祖母が亡くなった。
95歳の生涯で、直前まで意識もはっきりとしていて、まさに大往生であった。
葬儀を済ませ、その数日後にこの本を読んだ。
驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)
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六車 由実
医学書院
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この本はつまり、お年寄りの話をどう聞くかという事で、僕らのような民俗学が好きなものには膝を打つような世界へと誘ってくれる。
そして、僕はお正月に祖母にも同じように話を聞こうとしていたのだった。
それは、映画「この世界の片隅に」を見たからであった。
この映画は呉と広島の物語だ。竹原に育った祖母の故郷の話である。主人公のすずさんは、現実なら今91歳。祖母とほぼおなじ時代を生きていた人の物語なのである。そんな自分が祖母を重ねずにこの映画を見ずにいられようか。
あの映画を見た後、さらに祖母にとっての「あの時代」を聞きたくなり、お正月に帰ったときにも色々と話をせがんだのであった。体調は良くはなかったと思うけれど、楽しそうに話してくれたんだ。
例えば、
京都の醤油問屋に奉公に出たこと。
胆石が治らずに、四国の胆石専門の療養所へ入院したこと。
以前にも聞いた毒ガスの話も聞いた。
あの頃にも生活があり、僕らと同じように祖母やすずさんも笑ったり歯を食いしばって頑張ったり、いろんな日々を過ごしていきながら今へと繋がっていたのだ。