報われない死に向かう気持ち

インパール: 高木 俊朗

inpar

インパール (文春文庫)
インパール (文春文庫)
posted with amazlet at 18.09.12
高木 俊朗
文藝春秋 (2018-07-10)
売り上げランキング: 23,416

 

近所のスーパー前で手にとった一冊。

インパール作戦について初めてきちんと読んだ。悲惨極まりないと同時に日本軍も同じ人間だったんだ、との思い。酷い話を延々と読み続けた。

 

最初から最後まで牟田口司令官の悪辣さや傲慢さが溢れていて、こいつ死ねよと本当に思う(しかも、こいつのその後がまた怒りを増幅させる)が、もしかしたら一方的なのかもしれん。さらに調べると南方軍司令官の寺内などはもっと酷く、東條なども同様だ。

 

何よりも印象的だったのは、兵達の士気の低さが最初から目立っていた点だ。行軍できない、命令が行き渡らない、逃亡兵。師団長、連隊長までがこうであり、にも関わらず死にに行くしかない攻撃に向かう、やるせなさ。報われない。

特に最近はネットで日本軍の優秀さを喧伝する話が良く出てくるのだが、決してそんな事はない。というか、それがむしろ通常であり、そんなごった煮の人材を活用できるかどうかが問題なのだろう。

軍が強大化すれば指導部は腐敗し、それが下に波及する。どこの世界でもある話。

 

「追及」という言葉、当時は部隊に後追いするという意味だったんだな。さて、どちらがオリジナルなのだろう。思想用語?