731を読み終わった。
研究の過程を時系列風に描いているのでとてもわかりやすい、素晴らしい本だった。
石井四郎の戦後、といっても約10年に凝縮される生活が目に浮かぶように立ち上がる。決して極悪人ではなく、かといって悔い改めた生活ではなく、生き延びるために全力だった事が却って人生が誰にとってもなるようにならない事を感じさせる。何をすべきとかそんな事を思いながら生活できる事自体が、ある種貴族的だと思っている自分のような人間には、このような姿がとても自然に見える。解散した部隊員の為に未払いの給料をGHQにまで交渉する様子は尊敬すらしてしまうが、恐らく高尚な想いだけではない側面もあるだろう。でもそれがちゃんと歴史に記録されていることは大切なことだと思う。結局はそんな事でしか測られないのだから。