哲学について一から教わる

この一ヶ月をかけて、ようやく読み終わった。

 

ソフィーの世界: ヨースタイン・ゴルデル

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ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙
ヨースタイン ゴルデル
NHK出版
売り上げランキング: 11,087

ざっくりと言えば、哲学の歴史を小説にしたお話。

この新書版で650ページもあり、正直長い。前半だけで3週間は費やしてしまった。でも、小説仕立てになっているところがどんでん返し的に展開し、とても面白くなってくる。それに、哲学史の説明そのものがまた、すこぶる面白く、後半はぐいぐい引き込まれて、この出張中に400ページ位は読み進むことができた。童話的なメタ構造になっていて、それこそがまさに哲学の説明そのものになっている気の利いた作りで、最高のエンタテイメント。

 

今まで興味があったけど遂に取り掛かることができなかった哲学。この本で一気に初級を学べたような気になった上、更に階段を用意してくれていて、もっと学ぶ手がかりも散りばめてくれている。最高の鍵を見つけた気分だ。

 

例えばこんな事を感じた…

1. 科学と哲学の境界線の揺れ動き(ex. 認識論)。

つまり測ったり測定方法そのものを決めたりして、何かをきちんと捉えようとするその行為それ自体が、そもそも哲学なのだという事(基礎中の基礎?)。やがて、測れるものは科学となり、そうでないものは未だ哲学と呼ばれている、そんな感じかしらん。

 

2. 自由とは

「人間とは自由に行動できる生物」という事について、延々と様々に考え尽くされている事。自由でもあり、自由でなくもある。結局は人間と他の生物の違いでもあるし、本能のままに生きる=動物と同じ=無能という、この点は誰にとっても変わらないようでもある。気をつけねば。

 

3. "神"との関わり方の大きさ、位置づけ

古代ギリシャから20世紀まで、常に偉人達も神=宗教と科学的知見との着地点を模索していたことがよくわかる。事ほど左様に彼らにとって神の存在は壮大なのか。しかし、ちょくちょくイエスと同一視したような一神論的捉え方からの展開が気になる。この本でも、インド哲学や仏教、中国系の思想は殆ど顔を出さない。西洋的史観な気がしてしまうので要注意。

 

4. あらためて

ここに挙げられた錚々たる偉人達の教えは、当たり前だけどちゃんと覚えきれない。でも、このでっかい宝の山は是非とも眠らせずに、系統図とかにして各人をまとめてみようと思う。

 

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本の中で、今のところ最も心に刺さったのはこの部分。

 

(カント)「道徳律を心にとめて行動している、と自覚している時だけ、ぼくたちは自由意志で行動しているのだ」(428p)

 

つまりは…「本能から離れて生きる事こそが人間らしい瞬間だ」という感じだろうか。理性的たれ、というか。

 

よく覚えておこう。