学校(小さな社会としての)と、そこから見える空。または中2という時間。

出張中にこの本を読んだ。

 

エイジ (新潮文庫) :重松 清

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エイジ (新潮文庫)
エイジ (新潮文庫)
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重松 清
新潮社
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中学2年の主人公が、通り魔事件を同級生が起こした事から自分の周囲についての色々を考え始める、そんな日常を描いた話。

個人的には、読みながら真っ先に例の酒鬼薔薇事件を思い出していた。正確には、あの事件の近所に住んでいたという大学の同級生の話を、である。2年前に発生した事件について、当時彼はまるで大きなイベントの様に話していたのを覚えている。彼もまた、エイジだったのだろう。

 

中2の僕は、正に"鉄道趣味"全開の1年であった。一眼レフカメラを手に入れ、毎日のように近所の線路なんかへ写真を撮りに行っていた。一方で中1から正に全力でやっていた水泳部は夏を境にぱたりと行かなくなった。学校では、水泳部の奴らに会うのが嫌で、かといって鉄道の話を友人に話すのは恥ずかしく、そうして大事なところを誰ともシェアせずに卒業まで過ごしたのだった。

 

他の奴らのことは知らない。でも、同じような想いは誰もが持っていたような気もする。

色々な感情が芽生えだし、それ自体に自身が動揺して誰にも相談できずに抱えていたりしたんじゃないだろうか。

当時の自分は、色んな話をお互いにシェアしている(ように見える)友人がとても羨ましく、でも自分の世界も守りたくて、劣等感を抱え持っていた。

だけど、今は少しはわかるよ。皆、たぶん同じだったのだろう。

 

数年前に見た「桐島、部活やめるってよ」

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今や邦画史上でも屈指の名作になっているけれど、僕には乗りきれなかった。当時一緒に見た相手も、あの学校生活ならではの居た堪れない程の雰囲気を絶賛していたが、逆に留学してしまった自分には高校時代にその雰囲気を感じることが少なかったからかもしれない。そんな風に思ったりした。

 

この小説は、"霧島"がわかる人ならば、更に共感できるんじゃないだろうか。僕ですら相当に共感できたんだから。