代的モダンな街並みも、どちらも等価に上品な雰囲気で統一させて見せるのは中々上手いと思った。個人的にはかなり気に入った一作だった。
・佟丽娅(トン・リーヤー)は以前の戸田菜穂によく似た雰囲気で、実力もある俳優だ。「唐人街·探案 Detective Chinatown」シリーズ監督で俳優でもある陳思誠(チェン・スーチェン)の妻であり、佟丽娅自身も出演している。
・プロデューサーは「我不是药神」主演の徐铮(徐崢、シュー・ジェン)である。徐铮が監督・主演だったヒット映画「港囧 Lost in Hong Kong ロスト・イン香港」では、今回監督の苏伦は総合監督を務めており、今回は逆の立場になったような恰好かな。という訳で、この映画は「ロスト・イン」シリーズ人脈からの映画と言えるだろうか。